天日古と大日人(solahico & hilohito)

喪失したわが子二人を偲ぶための個人的なブログ。「般若経」を写す所作に倣い、眠れない日々の「ワイパックス錠」代わり。

「14歳」23/200

2017-03-29 04:22:06 | Weblog
「子は鎹(かすがい)」という言葉があります。
子どもが「他人同士の夫婦」を強く結びつけてくれるという意味です。

おとうは明らかに天日古の誕生によって、真紀子を守ろうと仕始めていました。

ナカジママナブ氏との裁判に臨むために書いた婚姻届、
しかし、そんなことはもうどうでも良くなっていました。
ひたすら天日古の将来の障壁になるものを取り払っておきたい、
真紀子を愛することはできませんが、愛しているふりを続けることはできると思ったのです。

おとうにとってはとても勇気のいる決断でした。
なぜなら真紀子が引き起こす様々なアクシデントは
いつもおとうや周囲の誰に目にも「異常」な行動によるものがすべてだったからです。

天日古が一歳になるころ、真紀子は運転免許を取得しました。

真紀子はダイハツのタントという、発売されたばかりの新車を買いました。
おとうは反対していました。
初心者で、しかも運動能力や周辺への気配りに関して他の誰よりも劣っている彼女が、
真新しい車をすぐに傷つけてしまうことは明らかだったからです。
「練習に一年くらいで乗りつぶす中古車にしようよ」とおとうは提案していたのです。
しかし、いちど思い込んだら後戻りのできない真紀子は契約書に判をついたのです。

納車されて三日目。
おとうの予測は的中してしまいました。

販売店の担当員がじゃんごに来てこう言いました。

「まあ、奥さん、初心者だから仕方ありませんね。」

パールホワイトの新車は見るも無惨な事故車両になっていました。
低速で左折する際に、歩道のポールに接触し、
「内輪差」を自覚できていない彼女はそのままハンドルを切り続けたようです。
完全な「自損事故」です。

左側面が剥ぎ取られるほどの損傷を受け、
ドア二枚は開閉不能。
ディーラーの担当者が(保安のために)ガムテープでグルグル巻きにしたそのタントの姿は、
車好きのおとうには残念なものでした。

「奥さんに連絡したが、夫に言ってくれ、自分は車のことは分からない」と言われたのだと言います。

おとうは保険の手続きを行い、
ディーラーでの修理見積もりをお願いしました。
120万円の新車に90万円近い修理見積もり。

「だから言わんこっちゃない。」
さすがに怒り気味に真紀子に伝えると彼女は冷静に言いました。

「でも、保険で大丈夫なんでしょう」

事故は府中市新町の公務員住宅の敷地内でのことでした。
育児休暇中の彼女は、天日古を寝かしつけ、
一周300mほどの官舎周辺を練習のためにドライブしようとしたようです。

駐車場を右に出て30m、東八道路の交差点がありました。
そこを左折して敷地内に戻るルートを真紀子は想定していたようです。
その「左折」ポイントにポールがありました。
そこへハンドルを切りすぎたか、
もしくは内側から進入しすぎた真紀子のタントは衝突したと推察されます。

通常ならばハンドルを戻し気味にバックするとか、
まず停車してその後の操作を考えるのですが、
真紀子はDモードのままアクセルを踏み続けた形跡がある、とその担当者は言いました。

そして最後に付け加えました。

「ご主人。そんなにがっかりされないで。
奥さま、『初心者』ですから。」

事故は「自損」でしたから周囲への影響はありませんでした。

しかし、
その一月後。
キレイに修復されたタントで国立市に買い物に出かけた真紀子は、
また、とんでもないことをしでかしました。





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