週刊 新大土壌研

新潟大学農学部農学科 土壌学研究室の活動日記です 『週刊』を名乗っていますが、不定期に更新していきます

放射性降下物の土壌ー植物系における汚染とその除染に関する研究 その7

2011-04-25 | MN(野中)

 

今まで、述べましたが放射能核種の土壌汚染は一律でなく、同じ町でも地形、立地条件、水の利用、土壌の母材、粘土含量、腐植含量、栽培作物等で大きく異なっています。。

 従って、それに応じた細かい対策が必要です。高濃度に汚染された地域は植物を用いた除染は10年単位だと思いますので、早く農地を復元するためには表土をはぎ取り、有機物などの資材を入れて優良な農地にするしかありません。

 

 上記研究で牧草地土壌中の交換性セシウム137や交換性性ストロンチウム90で根から吸収した(交換性とは土壌粒子に保持されていた元素の中で他の陽イオンで交換されて根から吸収したイオン)は前報で葉面吸収が相当量あるが、すべて根からの吸収と仮定すると両者ともにラジノクローバーで8%前後、イタリアンライグラスで4%前後としています。

 この論文ではこの中に葉面吸収も多く含まれていると推測していますので、この点はこれから研究する人たちの課題と考えます。

 ところで、同じ年に同じ深さまで採取(0~50cm)した、同じM町近くのの水田土壌(土壌1Kg当たり)に蓄積したセシウム137は151Bq、ストイロンチウム90は105Bqです。

 一方、牧草地(土壌1Kg当たり)ではセシウム137は82Bq、ストロンチウム90が42Bqでした。

 これは、草地土壌では水田土壌と比べて、作物への蓄積が大きいことを示しています。

 これはベラルーシ国立土壌研究所の結果とも同じ傾向を示しています。

 下記文献でセシウムの移動率のファクターが記載されています。

 Generic values for soil-to-plant transfer factors of radiocesium

 Journal of Environmental Radioactivity 、Vol 58 2002

 113-128

 上記雑誌に多くの文献があります。


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