「中国市場は無視できない」というのは塩漬け株で勝てない投資家と同じ?

2017-06-16 07:41:38 | 日記





 最近の国内メディアの論調には、「中国リスクで国内企業の業績不振」「それでも中国市場は無視できない」といったものが多いように思われます。また、「日本政府による尖閣諸島国有化がなければ、今回の事態が起こらなかったはず」という意見も散見されます。

 しかしながら、歴史的な経緯を詳しく見ると、中国は?眷小平以来の「能力を隠して好機を待つ」戦略に従って着実に準備を進め、「その時期が来た」と判断して対日行動に出ている可能性もあるようです。この場合、「今回日本のだれが購入してもしなくとも、反日デモは起きたはず」ともいえます。これを前提に考えるか、中国の主張する「覇権を求めない外交」を額面どおりに受け取るかで、今後の投資戦略は変わってくるものと思われます。

尖閣を巡る経緯と中国の長期計画

 尖閣諸島を巡る主な経緯は以下のとおりです。もともとは無人島で、戦前までは日本人が数百人規模の鰹節工場を設置していた程度で、清?中華民国?中華人民共和国のいずれも日本の領土であることを認めていました。当時は、周囲の広大な排他的経済水域(EEZ)という概念もなく、海鳥と魚がいるだけの無人島には、各国ともあまり興味がなかったことは想像に難くありません。

1951年 サンフランシスコ講和条約で沖縄の一部としてアメリカの施政下に入る 1968年 尖閣諸島付近で海底油田発見される 1971年 中国、台湾尖閣諸島の領有権主張を始める 1971年 沖縄返還 1972年 日中共同声明(日中国交正常化) 1978年 100隻を超える武装中国漁船による領海侵犯     ?眷小平「領土問題棚上げ発言」、日中平和友好条約締結 1992年 中国領海法制定。尖閣諸島を中国領土と規定 2008年 中国公船が領海侵犯 2010年 中国“漁船”が海上保安庁巡視船に体当たり、船長逮捕     中国滞在のフジタ社員4名をスパイ容疑で拘束、対日レアアース禁輸 2012年 日本政府の尖閣諸島3島購入に“反発”し、対日デモが破壊活動に拡大。     中国公船の領海侵犯続く

 しかし、1968年に海底油田の可能性が指摘されると状況は一変、1971年の沖縄返還の直前から、中華人民共和国と台湾(中華民国)がともに「先に見つけたのは自分たち」と主張しはじめ、現在に至っています。

 ちなみに、無人島に関して国際法上は先占(先に見つけて実効支配する)が争点となります。この点において、「戦前の近代的な実効支配は日本が行っており、沖縄返還とともに日本に返還された」と主張する日本に国際法上は理があるように思われます。

 一方、「人は住んでいなかったし、実効支配もなかったけれども、存在は分かっていた。だから1895年以前は清国のもの」、あるいは「日清戦争に伴って主権を奪われた島で、サンフランシスコ講和条約に明記はされていなくとも中国に返還されたと考えられる」という中国(中華人民共和国)の 主張は、その国家成立が1949年であることなどもあって、根拠が薄弱といえます。

 そうなると、日本との交渉によって領有権を得るか、中国がウイグル(1949)、チベット(1950)を領土に組み込んだ時のように軍事力によって実効支配を確立しなければならなくなります。だからこそ、1978年の平和条約締結直前に武装漁船で一旦領有権の主張を行った後に、?眷小平による棚上げ発言を行って、国力の増強を優先した(時間を稼いだ)ともいえるのです。

 一方で、中国は着実に準備を進め、1992年には領海法を制定して一方的に尖閣諸島の領有を宣言、2008年からは公船による領海侵犯を行うようになっています。その後の2010年と今年の行動をつなげてみると、強い国家意思のもとで長期的な計画に従って行動しているという見方もありえるでしょう。

今後のシナリオ1:日中長期冷戦

 中国は自らの国際法上の論拠の弱さも認識し、またフィリピンやベトナムとの領土問題を国際法に従って解決したくないという事情があります。また、日本には、中国の主張は理不尽と考えられ、受け入れられそうもありません。一方で、日米同盟を懸念して中国側から軍事行動を起こす可能性は低いとなれば、問題は長期化し、外交的には1972年以前に戻ったかのような状況といえます。いわば、日中冷戦です。

 そうなると、「中国市場は無視できない」どころか、「あてにしてはいけない」ことになります。従来の関係が破綻したら、ちょっと前まで当然であったものも元に戻ることがないのは個人的な人間関係と同じです。

 つまり、このシナリオで考えるなら、「中国市場は従来と変わらず重要と述べている経営者がいる企業はリスクが高い」「早く見切った企業の方がよい」ということになります。

 このため、日本株での投資を考えるなら、製造?市場を問わず中国への依存が少ない企業が有利といえます。中国経済にも日本との関係悪化はマイナスですが、それでも日本よりも経済成長が高く、人民元上昇の可能性もあると見るのであれば、欧米の資源株、資源国通貨などへの投資が効果的と思われます。

シナリオ2:うやむやの先送り

 今回は2010年の際と異なり、中国が何をもって「よ~し、今回はこの程度で勘弁してやる」というか分かりませんが、日本の衆議院選挙あたりで、うやむやにする可能性も残っています。この場合、「中国市場は無視できない」としていた日本企業の業績は上向く可能性があります。

 しかしながら、将来の紛争の火種は残ったままで、中国の国家意思に変化はないので、おそらく数年以内に再び同様の問題が発生する可能性があります。

 このシナリオを考えるのであれば、中国リスクで売り込まれた日本株コールを仕込み、数ヶ月程度で状況が改善したところで利食い売りという投資戦略が有効と考えられます。なお、この場合、中国依存の割合が高い企業の株式の長期保有はリスクが残る点に注意が必要です。

シナリオ3:軍事衝突

 偶発的な公船の衝突や、中国政府が偽装漁船団などによる尖閣諸島の奪取に動けば、日中軍事衝突に発展する可能性が残っています。特に、日米関係が悪化すればその可能性が高まります。

 このシナリオなら、中国本土の工場のみならず、中国や香港にある日本企業?日本人の資産が凍結(場合によっては没収)されることも念頭に入れておく必要があります。そうなると、「中国市場は無視できない」と言っていた企業の株式は大きく下がり、プットでの投資が一案と考えられます。

 (念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません)

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