なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

パニック発作か

2017年09月20日 | Weblog

 救急当番の整形外科医から連絡が来た。隣の隣の町の救急隊から、動悸を訴えている59歳女性の受け入れ要請があるという。一番近い地域の基幹病院と循環器科のある私立病院で受け入れできないので、当院に依頼してきたのだった。心電図モニター上は洞性頻脈のみだという。意識は清明でバイタルは問題ない。精神的なものかなと思って、当院に搬入してもらうことにした。

 5年前に動悸と呼吸困難感があって、15~20分くらい続いて治まったらしい。近くのクリニックを受診したそうだが、治療内容はわからない。その後も時々あったようだ。2年前に夜間に同様の症状が出現して、地域の基幹病院を受診した。さすがに外来で心臓の精査(心カテ以外)が行われたが、異常はなかった。

 月に1回くらい短い同様の症状が起こるが、短時間で治まるので受診はしていなかった。今日は15分くらい続いて、いったん治まりかけたが、またちょっとぶり返したので救急要請した。

 救急隊到着時は治まっていて、洞性頻脈のみという話になった。頻拍発作も可能性はあるが、症状があると、そのまま死ぬんじゃないかとか、このままどうにかなってしまうのではないかという恐怖感も伴うらしい。それで外出を控えるということはない。

 パニック発作のようだと思ったが、年齢が年齢なので、一通り検査を行った。甲状腺機能を含めて異常はなかった。いつものアタラックスP1Aを点滴静注して少し休んでもらうと、すっかり落ち着いていた。

 頻拍発作はやはり否定はできないが、パニック発作として、とりあえず発作時の安定剤頓用(アルプラゾラム)で経過をみてもらうことにした。この地域はかかりやすい精神科クリニックがない。頻回に起きる時は、居住地から近い精神科クリニックを受診してもらうことにした。付いてきた夫に、ネットで調べてみてよ、と言っていたのが、今時だと思った。

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リウマチ性多発筋痛症?

2017年09月19日 | Weblog

 78歳男性が自宅玄関前で動けなくなって救急搬入された。救急隊から連絡が来た時、骨折かと思ったが、手足は動かしているという。その後に38℃の発熱があると言うので、肺炎か尿路感染症で高熱が出ての症状かと思った。認知症がありますとも言われたが、家族からの報告なのだろう。

 意識は清明だった。明らかな麻痺はないが、着替える時に頸部と肩をかなり痛がっていた。1週間前から頸部・肩・腰の痛みで整形外科クリニックに通院していて、今日も受診していた。ロキソニンが処方されているが、効いてはいない(症状は増悪)。娘さんの車で受診して、帰ってきて家に入ろうとして動けなくなった。2週間前に転倒(骨折なし)しているが、その時からあったのかもしれない。

 ストレッチャーから降ろして、蹲踞からの起き上がりを見たかったが、空きあがるのは無理だろう。症状の経過からはリウマチ性多発筋痛症(PMR)が疑われた。画像検査と血液尿検査を提出した。白血球増加・CRP上昇があったが、血沈が28mmと40未満だった点は合わない。肺炎・尿路感染(胆道感染なども)はないようだ。心雑音や敗血症性血栓はない。

 病院総合診療学会のポスターで頸部痛の鑑別があった。化膿性脊椎炎などの感染症も否定できない(頸部~腰部の化膿巣は考えにくいが)。血液培養2セットと尿培養(いらないかも)を提出して、セフトリアキソン点滴静注とプレドニン内服を開始して経過をみることにした。明日頸椎MRIを予約した。

 頭部CTでは脳萎縮と脳室拡大がかなり目立ったが、症状についての会話は成り立つ(時系列だとちょっとあやしくなる)。点滴を抜いたりはしないだろう(たぶん)。

 

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RSウイルスが流行しているそうです

2017年09月18日 | Weblog

 今日は日直をしていた。内科の受診はあまりなく、小児が多かった。

 内科医院から3歳女児がチアノーゼを呈しているので、救急搬送すると連絡が来た。初見で電話してきて、すぐに切れたのでどんな病気が不明だった。その後FAXが来て喘息発作とあった。入院患児を診にきていた小児科医に連絡すると、最初から診てくれるというのでお任せした。ついでに2名のRSウイルス感染の児もお願いした。

 8か月の女児は先週の木曜日に小児科を受診して、RSウイルス迅速試験陽性だった。外来で経過をみることになったが、連休になるので、時間外で再受診した時は小児科をCallと記載されていた。昨晩から高熱が出て、咳・喘鳴も続いていた。

 5歳の女児は昨日からの発熱・咳で、昨夜救急球外来を受診していた。症状が続いて今日は食事もとれないので再受診した。胸部X線で、明らかなべたっとした肺炎浸潤影は指摘できないが、何だか汚い印象がある。RS迅速試験陽性だった。胸部CTはとらないが、胸部X線での印象は細気管支炎なのだろう。この前まで、この子の下の子がRSウイルス感染症で入院していたそうだ。

 どちらも入院になった。保健所からの連絡に、RSウイルス感染が流行していると記載されていた。これは成人でも罹るはずだが、あまり検査していない。しつこい気管支炎症状が続くときは、内科でもRSウイルスを検査しよう。「お孫さんがRSウイルスに罹っていませんが」、と訊いてわかるかな。

 先々週から発熱と嗄声を呈する風邪に罹った。いったん良くなって、また同様の症状になった(2回罹患したのか)。咽頭に所見はない。のど(の奥)にイライラ感があって咳も出るが、気管支炎の咳ではない。以前同様の症状がひどくて、耳鼻咽喉科で診てもらったこともあるが、喉頭が白っぽく腫脹(軽度)しているだけだった。喉頭炎としかいいようがないが、これは何というウイルスの症状なんだろう。

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周期性発熱

2017年09月17日 | Weblog

 今日は他の先生の代わりの内科の当番になっていた。明日も日直で内科当番なので、午後から病院に出てきて、救急外来からの新規入院患者さんの指示を出して、そのまま病院に泊まることにしていた。

 めまいの73歳女性と、誤嚥性肺炎の81歳男性(寝たきり・認知症・仙骨部褥瘡)が入院になった。後者は両側肺炎で、酸素吸入10L/分リザーバー付きを要する重症だ。奥さんには助かるかどうかわからないことを説明した。

 34歳男性が40℃の高熱と腹痛で救急外来を受診してきた。外来担当医から連絡が来て、治療について相談した。この方は今年の3月に同様の症状で入院した。大学病院に地中海熱で通院しているということだったが、退院後に大学病院宛てに報告書を提出すると、簡単な返事が来ていた。病名は「周期性発熱」とのみなっていて、地中海熱ではない(少なくとも診断確定ではない)らしい。コルヒチンは効かない。

 昨日同様の症状で大学病院を受診して、外来で点滴を受けていた(使用した薬剤は不明)。一昨日からの症状というので、今日で3日目になる。いつも通りなら5日くらいで軽快するので、あと1~2日で治まるはずだ。とにかく対症療法しかないから、アセリオ1000mg点滴静注とソセゴン15mg静注を繰り返すことにした。入院は希望せず、外来で治療してほしいという。救急外来担当の看護師さんには悪いが、朝まで点滴と上記薬剤を繰り返して経過をみることにした。

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病院総合診療学会2日目

2017年09月15日 | Weblog

 「The Diagnostic Strategy」志水太郎先生

 症例は50歳代男性の運動失調。甲状腺ホルモンは正常域だが、抗Tg抗体陽性・抗TPO抗体陽性(髄液の抗Tg抗体も陽性)で診断は橋本脳症。他疾患が否定的な中枢神経症状の時は橋本脳症も考慮する必要がある。

 「IDATEN 想定外の奴らに気をつけろっ!鑑別診断に挙がれば慌てずに済む感染症」岡秀昭先生、忽那賢志先生、上原由紀先生

 岡先生の症例は、1)レプトスピラ症、2)卵形マラリアの休眠体再発、3)チクングニアウイルスによる関節炎。海外渡航歴は過去のどこまで訊くかという話が出た。普通は過去3か月くらいだが、不明熱で原因が不明な時は、生涯全体に渡って訊く必要があるという。沖縄に行くのは海外渡航歴ではないが、感染症を考えると渡航歴扱いになる。忽那先生はマクアックな(本人談)ダニの話。ツツガムシはマダニではない。

 「バイタルサインでここまでわかる」徳田安春先生

 若手医師セミナーでの講演と被っていたような気がするが、本当に何度聴いても勉強になる。ナース向けでは分かりやすい本を出されているが、バイタルサインの決定版の著書を出してほしい。

 「American Collage of Physicians choosing wisely」、「病院総合診療医に必要な診療スキルを学ぶ」もざっと聴いて帰ってきた。ディズニーアンバサダーホテルはないなあ。会場としては、昨年の品川プリンスホテルがよかった。

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病院総合診療学会1日目

2017年09月14日 | Weblog

 病院総合診療学会にで舞浜のデイズニーアンバサダーホテルに来ている。何故会場がディズニーなのかはわからない。ランチョンセミナーはなく、プライマリケア学会のような実費のお弁当形式だった。あまり、メモをとるような講演ではなく、考え方を教えてもらうという内容だった。

 「製薬会社の製品説明パンフの読み方・使い方」南郷栄秀先生 

 製薬会社の医療関係者向けお弁当のホームページがある。それだけ説明会や講演会用のお弁当の需要があるということ。接待だから少し豪華なお弁当になるので、作る方も儲かるのだろう。製品説明パンフレットの、いかにも効果があるように見えるグラフの作り方などを説明された。接待を受け続けると、その製品の処方が知らず知らずに増えることが論文になっているそうだ。まあ今後も製薬会社の説明会や講演会には出るけど。

 「目からウロコ!ジェネラリストに必須の交渉術」志賀隆先生

 他科の先生とうまくやってくためには、それなりに方策が必要になる。やはりふだんから会話をして親しくなっておくことが大事だ。どんなに気難しい相手でも、挨拶を繰り返してあなたに関心がありますという態度で臨めば、いい関係になることができる。「ハーバード式交渉術」を買ってみようかな。

 「ジェネシャリスト宣言」岩田健太郎先生

 ジェネシャリストは岩田先生の造語で、ジェネラリスト(総合医)とスペシャリスト(専門医)を合わせてもの。基本的にジェネラリストであり、さらに何かひとつの分野のスペシャリストである医師を目指しなさいということ。

 「総合内科医に必要な周術期の知識」平岡栄治先生 

 雑誌「ホスピリスト」で2016年に平岡先生編集の「周術期」が出たのでそれを買って勉強して下さい、講演を聴けばより理解しやすくなりますということだった。手術できるかどうかは通常麻酔科医が決めていることが多いが、本来は総合医が判断するのが好ましいのだろう。

 「不穏を考える」加藤温先生

 CareNeTVの国立国際医療研究センターのシリーズで加藤先生の講演がある(陰性感情)。加藤先生の著書も購入しているので、直接講演を聴くとさらに理解しやすくなる。春日武彦先生をもっとマイルド(素直に?)にした雰囲気の先生。

 「ティアニー先生の症例検討会」ティアニー先生、青木眞先生

 発熱が続いた症例だが、途中で帰ったので診断は知らない。

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血小板減少

2017年09月13日 | Weblog

 日曜日の日直の時に、72歳男性が前日からの右下腹部痛で救急外来を受診した。心窩部からというより、最初から右下腹部だったようだ。嘔気はないそうで、朝食を食べてから受診している。

 指の先1点ではなく、指1本分の圧痛だった。percussion tendernessがある。20歳代に右のヘルニア手術をしているそうだ。虫垂切除ではないのかと確認したが、「脱腸」という。

 虫垂炎か上行結腸憩室炎だが、所見からは憩室炎寄りだった。白血球増加・CRPがあり、腹部造影CT検査を行うと、上行結腸に沿って頭側に上がっている虫垂を認めた。糞石があり、壁肥厚・周囲脂肪織と上行結腸壁に炎症像がある。急性虫垂炎だった。外科の日直医(大学病院からのバイト)にまず診てもらって、外科の当番医に連絡がいった。その日のうちに緊急手術となった。

 普通の虫垂炎の経過だが、この患者さんにはひとる問題があった。血小板数4.3万と低下している。ふだん特に病気で通院していないのと、当院は初診なので比較するデータがない。白血球数増加は虫垂炎のためで、白血球分画には血液疾患らしい異常はなく、貧血もない。凝固検査に異常はなく、今回の虫垂炎でDICになっているとは思えなかった。特発性(自己免疫性)血小板減少性紫斑病だろうか。

 血小板3万以上で出血症状はないが、外科では血小板輸血(10単位を2日)を行っていた。その後は血小板数10万で推移している。外科でPAIgGと血小板抗体を提出していたが、ピロリ菌検査もしてもらおう。

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透析患者さんの高血糖~リポビタンD禁

2017年09月12日 | Weblog

 透析を受けている81歳女性の血糖で相談を受けた。糖尿病でDPP4阻害薬(トラゼンタ)を内服している。3か月前はHbA1c6.1%と良好な値だった。2か月前は6.6%、1か月前は7.6%と上昇して、今日は10.6%だった。

 まだ透析中だったので、膵癌検索としてCA19-9・CEAを追加したが正常域だった。甲状腺機能も正常域。透析終了後に、腹部CTで見ても明らかな膵癌はない。緩徐進行型1型糖尿病疑いで、血清Cペプチドと抗GAD抗体を提出した(外注)。

 患者さんの自覚症状としては問題なさそうだった。車椅子にちょこんと座って、認知力は低下しているらしいが、会話はちゃんとできる。普通に食事もしていて、腹部症状はない。

 内科外来まで付いてきた透析担当の看護師さんから、リポビタンDを毎日のように飲んでいる、という話があった。毎日1~2本飲むとどれほどの影響があるのだろうか。

 とりあえず、リポビタンD禁とした。インスリン療法について付いている息子さんと相談したが、強化慮法は無理だが、1日1回ならしてくれるという。トレシーバを出して、外来で4単位から開始することにした。週3回は透析で病院に来るので、まずは明後日の血糖と患者さんの様子をみて(リポビタンD禁の効果をみて)、外来で継続か入院にするか決めることにした。

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成人Still病か

2017年09月11日 | Weblog

 不明熱で入院した72歳女性は、強皮症はあるが、それだけでは説明がつかなかった。膝関節炎が入院前からあったが、単関節炎で膝偽痛風として整形外科で治療を受けていた。そちらはNSAIDで治まっていた。MPO-ANCAとPR3-ANCAも陽性だったが、ANCA関連血管炎とする症状はなかった。リウマチ性多発痛症様の症状もあり、プレドニン15mg/日を開始したが、上下肢の症状は改善したものの、炎症反応の改善に乏しかった。 

 大学病院から腎臓内科の外来に来ている先生が、たぶん当院に来ている先生方の中では一番リウマチ膠原病に詳しいかと思って、相談していた。ANCAの力価が低く、腎機能も正常でそれによるのではないだろうという。

 頻脈性心房細動になって、投与薬剤に抵抗性で頻脈が続き、心臓血管センターのある病院に転院した。電気的除細動を受けて洞調律に戻って帰ってきた。診断がつかないので、プレドニンはそのままで経過をみていた。先々週末に下腹部に発疹が出現した(背部にも少しある)。土曜日に看護師さんが気づいたが、痒みはないのでそのまま様子をみて、月曜日になってから報告があった。すでに退色してきていた。

 皮膚科で診てもらったが、非特異的な発疹ということだった。経過をみているうちに、先週末に38℃の発熱があった。それまでも平熱~微熱で経過していて、急に首から上に熱感がくることが続いていた。炎症反応を再検したが、同程度だった。

 リウマチ性多発筋痛症様の症状があって、プレドニンに反応しないことから、巨細胞性動脈炎の併発を疑って症状や所見をとっていたが、そうではないようだ。そもそもPMRではないのだろう。

 発熱・関節炎・発疹・白血球増加といえば、成人Still病になる。入院時から一応考慮して、血清フェリチンは測定していたが、300ng/ml台で正常より高値ではあるが、診断確率が上昇する1000ng/ml以上ではなかった。再検しても同程度だったので、決め手に欠けると思っていた。三森先生の本によれば、血清フェリチンは著増(3000ng/ml)するが、軽度上昇のこともあり、活動期に正常値の例もあるそうだ(診断に自信がないので、検査値が典型的で10000ng/dlくらいほしいところだ)。

 そういえば、咽頭痛の有無を訊くと常にではないが、あるそうだ。上気道症状を耳鼻咽喉科で診てもらったが、所見はなかったが。リンパ節腫脹、肝脾腫、肝機能障害はない。リウマトイド因子は陰性だが、抗核抗体は陽性(強皮症もあるから)。

 リウマチ膠原病科もある病院への紹介も考えたが、患者さんは当院での治療を希望された。先週の金曜日から、プレドニン50mg/日(体重58kg)に増量して経過をみている。すぐに解熱して患者さんは調子がいいが、プレドニンは膠原病関連には何でも効きそうだから何とも言えない。これでうまくいかない時は、絶対リウマチ膠原病科に紹介しよう。

 

 

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全身性浮腫

2017年09月10日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。午前中は受診数も少なく、NHKの将棋を見て(佐藤名人が負けていた)、昼食を食べていた。午後になって受診が増えて、結局ずっと外来に出ていた。熱中症らしい患者さんの救急搬入もあった。

 問題は全身性浮腫の40歳男性だった。本人の話では1か月前から浮腫が進行して、今日は動けなくなっていた。左下腿の表皮剥離した部位から浸出液が出ていた。頻呼吸で酸素飽和度は何とか保たれている。軽度に喘鳴が聴取された。

 心筋梗塞・心不全かとも思ったが、心電図で明らかな心筋梗塞の波形はない。酸素を吸入して半座位から横臥させて、胸腹部CTを撮影した。両側胸水と腹水貯留がある。明らかな消化器癌はなさそうだ。

 血清蛋白5.2g/dl・アルブミン2.5g/dlと低蛋白(アルブミン)血症だった。スポット尿だが、尿蛋白8.39g/g/Cr。BUN54.3mg/dl、血清クレアチニン3.70mg/dlと腎機能障害があり、CRP10.7mg/dlと上昇して発熱もあった。

 診療情報提供書には、ネフローゼ症候群・原発性糸球体疾患疑いと記載したが、ANCA関連血管炎など全身疾患なのかもしれない。

 心不全なら心臓血管センターのある病院、腎不全なら腎センターのある病院へ搬送と思いながら、検査していた。これは腎由来と判断した。

 平日だと腎センターのある病院に何人か紹介させてもらったことがあるが、休日にはなかった。腎臓・透析専門医が10数名の病院だから、きっと誰かは出ていると思って電話してみた。

 総合診療科の先生になりますと事務に言われて、あっと思った。以前当院に勤務していた若い先生が、今はそちらの病院で総合診療科として勤務していたからだ。たまたま今日は日直で出ていたらしい。電話にはちょっと懐かしい声が聞こえてきた。病状を説明すると、当院はそういう患者さんを引き受ける病院なのでどうぞと、快く引き受けてくれた。まあ主治医としては腎臓専門医が担当するのだろうが。ありがたく搬送させてもらった。

 この病院がだめなら、あとは大学病院の救急部に頼むしかないが、果たして受けてもらえたかどうかわからない。今日は当院で対応ということになったかもしれない。

 病院嫌いで、今日も救急要請は家族がしたようだが、こんな全身性浮腫になるまでよく我慢したものだと思う。末梢の血管は全く見えず、採血は大腿動脈から行ったが、触知しているかどうかわからず、運よく血管に当っただけ。血管確保は中心静脈ラインを狙うしかないが、内頸静脈だとは思ったが、自信もなかったのでライン確保なしでの搬送になった。すみませんが、よろしくお願いします。

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