なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

食べられない高齢者

2014年04月28日 | Weblog

 90歳女性が他院に転院していった。誤嚥性肺炎で先月入院して治癒退院したが、2週間して再入院した。途中で抗菌薬を切り替えたりして、肺炎はなんとか治った(微熱は継続していたが)。経口摂取を開始すると嘔吐して発熱があり、すぐに中止していた。その後、一時目立った浮腫も軽快したので、再々度経口摂取を試したところ、数口食べられて嘔吐はしなかった。それでも数口だけで摂取量は少なかった。

 どうも経口摂取は難しいだろうと思われた。末梢血管からの点滴が困難になって、CVカテーテルを挿入して薄めの高カロリー輸液にしている。それに経口摂取数口の状態で入院継続とするしかない。療養型病床のある病院に紹介することにしよう(患者さんの地元の国保病院にある)と思っていた。孫が当院と同じ規模の病院で勤務していて、そこに紹介してほしいと希望された。紹介状にこれまでの経過を書いて提出していたが、先週末に転院可能の返事が来て今日転院していった。皮肉なことに、土日から経口摂取量が増えて、点滴抜去の見込みが出てきていた。

 98歳男性も、誤嚥性肺炎が軽快して退院したが、10日で再発して戻ってきた。おそらく常に誤嚥はしていて、退院時から起こっていたと推定された。抗菌薬投与で改善してきたが、こちらは常に痰が絡んで、経口摂取はかなり無理な状態だ。CVカテーテルで高カロリー輸液にしていて、継続するしかないが、このまま経口摂取の見込みがなければ、やはり療養型病床へ紹介するしかない。この方の奥さんは、胃瘻造設して経管栄養受けていたが、最終的には肺炎を繰り返して亡くなったそうだ。98歳に胃瘻を作る気はないが、どうしたものだろうか。

 70歳代以下の年齢の方が脳血管障害や神経疾患で経口摂取できなくなれば、禁忌がない限り胃瘻造設を行う。80歳代後半以降には、少なくともこちらから胃瘻の提案はしていない。発語もなく閉眼して寝たきり状態の時は、末梢からの点滴1本で最期までみているが、何が正しいかは誰もわからないので、家族との話し合いで決めるしかない。大規模病院ならば、小規模病院へ転院させて、そちらで決めてくださいというだけで、悩んだりはしないだろう。小規模病院ならば、高カロリー輸液を継続して稼ぐのだろう。当院のような郡部にある中規模病院は、救急医療もカバーしつつ、療養型病床のような入院も引き受けるので中途半端ということになる。

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