なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

黄疸出血性レプトスピラ症

2015年04月16日 | Weblog

 昨日、気になっていた患者さんのその後を主治医だった消化器科医に聞いた。大学病院の感染症科に転院していたが、2週間ほど入院して、軽快退院したそうだ。診断は黄疸出血性レプトスピラ症。何か特殊な感染症だろうとは予想された。

 発熱・黄疸で内科クリニックから紹介されて、消化器科に入院した。症状は、発熱・頭痛・嘔気・腹痛・黄疸だった。職業はウシ専門の獣医さんだが、入院した時点では職業柄病気のことがある程度わかる人というくらいの認識だった。当初は胆道感染症と思われて、スルペラゾンの点滴静注が開始された。画像診断で胆嚢結石・総胆管結石は認めなかった。ウイルス性急性肝炎も疑われて、肝炎関連の外注検査も提出された。

 入院後も症状が続き、治療に反応していないと判断された。入院時に血清総ビリルビンが7だったが11まで上昇した。AST・ALTは50前後で経過をみているうちに値としては正常化した。胆道系酵素も軽度の上昇に留まり、黄疸だけが進んだ。A型感染ではなかった。抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体は陰性だった。(EBウイルス、サイトメガロウイルスの検索はしていない)

 発熱・頭痛・嘔気が続いていたが、髄膜炎の所見はなかった(髄液検査もするべきだったか)。腹部の圧痛も全体的に軽度にあるが、腹膜炎の所見はまったくない。心エコー検査(経胸壁)は異常なしで、疣贅はなかった。入院時に尿蛋白(2+)だったが、血清クレアチニンの上昇はなかった。出血傾向はなかったが、FDP・Dダイマーの上昇を認めた。

 こんな患者さんが入院してと相談を受けたが、最初の段階では総胆管結石が一時的に陥頓して、自然排石した可能性などを考えていた。3~4日後に症状が続いて、消化器科の主治医から原因がわからないと言われた、患者さんを診に行った。だるそうにしていたが、普通に話はできる。症状が続いて、少しいらだっている印象はあったが、冷静にこれまでの経緯を話してくれた。

 いったん抗菌薬を中止して血液培養2セットをとってもらった(結果は陰性)。主治医がメロペネムに抗菌薬を変更した。ここに来て、職業が獣医さんということががぜん重要な要素になってきた。人畜共通感染症ではということになった。困った時のミノマイシンなので、ミノマイシンの併用を勧めると、以前に下肢の蜂窩織炎で他院を受診した際にミノマイシンが処方されて薬疹が出たという。

 大学病院の感染症科に相談すると、数日ベット待ちになったが、転院での治療を引き受けてくれた。その間、指示でクラビットとアミカシンが追加投与された。コンサルトが主な仕事で自前の病室はないのではと思っていたが、今は大学病院のベットは各科で融通をきかせて使っているのかもしれない。紹介状の返事をみると、転院してからも同じ抗菌薬のメニューで継続されていた。感染研に検体を提出してMAT法で確認するとあった。

 そういえば前の病院にいた時に、同じ病気の患者さんが入院して、ミノマイシン投与で問題なく治癒した記憶がある。田んぼに素足で入ったという病歴があったような、抗体価を測定したような気もするが、そもそも正しい診断だったのかどうかもわからない。そのころは感染症に興味がなかったから。当院に来てから、発疹熱疑いの患者さん(20歳代女性、フィリピンから帰国)の検体を感染研に送ったが、返事はなかった。この時もミノマイシンで治癒した。ミノマイシン恐るべし。

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