なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖尿病の講演会~糖尿病医になった訳

2017年09月21日 | Weblog

 火曜日は市医師会規模の糖尿病の講演会があり、座長を頼まれた。市内に糖尿病専門医jはいないが、それぞれの病院・クリニックで糖尿病の診療をしているので割と参加者は多い。

 講師は大学病院の若い助教の先生だった。講演前に控え室でちょっとお話した。経歴を見ると、初期研修後に救急医療の後期研修医をされて、その後に糖尿病代謝科に入局されていた。救急をされていたんですね、と訊くと転身した経緯を話してくれた。

 救急医療の上司は1型糖尿病でCSIIで治療を受けていたが、周囲では糖尿病であることは知らなかったそうだ。その先生が道路上で低血糖になって意識消失して、車に轢かれて亡くなってしまった。よほど強い印象だったのだろう、その後糖尿病を専門にすることにしたのだった。

 研究テーマをお聞きすると、1型糖尿病と若年2型糖尿病の臨床と遺伝子を研究しているという。若年2型糖尿病とは、35歳未満の非肥満者の糖尿病だそうだ。若い助教や講師クラスの先生だと基礎的な自分の研究テーマを話されることが多いが、糖尿病全般にわたる分かりやすい講演だった。

 糖尿病で透析導入になるのは年間15000人で、足切断になるのは年間3000人。1型糖尿病を対象にしたDCCTで、血糖コントロール9.1%vs7.0%では、7.0%の方が細小血管障害を予防できる。糖尿病学会の目標は7%未満だが、達成しているのは半分くらい。EDIC studyで、1年で治療強化した群と2~3年で治療強化した群を比較しているが、早期から積極的な治療をした方が合併症が少ない。

 IGT(耐糖能障害)のうち、空腹時血糖が高いだけでは死亡率は増えないが、食後高血糖は死亡リスクが高い。脳卒中や心筋梗塞をきたした患者さんの中で、糖尿病は25%で、IGT(食後高血糖)は35~40%。つまり糖尿病よりもIGT(食後高血糖)の方が、大血管障害(脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・狭心症)は多い。(治療目標には、空腹時血糖130mg/dl未満。食後血糖180mg/dl未満と小さく記載してある)

 ACCORD・ADVANCE・VADT試験では、治療強化群で2倍近く重症低血糖が増えて、心筋梗塞・脳梗塞が増えている。J-EDITでは、高齢2型糖尿病では低血糖を起こさばい中くらいの血糖コントロールを推奨している。高齢者のガイドラインではHbA1cの下限値が記載してある。

 つまり治療目標は、「慢性高血糖・食後高血糖を予防」して、「重症低血糖を避ける」ことにある。

 脂肪1Kgを燃焼するにはマイナス7200Kcal必要で、これはフルマラソン3回分にあたる。運動で痩せるのは大変ということ。また1日ご飯一口増やすと20Kcal×30日で1か月600Kcalになり(1年で7200Kcal)、1年で1Kg ・10年で10Kg体重が増える計算になる。運動療法は、急性運動効果として筋収縮によってグルコース取り込みは1日続き、慢性運動効果としてミトコンドリアは増加して筋線維の遅筋化が起こり、骨格筋のインスリン感受性が増加する。糖尿病患者では筋肉の糖取り込みが低下している。意図しない身体活動によるエネルギー消費率があり、やせている人は肥満の人より立って動いていて352±65Kcal/日よけいに消費している。立ってテレビを見るだけでも効果があるそうだ。

 食事療法は、一般的なカロリー制限の話をされた。講演後に糖質制限のことを訊いたら、それもありで山田悟先生の緩やかな糖質制限くらいがいいのではという。効果は人によるとも言われた。江部先生のスーパー糖質制限はと訊くと、あれはやり過ぎではというが、江部先生とは親しくさせてもらっているとも言われた(?)。

 治療は、インスリン抵抗性に効く薬(インスリンを分泌させない)、インスリン分泌不全に効く薬(インスリンを分泌させる)にわけて考える。インスリンを分泌させるのは、SU薬・グリニド・DPP4阻害薬。SU薬は12~24時間作用して、低血糖が非常に多い。高齢者には避ける。グリニドは3~5時間作用して低血糖は少ない。DPP4阻害薬は血糖依存性にインスリン分泌を促進する。GLP-1は2~5分でDPP4に分解されるがそれを阻害する。GLP-1受容体作動薬はインクレチン類似物質でDPP4で分解されない。

 ビグアナイドは肝の糖新生を抑制する。グリセオール・アミノ酸・乳酸からのブドウ糖産生のうち、乳酸からの産生を阻害するので乳酸アシドーシスが起こりやすい。ADA/EASDでは、禁忌がない限りメトホルミンを第1選択にしている。ピオグリタゾンは筋での糖利用を亢進する。巨大脂肪細胞を細かく分解する(肥満の元を造るかも)。効く人にはHbA1c1.5~2%下げる。水分貯留の副作用がある。SGLT2阻害薬は1日200~400Kcal排出する。高齢者では使い難い。

 質問として、第1第2選択はメトホルミンよDPP4阻害薬だが、第3選択は何がいいかと訊いた。メトホルミンとDPP4阻害薬は同率1位で、第3は私見ですがとことわって、αGIかSGLT2阻害薬でしょうという。DPP4阻害薬をGLP-1受容体作動薬に変更するか、インスリンの追加もある。DPP4阻害薬(主催メーカーで販売)と、αGIとグリニドの合剤を使うと合剤2種類で治療できるとも言われたが、毎食前は内服がめんどうだ。

 講演後の懇親会ではなく、軽食を出しながらの講演会なので、1時間ちょっとで終了した。座長料3万円。

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