なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖尿病の講演会 diabetic kidney disease

2017年07月11日 | Weblog

 日曜日と月曜日と講演会に行ってきた。どちらも糖尿病の講演会で、偶然どちらも金沢大学の先生だった。

 日曜日は太田嗣人先生の糖尿病とNAFLD/NASHの話だった。インスリン抵抗性はNASHの進展を加速するが、ピオグリタゾンが有効という(体重増加・浮腫・膀胱癌の問題がある)。NAFLDの線維化は年齢と糖尿病が関連する。メトホルミンとEPAには、NAFLD/NASHの改善効果はない。

 NASHの治療薬としてアキタキサンチン(Astaxanthin)がある。抗酸化作用で、脂肪肝の酸化ストレスによるNASHへの進展を抑制する。アスタキサンチンはビタミンEの500倍の抗酸化作用がある。アスタキサンチンといえば、松田聖子が出ている化粧品の成分だ。ヒトでは12mg/日摂取すればいいそうだ。

 アスタキサンチンは不安定なので、その前駆物質であるβ-クリプトキサンチンで摂取する。太田先生はPOMジュースのメーカーと共同で、「アシタノカラダ(55Kcal/125ml)」という飲料をつくった。会場で出されて飲んだが、濃いめのオレンジジュースといった味だった。

 また肝臓の解毒作用を誘導するものとして、スルファラファンがある。ブロッコリースプラウトに含まれていて、3日に1株摂取すればいいそうだ。その安定な前駆体がグルコラファンで、体重抑制・内臓脂肪減少・肥満型腸内細菌叢改善の作用がある。

 DPP4阻害薬の中でも、リナグリプチン(トラゼンタ)はキサンチン骨格を持ち、マクロファージ浸潤を抑制するなど抗炎症作用をを発揮する。DPP4阻害薬は肥満があると一般に効きにくいが、リナグリプチンは肥満があっても非肥満と同様の効果がある(リナグリプチンのメーカーの会)。

 月曜日は和田隆志先生の糖尿病性腎臓病diabetic kidney diseaseの話。糖尿病性腎症diabetic nephropathyは、微量アルブミン尿で発症して、顕性蛋白尿・腎機能低下から腎不全に至るとされる。ところが最近、正常アルブミン尿例の腎機能低下糖尿病が増加している。これは糖尿病性腎症なのか。

 正常アルブミンかつ腎機能低下糖尿病例の腎生検で、糖尿病性腎症に特徴的な所見と腎硬化症の所見をもつことがわかった。高血圧性腎硬化症の腎予後は、糖尿病性腎症に比して良好である。腎硬化症を主体とする糖尿病性腎症と、高血圧性腎硬化症は臨床像に差がない。

 糖尿病性腎臓病は、古典的な糖尿病性腎症・腎硬化症・原発性あるいは続発性腎疾患の3つからなる。透析導入になるのは顕性アルブミン尿症例で、蛋白尿が出ないeGFRが良い症例では改善が期待できる。

 和田先生は抗EPO受容体抗体を発見した。EPOは炎症を抑えるので、抗EPO受容体抗体は炎症を起こす。腎臓病ことに糖尿病例はEPO濃度が低く、抗EPO受容体抗体があるとさらに低下する。

 治療は血糖コントロールだけではなくしっかり降圧すること。DPP4阻害薬やSGLT2阻害薬も効果が期待できる。貧血の改善にはエリスロポエチン製剤のネスプを使用する(ネスプのメーカーの会)。

 正常アルブミン尿の腎機能低下した糖尿病の患者さんがいて、前から不思議に思っていたので講演を聴いてよかった。正確には腎生検が必要になるけど。

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