なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

感染性腸炎+虚血性腸炎?

2017年12月09日 | Weblog

 木曜日の昼に整形外科の若い先生から相談された。整形に入院している82歳女性が嘔吐下痢から血便が出たという。腰椎圧迫骨折で入院して、その後リハビリ病棟に入っていた。

 腰痛が軽快して、外泊してきたそうだ。前日の水曜日に病院に戻ってから、まず嘔気・嘔吐があり、その後水様便が4回くらい出た。38℃近い発熱もあった。相談された木曜日には解熱して下痢(血清ではない)も治まったが、昼ごろに血便が出た。

 院内の問題ではなく、少なくとも最初の症状は、自宅での食事による感染性腸炎が疑われる。今回の入院で抗菌薬投与はない。嘔気が治まって、食事はしていた。点滴をしていたので、便培養を提出して、腸管の状態をCTで確認してもらうことにした。その後午後2時になって、血液検査の結果腎障害があり、血圧が70台に低下したという。

 病棟に診にいくと、意識清明で普通に会話はできる。腹部は平坦・軟で左下腹部に圧痛があった。血便をとって置いたので見せてもらった。赤黒色でタール便ではなく、腸からの出血だった。

 腹部単純CTで見ると、下行結腸~S状結腸壁がやや肥厚しているように見える。腸管出血性の感染性腸炎も考えられるが、感染性腸炎になって、その後腸管の血流低下から虚血性腸炎を併発した可能性がある。

 内科クリニックから心不全の処方も受けているので、点滴の速度を調整して持続点滴とした。午後6時には血圧100になって、尿が200ml出始めていた、尿カテーテルを挿入した時の濃縮尿よりは薄い尿になっていた。徐脈になっていたので、処方薬のワソラン・ジゴキシンは中止した。

 翌金曜日には血圧は戻り、尿も十分出ていた。血清クレアチニン・炎症反応も改善していた。まだ左下腹部痛が軽度にあり、点滴は少し減量して、週明けまで持続点滴で経過をみることにした。徐脈も改善して、前日の調律不明(上室性ではある)から正常な洞調律になった。

 便培養で何か病原菌が出るか?。この患者さんは当院の看護師さんの母親で、看護師さんを含めて他の家族は無症状。

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1 コメント

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腸管出血性は (シロート)
2017-12-09 11:26:33
何故か右側結腸が腫れますね

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