なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

培養のタイミング

2017年10月01日 | Weblog

 昨日の日直の時に、85歳女性が内科クリニックから急性腎盂腎炎疑いとして紹介された。6月に急性腎盂腎炎で入院した既往がある。尿培養でEnterobacterが検出されていた。

 高熱で金曜日にクリニックを受診していた(ふだんから脂質異常症などで通院)。胸部X線で異常がないが、白血球増加・CRP上昇があった(結果は翌日にでたもの)。尿路感染症として、ファーストシン点滴静注(そのクリニックはいつもファーストシン)とクラビット内服を処方した。翌土曜日に高熱が続いて、再受診した。食事摂取もできず動けなくなったので、当院紹介となった。

 土曜日の朝にもクラビットを内服していた。受診したのは昼前で、血液培養2セットと尿培養を提出した。抗菌薬が入っているので、菌が出ないだろうと思いながらの採取だった。

 会話はできるが、ぐったりしていた。患者さんの訴えは、軽度の右下腹部(側腹部痛)だった。痛尿検査は異常なしで、抗菌薬が効いてまっさきに尿所見が改善した可能性?もあるのか。腹部CTで確認したが、腎尿管結石はない。少なくとも尿路閉塞の所見はない。腸管に異常はなく(虫垂切除後)、胆嚢炎も否定的だった。動くと痛いともいうので筋骨格系の問題なのかもしれない。

 胸部CTでみると、、右肺の背側に淡く陰影があり、前回の入院時にはなかった胸水が軽度になった。肺炎・胸膜炎(肺炎随伴性胸水の方だろう)のようだ。咳・痰について訊いてもふだんから多少あるので、肺炎の症状として咳が増えているのかはっきりしない。喀痰は核出できず、喀痰培養が提出できなかった。肺炎(仮)として入院治療を開始した。

 今回は外来で治療しようとして、改善しないため紹介となったので、抗菌薬投与はやむを得ない。別の内科クリニックの先生は、クリニックからの救急搬送時に、500mlの点滴にメロペネムを混合して送ってくる。50~100ml入ったところで救急室に到着する。

 培養前に抗菌薬が入ると、培養をとっても菌が検出されない。培養としては1日は間をあけてから提出した方がいいのだろうが、治療を開始しないで経過をみるのも実際はできない。

 

コメント (1)
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