なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「細菌性肺炎と非定型肺炎」

2017年08月08日 | Weblog

 内科学会講演会の講演が学会ホームページからオンデマンドで見られる。2年続けて内科学会講演会に行かなかったので、これはありがたい。琉球大学の藤田教授は講演「細菌性肺炎と字定型肺炎」はとてもわかりやすい。

 肺炎の分類(細菌性肺炎と非定型肺炎)は、わが邦独特のもの。細菌性肺炎としては肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラ・カタラーリス、クレブシエラ。非定型肺炎としては、マイコプラズマ、クラミドフィラ。レジオネラは非定型病原体だが、非定型肺炎には入れない。

 聴診では、胸骨角を起点として右に2cm下に2cmに右主気管支、左に2cm下に2cmで左主気管支があるので、そこを目安にする。

 病変の部位と画像パターンからみる呼吸器感染症の診断として、病変の部位・(病原体側の)お気に入りの細胞・画像パターンの3つは密接な関連がある。

 気管支は17~19回の分岐で呼吸細気管支になる。それより中枢側の気管支には繊毛があり、粘液が川のように中枢側に向かって流れている(動画がきれいだった)。呼吸細気管支より末梢には繊毛がない。

 繊毛大好き病原体は、百日咳、マイコプラズマ、クラミドフィラ・ニューモニエで、繊毛の間にはまり込んで、症状は頑固な咳が出る。呼吸細気管支より中枢の気管支とその周囲に病変があり、肺炎の陰影は胸膜に接していない。

 マクロファージ大好き病原体は、レジオネラ・ニューモフィラ、クラミドフィラ・ニューモニエで、胸膜に到達する(マクロファージは肺の奥にいる)。肺炎の陰影は胸膜に接している。

 クラミドフィラ・ニューモニエは、両刀使いで、呼吸気管支より中枢にも末梢にも病変をつくる。

 マイコプラズマは中枢側の気管支に病変があり、末梢が無気肺になり、肺の容積が縮小する。無気肺になるので身体所見に乏しい(異常な呼吸音がない)。

 肺炎球菌・クレブシエラは、大葉性肺炎になり、肺の容積が増加する(bulging fissure sign)。

 アジアではマクロライド耐性のマイコプラズマの比率が高い。

 クラミドフィラ・ニューモニエが原因の肺炎はまれであり、クラミドフィラ・ニューモニエ肺炎は臨床的には考えなくてよい。クラミドフィラは先行感染としての気管支炎を起こし、二次的細菌性肺炎になる。わが国の非定型肺炎=(イコール)マイコプラズマ肺炎である。

 

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