なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

器質化肺炎?

2016年08月22日 | Weblog

 41歳女性が先週の日曜日に肺炎で入院した。順調に治るかと思われたが、そうはいかなかった。この方は2年前に検診で便鮮血陽性となって、消化器科を受診した。重症ではないが下痢の症状があり、内視鏡所見から潰瘍性大腸炎が疑われたが、確診には至らず、経過をみていた。今年の内視鏡所見で潰瘍性大腸炎と診断されて、アザコールで治療して症状所見は軽快した。

 7月初旬の定期受診日の血液検査で炎症反応が上昇していた(CRP7)。消化器科医はUCの悪化を疑ったそうだが、腹部症状の悪化はなかった。その後、夜間の発熱と咳がみられるようになり、8月12日予約日外に受診した。内科新患でよかったが、UCがあるということで?消化器科受診になった。胸部X線で両側上肺野に陰影を認め、白血球数9000・CRP10と上昇していた。セフトリアキソンの点滴静注を1回行って、ニューキノロン内服で外来治療が開始された。

 食欲がないと2日後の日曜に点滴希望で受診した(日直が私)。両側上肺野に浸潤影があり、胸部CTで確認すると、air bronchogramを伴う均一な浸潤影だった。治療開始して間がないので、2~3日経過をみれば改善してくるだろうと思っていた。入院で点滴をして経過をみることにした。ニューキノロン内服にセフトリアキソン点滴を追加した。

 その後、平熱~微熱になったかと思われたが、また夜間の38℃の発熱が出現した。炎症反応はその後2回検査して横ばいだった。胸部X線の陰影も改善しない。酸素飽和度は室内気で95~96%で、食事摂取は良好だった。

 当初から違和感があったが、今日になってこれは変だと思われた。おそらく7月初めの炎症反応は肺病変によるものだろう。そうすると、経過は2か月弱になる。肺結核は否定できないが、べったりとした均一な浸潤影(でconsolidation)では考えにくいのではないか。陰影も一部は改善して一部は悪化して動いているように見える。間質性陰影では全然ないので、器質化肺炎かもしれない。

 専門の呼吸器科に依頼することにした。地域の基幹病院呼吸器科に連絡すると、ベットが空いているということで(これは珍しい)、明日転院で診てもらえることになった。呼吸器科の常勤医はいないものの、呼吸器外来には専門病院から来てもらっているので、もっと早くに相談すればよかった(週末が入ったので実質1週間しか診てないが)。

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