なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳幹梗塞

2016年03月22日 | Weblog

 昨日の日直だった先生(循環器科)がふらつきを訴える74歳男性を内科で入院させていた。糖尿病・高血圧症で内科に、ACSのステント挿入後で循環器科(別の医師担当)に、ASOで血管外科に通院していた。循環器科の処方にコンプラビン(プロピドグレル+アスピリン)が処方されている。

 病室に診にいくと、選手の金曜日(5日前)から右下肢に軽度脱力があるというが、歩行はできる。上肢に麻痺はなかった。昨日外来で頭部CTが施行されていて、異常は指摘できなかった。午前中に頭部MRIを行うと、放射線部のMRI担当技師から脳幹梗塞と報告が来た。脳幹部としてはけっこうな範囲の脳梗塞で、症状からいえば被害は少ない。MRAで見ると、椎骨脳底動脈系の動脈硬化が目立つ。ずっとHbA1cが6%台で推移していたが、昨年末から体重増加があり、7.8%に上がっていた。

 紹介の新患患者さんが2名。ひとりは、髄膜腫で当地の基幹病院脳外科で定期的にフォローされている74歳女性だった。脳外科医の紹介状は、貴院受診を希望されているので、という簡単なものだった(患者さんに頼まれたので書きましたという感じ)。ふだんは循環器科クリニックに通院していて、当院には時々様々な症状で受診していた。私も以前1回診察したことがあった。診察した医師からは心気的な訴えが多いと思われている。

 話を聞くと、食間に低血糖様の症状(めまい・動悸・汗)があり、何とそのクリニックから自費で自己血糖測定器を購入して、血糖を測定したそうだ。食後血糖が200mg/dlを越すことがあった。また低血糖様の症状がある時には実際に血糖が60~70mg/dl台になっていた。この方は胃切除術は受けていない。体型はかなりやせている。クリニックのHbA1cからは糖尿病ではない。食後のoxyhyperglycemiaと反応性低血糖のようだ。ちゃんと自分で診断をつけたことになる。さて治療だが、胃切除術後なら欧米ではα-GIを処方するところだろう。この方の場合はそうもいかないので、食事のとり方を工夫してもらうことにした。

 食事の糖質量を減らしてもらうことと、食間(10時・15時・就寝前)の補食を入れてもらうことにした。どうなるか自信はないが、まずそれでやってみて、改善しない時は再受診とした。終わってから、75gGTTをやってみるべきだったと思った。

コメント
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