なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

フランス人と美食

2015年10月09日 | Weblog

 JDDWの特別講演は帝京大の廣田功先生。美食というと、日本では贅沢な物を食べることというイメージがあるが、本来は上手に食べること。1)美味しく食べること、2)健康的に食べること、3)楽しく食べることからなる。フラン料理は和食より早く2013年に世界無形文化遺産になっている。
 

 もともとのフランス料理はやたらスパイスを利かせるものだったそうだ。17世紀後半に他の国の料理とは違うと認識されて、自然の味を活かす料理になった。スパイスや砂糖を控えて、ソースのバリエーションで食べさせる。これを味覚革命(料理革命)という。18世紀になって、貴族と富裕なブルショアは高級料理を、それほど富裕でないブルジョアは簡素な料理を食べるようになった。18世紀後半には贅沢な料理よりも簡素な料理が良いとされた。フランス革命後に、貴族に雇われていた料理人がレストランを開くようになった。また安く雇える女性の料理人が、フランスの国民食(家庭料理)であるポトフを作るようになった。19世紀には社会全体に、つまりより下層に、そして地方に広がった。中央市場から朝市(マルシェ)に、そして家庭へと食料の流れができた。レストランは高級からものからリーズナブルなものまで、さまざまな種類ができた。1826年に「ガストロノミー(美味礼讃)」が出版された。19世紀後半に美食のガイドブックである「ミシュランガイド」ができた。20世紀初めに労働者の家にキッチンができて、美食の考えが広まり、第2次大戦後には農民にまで広がった。

 ところが1970年代からフランスの美食は危機を迎えた。マクドナルドなどのファストフードが入ってきて、さらに食事に時間をかけることができない時代になってしまった。消化器病週間にふさわしい話かな?

コメント
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