なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

残胃癌でした。

2012年11月05日 | Weblog

 内科クリニックからFAXが来た。1週間食事摂取できない98歳男性の紹介だった。老衰?とあった。家族は入院治療を希望しているという。さっそく来てもらった。年齢の割にはしっかりしていて、難聴はあるが、ちゃんと会話できる。先々月までは畑仕事をしていたという。嚥下障害ではない。何か胃腸に器質的な疾患が発生していると思われた。

 スクリーニングで腹部エコーを行うと、肝臓全体に腫瘍があった。原発ではないようだ。胸腹部CTで左胸水があった。11年前に胃癌で遠位胃切除術を受けた既往がある。残遺壁上部が全周性に肥厚していた。肝臓の多発性腫瘍とリンパ節腫脹があった。あまり苦しい検査はうけさせたくないという家族の希望があったが、診断のために上部消化管内視鏡検査をさせてもらうことにした。食道胃接合部が狭くなっているようだ。遠位胃切除術後の残胃でビルロートⅡ法の再建だった。噴門を取り巻くように全周性の不整な隆起があり、残胃癌だった。生検を行って終了した。つまり、残胃癌で多発性肝転移・腹腔内リンパ節転移があり、癌性胸膜炎もきたしている。残念なことに噴門に狭窄があり、水分と柔らかい食物は何とか通るだろうが、ある程度大きさのある食物は詰まってしまう可能性がある。

 連れてきた長男(といっても70歳台)に病状を説明した。兄弟は全部で7人いるが、食事を摂れなくなってからは、(原因にかかわらず)最期は苦しまないで終わらせたいという相談していたらしい。点滴をして少しだけ経口摂取してもらいながら、1か月くらい病院で過ごせればいいと思った。

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