なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

退院のはずが

2012年03月02日 | Weblog
 80歳台後半女性。脳梗塞。
 感染を契機に気管支喘息発作が続き、地元の診療所から紹介入院となった。酸素吸入・気管支拡張剤・ステロイド・抗生剤の投与で1週間かかったが、喘鳴が消失した。それまで使っていなかった吸入ステロイドを開始した。高齢者はドライパウダーがうまく吸えないので、スペーサーを付けてエアゾルタイプの吸入ステロイド(キュバール)にした。
 トイレまで自分で歩けるようになって、病室の廊下が長く歩きたいので歩行器を貸してほしいと希望した。自宅は寒いというので、2週間くらい病院で過ごしてから退院にする予定だった。
 ところが、廊下を歩いていて突然意識を失って倒れた。他の病棟にいたが、連絡を受けて駆けつけると昏睡状態だった。喘鳴はなく、血圧・脈拍は正常だった。左半身の麻痺があるようにもみえるがはっきりしない。舌根沈下していたので、まずエアウェイを挿入した。呼吸は安定しているが、気管挿管すべきかもしれない。
 脳血管障害、それも突然の発症から脳出血を疑った。急いで頭部CTをとったが、出血はない。続いて頭部MRIを行った。発症後間がないので、脳梗塞の所見が出ないかもしれないが、脳血管のかなり太いところが閉塞しているはずなのでMRAでわかると思った。MRIでは小脳の一部に梗塞巣があり、脳幹部が何だかおかしい。MRAで脳底動脈が閉塞していた。少し時間がたてば小脳脳幹梗塞が出現するはずだ。呼吸が止まるのも時間の問題だろう。せっかく退院するまでになっていたのに。
コメント
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