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ヤマザキ、フリーターを撃て!

元PKO部隊司令官が語るルワンダ虐殺

2006-01-11 03:38:15 | ドキュメンタリーとかテレビ
 NHK-BS世界のドキュメンタリー「元PKO部隊司令官が語るルワンダ虐殺」を見た。カナダの制作。PKO(国連平和維持部隊)のカナダ人元司令官がルワンダへ再び訪れる様子のドキュメンタリー。虐殺される人々を見ていた男。

 ルワンダってのはフツ族とツチ族にわかれてる。元々は同じ民族でベルギーやドイツが植民地政策で区別したんだ。農耕民か遊牧民かの違いや頭の大きさなどでわけていく。ツチ族はアーリア系の優秀な血でフツ族は下等民族と決められた。人口比では確か9対1くらいでフツ族が圧倒的に多い。長らくツチ族の支配が続いてたんだけど、94年に大統領の乗った飛行機を打ち落とすと同時にフツ族によるツチ族大虐殺が開始される。100日間で約80万人が殺されるという異常事態だ。そして国連軍はその光景をただ見ているだけだった。

 この人は「ホテル・ルワンダ」でのニック・ノルティが演じた役の人。いかにも色んな物を見てきたという厳しい顔をしていて似てる。虐殺が起こる前、司令官は虐殺を用意している武器庫の情報を掴む。そこで急襲すべく国連に指示を仰ぐが結果はノー。同時期にユーゴで内戦が起こっており、世界はアフリカなどどうでもいい。映画だと虐殺のための武器を売る商人まで出てくるらしい。国連も含めてみんな何が起こるかわかっていたんだ。そして地獄のような光景が広がる。

 国連軍のほとんどはベルギー軍だ。彼らが一番この国をよくわかってるから。しかし怒りの矛先は当然彼らに向けられて襲われる。そして司令官は徐々に精神に異常をきたしていく。帰国してからも酒浸りで自殺の欲求が続いたという。そして彼は自分の人生を取り返すためにルワンダで人々の状況を知っていく。

 死体だらけのキリスト教会、虐殺された人間の骨を並べてる光景。ここまでくると殺すということが普通の行為だったんだろう。元司令官はベルギーの議員に責め立てられる。なぜベルギー軍の殉職した軍人の葬儀にも謝罪にも来ないのだと。お前らベルギー人のせいだろうがと誰もが思うシーン。彼を責め立ててボロを出すのを待って彼の責任にするつもりだろう。何しろ彼は精神病を患って酒浸りになったんだから。

 番組ではこんな事は二度と起こらないようになんていう対岸の火事でなく、また起こるだろうと締めくくる。アフリカを線で引いて国家を植民地として別けた西洋社会。そのためにアメリカの州みたいに国境が直線になってる所も多い。ゾマホンが言ってたのを思い出す「アフリカに勝手に国境を敷いて同じ民族を区別し、争いを強要してきた西洋人は謝れ」って。

 しかしこれ見てて被植民地側の人間の無責任さも感じる。特に軍人やエリート層なんて民衆をけしかけて後から西洋のせいにすればいいんだから。
 


2 コメント

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引き裂いて金儲け (Ken-U)
2006-01-12 02:14:52
おじゃまします。

とんでもない数の人たちが殺されたわけですから、現地は別次元の世界のようになってたんでしょうね。正気ではいられないでしょう。

ひとつだったものをわざわざ引き裂いて争わせれば、そこは金儲けの場所になりますから、現地のトップとつるんでズブズブで収拾がつかなくなりますね。

これからもこういうことは繰り返されるんでしょうけど、どう捉えればいいのかよくわからなくなってしまいます。
金の力 (so-jaded)
2006-01-12 10:24:03
 驚いたのは現地が虐殺があったようにはとても見えない現在の状況でした。国連軍と現地の人間では見てる光景が同じでも全く違った印象をもったと思います。

 人間が残酷になれるっていう状況を利用する連中が一番あくどいですね。



 

 

 

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