三世の四季

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四季折々の詩(句)を紹介/新・人間革命

〈小説「新・人間革命」〉 

2017年06月02日 00時23分10秒 | 新・人間革命



雌伏 五十九 法悟空 内田健一郎 画 (6087)


 奄美の女子部員が、フェリーで奄美大島の名瀬港を発ったのは、二月十五日の午後九時過ぎであった。
 星々が、微笑むように夜空に輝いていた。
 フェリーに十一時間揺られ、十六日朝、鹿児島に着き、空路、東京へ向かった。
 羽田空港に到着したのは、午後一時過ぎであった。そこから、奄美と交流のある江戸川区を訪れ、同区の女子部との交歓会、セミナーに参加し、夜、遂に念願の創価女子会館の前に立ったのである。気温は摂氏二度。吐く息が白い。二月の平均気温が一五度を上回る奄美では、体験したことのない寒さである。しかし、皆の心は燃えていた。
 山本伸一は、彼女たちが奄美大島を出発したことを聞くと、無事を祈念して唱題した。そして、南海の友には、東京の寒さは体にこたえるだろうと、温かいお汁粉を振る舞うように手配したのである。
 創価女子会館でメンバーは、伸一の心尽くしのお汁粉に歓声をあげ、舌鼓を打った。
 また、前年の五月に女子部長になった町野優子を中心に勤行を行い、誓いを果たした“勝利の青春”の喜びを嚙み締めた。さらに、会長の十条潔から、伸一の、奄美の同志への大きな期待を聞き、師との出会いに胸を躍らせるのであった。
 翌十七日、午前中は、学会本部や聖教新聞社などを見学し、午後、貸し切りバスで、伸一のいる立川文化会館をめざした。
 「奄美の女子部は、まだかね」
 伸一は会館で、一行の到着を待ちながら、周囲の幹部に何度もこう尋ねた。
 交通の便もよくない離島にあって、ハブにも注意しながら夜道を歩き、同志の激励に、仏法対話に取り組んできた女子部員の奮闘を思うと、早く励ましたくて、じっとしてはいられない思いにかられるのだ。
 信心は、年齢でも立場でもない。広宣流布のために、健気に戦い、未来への門を開く人こそが、最も大切な創価の宝である――それが伸一の実感であり、信念であった。




【「聖教新聞」2017年(平成29年)6月2日より転載】




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