読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「料理通異聞」

2017年02月17日 | 日記
松井今朝子(幻冬舎)

 テンポ舗が良くて、読みやすい。要するに七五調かと思いきやそうでもないのだが、文語的な言い回しがそう思える仕掛けだと思われる。
 食べ物の話が出てくるとなかなかおいしそうだし楽しい。しかし全体のはストーリー展開はさほどに感じなかった。どうしてかな?

 内容紹介は(週刊誌の書評です)
『江戸のごちそうを文章で味わう
この著者は、きっとすごく料理が上手な方なのだろう。文章のリズムが、料理を作るときのテンポに似ているのだ。まるで大きな魚が手際よくさばかれていくのを見ているよう。
江戸の料理屋「八百善」の跡取り善四郎が、寺町の小さな店を将軍御成りにまで大きくしていく一代記。主人公の目を通して当時の富裕層の食文化を垣間見る……というとお勉強みたいだけど、料理屋のお座敷や台所を「どんなものを食べてたの?」とそっと覗かせてもらうような楽しさ。随所に「へーっ! 」という驚きがちらばっていて、どんどんページを捲ってしまう。
たとえば、この頃の精進料理には干瓢の出汁を使ったという。〈日向臭いような匂いがした〉とあるけど、確かに、干瓢を水で戻すときはそんな匂いがする。江戸時代は肉をあまり食べないぶん、植物系のうまみを繊細に使ったことだろう。おそろしく美味いんだろうなと羨ましくなる。
卓袱(しっぽく)料理の話も面白い。長崎では丸い卓を皆で囲んで食べる料理が流行りと聞いた善四郎が再現を試みるのだが、大きな卓を見た息子は目をまるくする。そういえば、江戸時代はめいめい膳で食べるのが普通だった。この唐土伝来の円卓が後の“卓袱台(ちゃぶだい)"となるとサラリと書かれる。へーっ! 卓袱台なんて昔っからお茶の間にある物だと思っていたら、よもや舶来品とは。未知のことなのに、どこかで現代の私達とつながっている。そんな親しみのある驚きだから、誰でも楽しむことができるのだろう。
どんな時代でもどんな社会でも、ものを食べない人はいない。だから、そもそも食という題材自体、誰でも興味が湧きやすいのだ。
鱸(すずき)、鯛、鮎に瓜や茄子、みょうが……。登場する食材は今でもおなじみのものだ(あ、鶴は別ですよ。鶴をどんな風に食べるかは読んでのお楽しみに)。ステーキや寿司、天ぷらに慣れた現代で実際に並べられたら、ごちそうとは思えないかもしれない。なのに文章からごちそう感が溢れてくるのは、善四郎が食材を吟味し、手間ひま惜しまず、工夫をほどこしているのが伝わってくるからだ。
出生の秘密に惑ったり、旅に出たり、芸者に恋をしたり。各章で色々なエピソードが繰り広げられるが、いつも物語の中心には善四郎の料理への熱意がある。小僧の頃から隠居まで変わらない真っ直ぐさが好ましく、つい応援してしまう。
丁寧な仕事、一途な生き方。綺麗なものを見たな、という思いで本を閉じた。ただ一つ困るのは、善四郎が作る江戸の料理が食べたくて堪らなくなることだけど。
評者:瀬尾 幸子
(週刊文春 2016.11.28掲載)

内容紹介
江戸に一代で名を轟かせた料亭「八百善」。料理を文化にした男、栗山善四郎の一代記!
天明二年。江戸は大地震に見舞われた。まだ騒然とした空気が残る中、栗山善四郎は御金御用商・水野家で、料理に関係のない奉公生活を続けている。
料理屋の自分が、元服した今になってなぜこの家に預けられたのか? 家人たちの様子から、善四郎はうっすらと自らの出生の秘密を感じ取っていた。
困っている者を見ると放っておけなくなる性分から、ある日、貧乏旗本の娘、千満の病床の父親に料理を届けるが、ほどなく千満は姿を消す。自分でも驚くほど気落ちした善四郎は、千満への想いにようやく気付くのだった。
実らなかった恋を抱えながらも、水野の主人の供として評判の店「升屋」を訪れた善四郎は、江戸一の潮汁を堪能し大いに満足する。手持ち無沙汰に廊下に出たところへ、庭から白い鞠が飛び込んでくる。「遅い、遅い」と笑いながら鞠をせかす相手は、相当な身分の様子。これが、姫路藩主の次男にして、江戸を代表する文化人として名を馳せる、後の酒井抱一との出会いであったーー。
相次ぐ天災と混乱の時代に、料理の才覚と突出したプロデューサー資質で頭角を現し、ついに一料理屋を将軍家のお成りを仰ぐまでの大料亭にした、栗山善四郎。
大田南畝、酒井抱一、葛飾北斎——そうそうたる時代の寵児たちとの華やかな交遊、そして、想像をかき立てられる江戸料理の数々が登場! ! 』

食べ物好きなみなさん、どうぞお手に取って。。。(個人的には)買うほどには非ず・・・ですが。

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