min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ダン・シモンズ著『ハイペリオンの没落 上・下』

2013-06-06 18:20:08 | 「サ行」の作家
ダン・シモンズ著『ハイペリオンの没落 上・下』ハヤカワ文庫SF 2001.3.20 第一刷 

オススメ度 ★★★★★

「ハイペリオン」第一部で謎として残されたものが、第二部で怒涛の勢いで明らかにされる。と言っても僕が果たしてその解答を全て理解出来た訳ではない。

7人の巡礼は誰が送り込んだのか?シュライクという怪物は一体何か?時の墓標ってなんだ?時空を超えてカッサード大佐にからむモニータって何者?
転移装置ってまるでドラエモンの“どこでもドア”?テクノコアは何処に存在する?

一応解答らしきものが与えられるが未だに謎の部分が多すぎるのだ。
だが、面白い!一体全体どんな頭があればこんな物語が描けるのであろう!?ダン・シモンズという作家に畏怖の念すら感じる。
本編の中身はSF小説であるばかりではなく、上質の冒険小説であり、ポリティカル・ノベルであり、歴史小説であり更に恋愛小説とも言える。これだけありとあらゆる要素を詰め込んだ小説は類をみない。
ただひとつ言えるのはやはり西洋人的な発想というか根幹に据えられているものが「キリスト的世界観」から逸脱してはいない、といこと。
また我々東洋人には馴染みが薄い「ギリシャ神話」がバックにあり、そのギリシャ神話を謳ったジョン・キースという18世紀の詩人の存在が大きい。この辺りの知識の素養があればより本編を楽しむことができよう。
とまれ、“ハイペリオン”シリーズがSF小説界における金字塔であるという評価はゆるぎないものと確信する。



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