A DAY IN THE LIFE

hiroshi sugawara

さよなら

2009-12-31 | Weblog
さて2009年最後の日です。

今年も色々な事がありました。
365日には楽しい事も悲しい事もたくさん...。

けれど思い返せば、大きな病気をした訳でもないし
不幸な事があった訳でもないし、取り返しのつかない失敗もなかった。

それどころか、毎日笑ってばかりだった気がする。
特別ラッキーだったり、大金持ちになった訳じゃないけど。
普通に目を覚まし、生活をするという毎日が楽しかった。


そんな2009年も今日でおしまい。


昨日一昨日と大掃除をした。
気になっていた部屋の汚れを片っ端から徹底的に掃除した。
全身びしょぬれになりながら、外壁の汚れまで落とした。

今年の汚れは今年に残しておきたかった。
今年汚したものは、今年という時間の中に置いて、さよならを。


来年もこうして笑いながら生活をしていきたい。
そして、いつまでもそうして生きられるように頑張っていこう!!



ここのブログは今日で最終回。
読んでくれてありがとう。
またどこかで始めます。
それまで、さよなら。



051226

2005-12-26 | Weblog
場所は僕が撮影で定期的に訪れている、山の中にある木々に囲まれた古く大きなお寺。

早朝ひとりで、入り口から濡れ縁を通って中に進もうとしたら、
そこの神主らしき人に背後から怒鳴られた。
驚いて振り向いてみると、その人は僕に向かって怒鳴ったんじゃなくって
僕の先を歩いていた白い浴衣を着た女の人に対していたらしい。
「僕が怒られたかと思いましたよ」と言うと、
「いや、あなたじゃないんですよ。何度言っても聞かなくて...。」
と、その神主らしき人は答えたのち去って行った。
僕はここから中に入るのをやめた。

その入り口の右手には、古いながらも奇麗に磨かれた漆黒の踊り場が見える。
僕は靴を脱ぎ、その踊り場を静かに横切り、レリーフのあるちょっと傾きかけた
大きな門をくぐり抜けた。
その門を越えると、少しだけカビの匂いがする暗く大きな階段が高くあった。
誰も居なく静かなその階段を数段上った所で、後ろから大勢の声が聞こえてきた。
振り返ると、仕事仲間らしき人達がガヤガヤと踊り場の中に入ってきている。
何だか騒がしいなあと思いつつ、僕も階段を戻りその中に入って行った。


新幹線の中で僕は封筒を取り出した。
中には写真が一枚とカメラ店のポイントカードが一枚、そしてレシートが入っている。
プリントされた写真を裏に返してみると汚い字で手紙が書いてある。

「ここに来て私は生まれて初めて美しさを知った。夏の光に照らされている木々は
とても奇麗だ。また来年も見てみたい。(そんなの無理なんだよね...あはは)
あの時死んでしまった人、そして今でも苦しんでいる人達に対して私はどんな
お詫びをして良いか判らない。とても申し訳ない事をしてしまった。
私には刑が執行されるが、その前にあなたには一言お礼を言いたかった。」

そんな内容が書かれている。
僕はもう一度裏返し、その人が自分で撮ったらしき写真を見た。
それは先ほどの山の中にある古いお寺の裏庭からの風景だった。
恐らく脚立か箱にでも乗ったのであろう、少しだけ高めの視線からは、
山の斜面に建つお寺の裏庭からの風景が一望出来た。
庭に咲く黄色い花々。通路のように仕切る為の腰程の高さの垣根。
後ろ右手には深く針葉樹が生い茂り、真中から左手には遠く斜面から
その先に続く山々の頂きまでが見えた。
またそれらの木々は文章の通りに、夕方の傾いた逆光に照らされ輝いていた。

文面から僕はその人と面識があるようなのだが、はっきりと思い出せなかった。
初老の労務者風な人だったような気もおぼろげにする。
僕はその場所では、年をとった人としか会った覚えがなかったのだ。
また写真の事を立ち話ししたような気もするが、その相手を思い出す事は難しかった。
いずれにせよ、もう随分前の話しだし、僕はそこでは色々な人と会っていたので
一人一人の事を全て憶えている訳ではなかったのだ。

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この場所に来て、今まで気付かなかった美しい風景がある事を初めて知った。
僕と話した事をきっかけに、その奇麗な世界を写真に納め始めた。
この人は何かの罪を犯した事により死刑に処せられる。
その前にその人は、僕に何かのお礼をしたかった。
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手紙を膝に置きポイントカードを見ると数千円分溜まっているようだ。
レシートからはポラロイドフィルムを数箱買った事が判る。

新幹線が後ろ向きに動き始め、僕は視線をあげた。
続く天井を蛍光灯が明るく柔らかく照らしていた。




こんなに長い文章に付き合わせてしまって申し訳ないですが...もう少し。

これは今朝見た本当の僕の夢なんですよ。
あまりにもハッキリとディテイルまで憶えていて、目覚めた時には身体が
少し浮かんでいる様な、なんとも不思議な気分でした。
それに夢の中で見たのは、ほとんどが僕の知り合いではなかったし、
そのお寺も行った憶えのない場所でした。

だけど、ひとつだけ確かな事が夢の中にはありました。
それはそのお寺の裏庭からの風景の写真を見た時に、僕はそれを懐かしく感じた事。
そこに写っていた風景や木々の色合いではなく、その「写真自体」に。

僕は夢から覚めた後に、ボンヤリと天井を見ながら考えていました。
「いつどこで僕はあの写真を見たのだろう?」
考えていたら、ひとつ思い出した事がありました。
あの写真の中では、逆光に照らされ小さな虫が沢山飛んでいたのでした。
夢の中では気付かなかったよ...。