sigh of relief

くたくたな1日の終わりに、
熱いコーヒーと、
甘いドーナツと、
友達からの手紙にほっとする、感じ。

映画:アンナとアントワーヌ

2016-09-17 | 映画


阿呆な副題が、また付いておりますよ。「〜愛の前奏曲(プレリュード)〜」
だっさー!あほちゃうか!
というような言葉遣いは、ブログではほとんどしないようにしてるんだけど
本当にどういうセンスでこんなタイトルをつけるんだろうなぁ。
原題は「un + une」
”un” も”une” もフランス語の冠詞です。英語で言う”a(an)” ですが
フランス語には男性名刺と女性名詞があるのでunとuneはそれぞれの冠詞で
これは誰でも普通に、この有名監督の名作「男と女」をイメージさせられますね。
そういう原題なので、邦題に訳すのは難しいと思うけど
普通に「アンヌとアントワーヌ」だけで全然いいのにな。
日本版予告編にも「大人の恋の始まり方」なんてテロップが挿入されてる。
うわー。安っぽーーー!あきれてものがいえない。

これは、クロード・ルルーシュ監督+フランシス・レイ音楽の新作と聞いても
この阿呆な邦題と、ポスターの写真の雰囲気で
見るのやめとこうかなぁと思うくらい期待せずに見たんだけど、
予想よりはずっと面白かった。完成度では「男と女」と比べるべくもないけど
今の時代に違和感なく、インドを舞台にしてても「男と女」のルルーシュのままで、
その変わらなさが、いい方に作用したと、わたしは思います。
そして見た後に猛烈に、女友達とあれこれ喋りたくなる映画!
(友達に勧めまくって、みんなが見るのを待ってる。笑)

作曲家の男がインドの有名監督に招かれて映画の音楽をつけに行く。
そこで招待された、フランス大使の晩餐会で、大使の妻と知り合う。
大使の妻が、子供を授かるために聖母のアンマに会う巡礼の旅に出るというので、
頭痛がひどく悪い病気を心配した男は、神頼み的に途中から同行することにする。
ガンジス川で沐浴をし、アンマと感動の対面をした二人は
互いにどんどん近づいていって・・・というお話。

ルルーシュはインドに何か美しい夢を見たんだろうなと思うけど
このスピリチュアル趣味のヒロインはいただけないなぁ。
欧米人の安っぽい東洋神秘主義への憧れが、そのままな感じの
甘ったるい夢見るロマンチスト女性で、なんか薄っぺらい。
そもそもそれ以前に髪型がもっさりしすぎ。とても古臭い。
童顔風な垂れ目のもっさりした下膨れの顔にこの髪型はダメだなぁ。
心は少女の、乙女チックなおばさん、にしか見えない。
上に貼った予告編1分30秒に一瞬出てくる、前髪揃えてまっすぐおろしてる顔は
ずっとすっきり、少し大人の女ぽく見えるのにな。
「男と女」のアヌーク・エーメの髪はものすごく憧れたので、ここは厳しいです。
ただこの女優さん自身は上手いし魅力的だと思いますよ、
髪型をなんとかして、セリフをなんとかしたら・・・。

作曲家の男は、とにかく自分好き男。何より自分が好き。
最初の方のシーンで、女性との親密なやりとりの中だけでもわかる。
女を愛するのも、愛される自分が好きだからだろうなと思うタイプですね。
にやけた色男ですが、才能はあるし馬鹿ではないし優しさもある。
そういう男ですが、パリに情熱的で勝気で美しい恋人がいて、
この恋人は彼にとって今までの女性とはちょっと違うみたいなので、
最初男がふらふらしても、きっとこの女性がヒロインなんだと思ってたけど
どうやら違うとわかったのは、随分たってから。
結構途中までずっと、重要な脇役にすぎないと思ってた、
チャーミングだけどもっさりした女性の方がヒロインだったとは・・・。

このヒロインの夫の大使は、ときどきなんだか怖い嫌な目をするんだけど
二人の出会いのエピソードや、二人の仲良くしているシーンでは
とても優しく暖かでユーモアのある人に描かれていて、
こういう人が独身でいないかしらん、わたしのまわりにも、と思ってしまう
知的で寛容で妻を一途に愛して大事にする人。
でも、きっと複雑な人間なのだろうと思ってたら、
これ「サブウェイの」クリストファー・ランバートがやってるのね!
あのパンクのツンツンヘアの若者が、こんな渋いおじいさんに・・・
光陰矢の如し。

予告編を見れば十分わかるように、映像はとてもきれいです。
インドの混沌も、本当にきれいに撮ってある。
でもポスターのスチールはちょっと、ゴチャゴチャしすぎかなぁ。
ポップでさえある。この映画に、若者ぶったポップさはいらないのにな。
ポスターは日本版が悪いわけじゃなく、フランスでも同じだったようで
ルルーシュがインドっぽさ、エキゾチックさをねらって
原色っぽいのを選んだんだろうけど、あまりしっくりいってない感じがします。
もっとしっとりしたいい写真がいくらでもあっただろうに、残念。

そして、この映画の中で撮影されている映画は、かなり陳腐です。
ロミオとジュリエットを下敷きにした恋の話の映画なんだけど
結構、この映画のシーンは多いのですが、こんなに陳腐なら
もっと短くしてごまかせばいいのにとまで思いました。
まあ、長すぎもしないし退屈もしないけど。

ラブストーリー映画なので、
友達とあれこれ感想をおしゃべりするときは、それぞれの恋愛観を語る
恋愛論になるでしょうね。気楽な言いたい放題の恋愛論は、楽しいです。

ここからちょびっとネタバレあるかも。ちょびっと。

ここに描かれている恋愛は、
恋に落ちるときに、背負っているものがあるなら
ちゃんと覚悟をして落ちないといけないのになぁと、
大人なのに、そんなこともわかってないのか?と思ったけど、
そんなこともわからなくなるのが恋でもあると思うと、仕方ないか。
そういうわけで、嘘をついてそのまま何もなかったことにするか
全て白状し、しがらみを切り捨ててふたりで出直すか。
このふたりは、どちらの覚悟もできないまま、
外からの力で問題の選択に直面します。
そこからの流れは、交響曲のラストでジャンジャンジャーン!が終わった後
もう一、二度ジャンジャンジャーン!が来るような感じ。
ふつっと終わったかと思うと、余韻を味わい直すようなことがあり、
でも、またそのまますれ違っていくかと思うとまた、と
中々簡単に終わらない、ちょっとしつこい感じでした。笑
「男と女」のラストと、そのずっと後に撮られた続編を
うんと縮めたようなラストかな。
誰と誰が結局別れて誰と誰が結ばれ、その後どうなるのかは書きませんが
書いても、またさらにその後どうなるのかは、見る人ひとりひとりの
恋愛論の中にそれぞれにある、のかもしれませんね。
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