sigh of relief

くたくたな1日の終わりに、
熱いコーヒーと、
甘いドーナツと、
友達からの手紙にほっとする、感じ。

映画:わたしはダニエル・ブレイク

2017-04-05 | 映画


ケン・ローチ監督とは、あまり合わない気がする。
いいとは思うんだけど、なんか地味で、わたしにはあっさりしすぎていて。
人をステレオタイプに描かないという信念のせいで、あっさりしちゃうんだけど。
「天使の分け前」も、最初見たときもちょっとそういう印象だったんだけど
あとからじわじわと好きになってきたので、嫌いなわけじゃないんですけどね。
「天使の」は現実社会の問題と底辺の人たちは描かれているとはいえ
ウィスキーがおいしそうな映画なので面白かったのかな。笑
「ダニエル・ブレイク」の方は、がっちり社会問題と人の絆がテーマなのですが
「モンロワ」と「未来よこんにちは」の間にちょうど見られる時間帯だったので
その日に3本見ました。今年初めて3本はしごしました。背中痛かった。笑

主人公のダニエル・ブレイクは、ちょっとジャックレモンを
ツルツルな丸顔にしたような顔。
ここでは大体シリアスな演技ですが、コメディもできそうな俳優さんだと思ったら
元々コメディアンなんですね。映画初出演らしい。お見事。
59歳の役なんだけど、おじいさんっぽい。
自分とそんなに変わらないのかと思うと微妙な気分です。笑

心臓の病気で、医者から働いてはいけないと言われたダニエル・ブレイク。
国の福祉援助を申請するけど、お役所ってどこもああなのかしらん。
医者に就業を止められてる人間を、就労可能だと裁定し、
失業者の援助を受けるためには就職活動をして、その証明を出せと言う。
その申請もネットで、と言われ、
コンピュータは持ってないしわからない、電話番号を教えてくれと頼むと
電話番号はホームページに載ってるからそこで見ろと言われる・・・え?
ザ・お役所対応。
さすがにここでは観客席に苦笑が広がりました。

これは特別なことではなく、イギリスで実際に起こっていることのひとつらしく
頭蓋骨の半分を失って重度の記憶障害と半身麻痺を抱える男性に対し、
英労働年金省(DWP)が就労可能の裁定を出したり、
複数の症状を訴えていた男性がロンドンの失業保険事務所で
就労可能と裁定され、その帰りに心臓発作で亡くなったという話も見かけた。
働かない人は死ね、働けない人は価値がない、とでも言わんばかり。
日本の生活保護の受けにくさ、生活保護叩きと同様のことが、
よその国でもあるんですねぇ。

不条理な対応に怒りながらも言われたことをやっていく実直なダニエル。
図書館?公民館?のパソコンで、人に聞きながら一生懸命とりくむ。
就職活動も、就職できないのに、言われたからには一応頑張る。
でもお役所の対応は全く良くならなくて途方にくれているとき、
そこで、二人の子供のいる若いシングルマザーと知り合います。
子供に食べさせるため自分は食事ができないくらい貧窮している彼女を
なにくれとなく助け支えるダニエル。

破れた靴でいじめられる娘のため苦しい決断をする母、
それを知ったダニエル、ダニエルに知られたことを知った彼女、
なんとも悲しいシーンです。
後半はそういう切ないシーンが多くて涙が出ました。

印象に残ったのは、ダニエルの、亡くなった奥さんについて語るシーン。
奥さんは気分の浮き沈みの激しい難しい人で
最後は心を病んで亡くなるまでダニエルが介護していたということなのですが
それでも奥さんを愛して最後まで大事だったという、ダニエルのやさしさ。
テーマとは関係ないシーンだけど好きなところです。

ダニエルのお隣さんのチャイナという男の子も、いい味を出しています。
違法なことをしているのだけど、国の壁などひょいと越えて
外国の知り合いとサッカーで盛り上がるシーン。
この子も社会の底辺にいる子だろうけど、明るくたくましくやさしい子。

一番のクライマックスは、ダニエルが役所の壁に落書きするところですが、
体制への反抗が、そのレベルなので、映画としては地味といえば地味ですよね。
でもそこが多くの人々のリアリティなんだろうし、
それを丁寧に描いた作品ということで、丁寧に見るべき映画でしょう。
やっぱり地味でわたしの好みとは少し違うにしても、
ケン・ローチはもっと見ないといけないかなぁと少し反省。

ケン・ローチの言葉
「社会には弱者はいるものだから助けてあげましょう、というのは右派の芸術作品だ。左派は弱者がいる状況に抵抗する姿を描く」
「『アジテート、エデュケート、オーガナイズ』という古い言葉がありますが、映画にできることは『アジテート』です」
「映画というのは、たくさんの声があるなかでの、ひとつの小さな声にすぎず、決して政治的なムーブメントではありませんし、そうしたくもありません。新聞や、テレビなどに比べれば、一本の映画は小さな声に過ぎません。映画にできることは、社会に良い変化をもたらすことができる人々を応援することくらいではないでしょうか。」

→ケン・ローチ監督インタビュー
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