どの職種でも、人を相手に仕事をするのであれば、接遇というのはとても大切なものだと思います。
接遇というと、「マナー」のようなニュアンスに聞こえがちですが、私は、接遇は、医療者が患者さんやご家族ととるコミュニケーションの基礎、つまり、ケアの基本でもあると思います。
残念ながら、病院では、職員全員の接遇が「ばっちり!」というわけではありません。
時折、
「あーなたー、どうして、看護師になったのさー。」と肩を叩いて、耳元で本気で囁きたくなる看護師さんに遭遇することがあります。
その気持ちは、同じ看護師として「残念!」という気持ちと、「あーなたーと同じ看護師として見られて、○○病院の看護師ときたら、なっとらんっ!」と同じ扱いを受けたくないわー、といういらだちの気持ちがあります。
患者さんやご家族に、病気の進行、お別れの時間が近づいてきていることなど、とても残念なことをお伝えしないといけないことが、緩和ケア病棟では多々あります。
その時に患者さんやご家族と交わした言葉のやりとりを、カルテに記載すると単なる文字ですが、実際には、その言葉には必ず感情が伴います。
感情は、言葉だけで伝わるものではなく、表情や口調、声のトーン、間合いなど、いわゆる非言語的コミュニケーションのすべてでもって伝わります。
それなら、患者さんやご家族と面と向かって会話している時だけでなく、スタッフ同士のやりとり、1人で廊下を歩いているときですら、自分達が意識すらしていない「何らかのメッセージ」を患者さんやご家族に発していることになります。
患者さんやご家族は、私たち医療者の一挙手一投足をみている。
私たちは見られている、この意識を持つことはとても大切なことだと思います。
私たちが一から十までを言葉にしなくても、患者さんやご家族が私たちの「療養のサポートをさせていただきたい」という気持ちを受け取ってもらえるのは、普段のやりとりがあるからだと思います。
私たちのコミュニケーションのあり方如何で、患者さんやご家族は安心感を持ったり、不安や怒りを抱いたりします。
私は緩和ケア病棟でケアをさせていただくようになって、今まで以上にコミュニケーションというものの大切さを実感できるようになりました。
患者さんやご家族のおかげですね。
ありがたい。