271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

『マンガ 物理に強くなる』(自由落下)

2008-09-09 05:43:14 | 読書
今朝から随分涼しくなって秋を感じます。読書の秋ですが日曜日もマンガを読んでいました。マンガで科学を解説する手法は多くの場合がっかりする結果になっています。しかしこの『マンガ 物理に強くなる』(ブルーバックス、関口知彦原作、鈴木みそ漫画)は良く仕上がっていて、お勧めです。原作者と漫画家の苦労の足跡は「漫画家のあとがき」に記されています。制作には5年を要しています。

私は滑り台屋なので本書が扱う力学は「飯の種」ですが、先月も営業に出かけて「重い人が速く落ちる」と思っている人に出会いました。皆さん学校で自由落下の法則は既習のはずですが、教育の効果はこの程度です。試験で赤点つけるのは簡単ですが、このことを直感的に納得してもらうのはとても困難です。

本書ではガリレオの思考実験に習って、重い石と小さな軽い石を結んで落としたら、中間の速度で落ちるのか、それとも更に重くなるのだからもっと速く落ちるのかを問います。そして実験の結果が示されます。重さによって落ちる速度が違うという前提が崩されるのです。滑り台の場合、滑面に接しながら運動するのでこれを納得してもらうにはもう一工夫必要でしょう。

ピサの斜塔の絵が出てきて私はドキドキしました。通説のようにガリレオはここで実験して自由落下の法則を得たように書くかなと。でもさすがです。
「本当は実験はやっていなくて
後から作られた伝説だって言われているけどね」

とってもよく出来た漫画ですが、注文を少し。ガリレオ・ガリレイを略して呼ぶ場合は「ガリレオ」として欲しい。Wikipedia日本版にも出ていますが、ガリレイはガリレオの複数形なので「ガリレオ家の」という意味になるのです。
慣性の法則の発見を斜面の思考実験によるように書かれていますが、振り子の実験からこれを発見したと書いた方が事実に近いのではないでしょうか?『新科学対話』にある斜面の絵で実験をするにはお粗末過ぎます。

蛇足ですが、同じ講談社の青い鳥文庫『七時間目のUFO研究』(藤野恵美原作)もお勧めです。

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5 コメント

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科学は信仰と違うか? (Hal.T)
2008-09-09 14:09:06
いろんな自然現象を話していて、物理の基本的な概念をよく理解していない人が大半。以前は、物理教育が悪いのかと思っていたんだけれど、今はそういうことではなく、生活内での科学は一種の信仰だと思うようになりました。

いや、そうじゃない、科学は信ずるとこに無い!。まあまあ、沿うおっしゃるのはわかりますがね。

多くの場面では、いちいち物事の原理を突き詰めるのではなく、ある瞬間に想起するイメージでことを処理するってのは一種の信仰と言ってもいいでしょう。

信仰だって、疑いぬいて新を表明する。それをプロフェッスと言います。その信仰表明がプロフェッサの語源。

そうは変わらないとすれば、何が違うのか、はじめの言とは異なりますが、やはり科学教育をしている牧師さん宣教師の未熟さかもしれませんな。

心底、納得できる説明を与えていず、おざなりの実験で科学教育した気になっているのではと思います。ただし、私にその力量が無いのも事実なので人のことは言えない。人のことは言えなくて物申すのを評論家と言いますな。では、ばいちゃ。
高速カメラ (Hal.T)
2008-09-09 14:11:10
せっかく、高速カメラを持っているのだから、どこぞの口演のタワーの上から

大きい鉄の塊と小さな鉄の塊を、糸で結わえてぶら下げる。糸を切断して落下地点を撮影する。

やってみたらどうですか? 論より実験!
Unknown (niwatadumi)
2008-09-09 22:59:17
こんばんは。
僕は同じ講談社ブルーバックスの『マンガ 化学式に強くなる』(高松正勝原作、鈴木みそ漫画)を持っています。2年で第8刷なのでわりと売れていたのでしょう。高校化学のごく一部だけしか扱っていないのが不満ですが、マンガで網羅するためにはページ数が膨大になりそうですし、一人の漫画家さんでは時間も足りないでしょう。
同じ漫画家さんが物理の方も描いている由、今度読んでみます。
アリストテレス (271828)
2008-09-10 04:58:25
Hal.Tさん おはよう

日常生活を普通に送るには物理の知識を必要としません。でも一般の人が持っている自然現象の知識は信仰とは意識していないでしょう。未開社会ではこれらの知識が信仰と結びついていたとしても不思議ではありません。

先のオリンピックのセレモニーで漢民族の偉大な発明として紙が取り上げられました。でも紙と火薬と羅針盤を発明した国は大地が丸いことを西欧に教わったのです。日本も50歩100歩です。

科学で重要なことは問題意識ではないでしょうか?物の落ちる速さが重さに依存するかどうかを考えようとしたことが偉いのです。
自然の法則を神様抜きで考えようとしたことが科学の始まりですね。アリストテレスの『宇宙論』や『生成消滅論』には神様という便利なアイテムは登場しません。

実験は問題意識(知りたいと思うこと)が先にあってそれを計画するのでしょう。私たちが理科室で見せられたのは単なる操作でしかなかったのです。

鉄球の落下をハイスピード撮影も出来るけれど、空気抵抗を含む微分方程式を思い出して、イマイチ興が乗らないのです。

青い鳥文庫も (271828)
2008-09-10 05:07:04
niwatadumiさん おはよう

化学の漫画の出来はどうでしたか?こんど本屋で立ち読みしてみましょう。

本文末でちょっと触れた青い鳥文庫『七時間目のUFO研究』(藤野恵美原作)もお嬢さんと一緒に読むと楽しいでしょう。
もう一つ児童文学。『 砂の妖精 』(福音館文庫) イーディス ネズビット (著)もお勧め。著者についてこのブログで取り上げたいのですが、なかなか時間が取れません。

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