
先日、ある方からメールで質問を頂きました。
螺旋階段のパイプ手摺りを取り付けるに当たり、パイプの曲げ加工について加工業者にはどのように発注すればいいのか、お教えいただけないでしょうか。
直径(D-d)メートルの円筒外周からdメートル離れた位置に、外径1インチ2分(1・1/4 B)、SGPの定尺(5.5メートル)を溶接でつないでいく予定ですが、平面上のRと立面の角度だけでは曲げ具合がよくわからないのです。平面上のRよりも緩くなることはわかりますが、具体的に定尺パイプをどのように曲げる(寸法、曲げ施工ともに)のか。
ガス管 (1・1/4 B)は32Aとも称されて、外径42.7mm、肉厚3.5mmです。定尺は5.5mで、ソケットで接合することが多いので、ネジを切るために構造用鋼管に比べて肉が厚いのです。ベンダー加工をする業者は沢山あって、平面図と立面図を示せば望みの形状に曲げてくれます。
パイプベンダーには様々なタイプがあって最も単純なのは型を押し付けて曲げるタイプです。
配管工事には使えても螺旋は出来ません。
最も一般的な3ローラー式のベンダーで、このベンダーの動作原理は3点が決まれば円弧が決まるという幾何学に基づいています。そしてこのマシンではアタッチメントを操作して螺旋曲げが可能になります。ロシア語はさっぱり分かりませんが、動作原理は明解です。
私の知る限り最もハイテクなCNCベンダーは日本で開発されました。
昔々のことになりますが、この機械を開発した日進精機へ工場見学に行った事があります。良い思い出でした。いまこの動画を見ながらこの機械で螺旋を生成することを考えてみます。パイプを押し出す口金(ダイス)を上下左右に動かすことで望みの曲線を得ているのですが、何もしなければ(素通しならば)直線、ある一方向にシフトすればその方向を含む平面に円弧が出来ます。シフト量を調整すればスパイラルが得られるでしょう。つまり曲率の連続的な変化です。ただし機械と加工物が干渉しない事が条件です。
3ローラーのベンダーでは力の加え方からパイプの真円度が失われることが避けられませんが、ダイスを通して押し出す方式では真円度が保たれます。奇麗に仕上がるので家具や原発関係の配管に多用されるのも頷けます。
見出しの画像はwxMaximaで描きました。まず load(draw)$ としてパッケージを読み込み、以下のように打ち込みます。gnuplotが絵を吐き出してくれます。
draw3d(
color = blue,
nticks = 60,
line_width = 3,
enhanced3d = true,
parametric(0.5*cos(cos(%pi/6)*s/0.5),0.5*sin(cos(%pi/6)*s/0.5),s*sin(%pi/6),s,0,5.5)) $
常螺旋の定義は上から見た角度ではなく、曲線長sをパラメータとしています。そして長さsの範囲は0〜5.5mです。螺旋の接線が平面となす角度をt、上から見た半径をrとすれば
x(s,t):=r*cos(cos(t)*s/r)
y(s,t):=r*sin(cos(t)*s/r)
z(s,t):=s*sin(t)
と書けます。

小林昭七さんの『曲線と曲面の微分幾何』(改訂版)をお持ちの方は26ページをご覧下さい。sについて2階微分して曲率を計算すると以下が得られます。
cos(t)^2/abs(r)
ベンダーの曲げRは曲率の逆数ですから、平面図で描いたRの(1/cos(t)^2)倍になります。角度が30度の場合は4/3倍になることが計算できます。曲線を弧長をパラメータとして扱うことは微分幾何学の常套手段ですが、工学(もの作り)でも極めて有効です。
↓ポチッと応援お願いします!

螺旋階段のパイプ手摺りを取り付けるに当たり、パイプの曲げ加工について加工業者にはどのように発注すればいいのか、お教えいただけないでしょうか。
直径(D-d)メートルの円筒外周からdメートル離れた位置に、外径1インチ2分(1・1/4 B)、SGPの定尺(5.5メートル)を溶接でつないでいく予定ですが、平面上のRと立面の角度だけでは曲げ具合がよくわからないのです。平面上のRよりも緩くなることはわかりますが、具体的に定尺パイプをどのように曲げる(寸法、曲げ施工ともに)のか。
ガス管 (1・1/4 B)は32Aとも称されて、外径42.7mm、肉厚3.5mmです。定尺は5.5mで、ソケットで接合することが多いので、ネジを切るために構造用鋼管に比べて肉が厚いのです。ベンダー加工をする業者は沢山あって、平面図と立面図を示せば望みの形状に曲げてくれます。
パイプベンダーには様々なタイプがあって最も単純なのは型を押し付けて曲げるタイプです。
配管工事には使えても螺旋は出来ません。
最も一般的な3ローラー式のベンダーで、このベンダーの動作原理は3点が決まれば円弧が決まるという幾何学に基づいています。そしてこのマシンではアタッチメントを操作して螺旋曲げが可能になります。ロシア語はさっぱり分かりませんが、動作原理は明解です。
私の知る限り最もハイテクなCNCベンダーは日本で開発されました。
昔々のことになりますが、この機械を開発した日進精機へ工場見学に行った事があります。良い思い出でした。いまこの動画を見ながらこの機械で螺旋を生成することを考えてみます。パイプを押し出す口金(ダイス)を上下左右に動かすことで望みの曲線を得ているのですが、何もしなければ(素通しならば)直線、ある一方向にシフトすればその方向を含む平面に円弧が出来ます。シフト量を調整すればスパイラルが得られるでしょう。つまり曲率の連続的な変化です。ただし機械と加工物が干渉しない事が条件です。
3ローラーのベンダーでは力の加え方からパイプの真円度が失われることが避けられませんが、ダイスを通して押し出す方式では真円度が保たれます。奇麗に仕上がるので家具や原発関係の配管に多用されるのも頷けます。
見出しの画像はwxMaximaで描きました。まず load(draw)$ としてパッケージを読み込み、以下のように打ち込みます。gnuplotが絵を吐き出してくれます。
draw3d(
color = blue,
nticks = 60,
line_width = 3,
enhanced3d = true,
parametric(0.5*cos(cos(%pi/6)*s/0.5),0.5*sin(cos(%pi/6)*s/0.5),s*sin(%pi/6),s,0,5.5)) $
常螺旋の定義は上から見た角度ではなく、曲線長sをパラメータとしています。そして長さsの範囲は0〜5.5mです。螺旋の接線が平面となす角度をt、上から見た半径をrとすれば
x(s,t):=r*cos(cos(t)*s/r)
y(s,t):=r*sin(cos(t)*s/r)
z(s,t):=s*sin(t)
と書けます。

小林昭七さんの『曲線と曲面の微分幾何』(改訂版)をお持ちの方は26ページをご覧下さい。sについて2階微分して曲率を計算すると以下が得られます。
cos(t)^2/abs(r)
ベンダーの曲げRは曲率の逆数ですから、平面図で描いたRの(1/cos(t)^2)倍になります。角度が30度の場合は4/3倍になることが計算できます。曲線を弧長をパラメータとして扱うことは微分幾何学の常套手段ですが、工学(もの作り)でも極めて有効です。
↓ポチッと応援お願いします!










立体をイメージの中で扱うことに慣れていないせいか、数学的には理解できるらせん階段のパイプ手摺も、いざとなると疑問があれこれと生じます。そんな時はやはり画像ですね。CGでも動画でも。
Youtubeでは手摺をらせん状に曲げるべく、ひとりがパイプをバーナーであぶり、もう一人が腕力でねじ曲げようとしている動画もありました。さすがにこれをまねて作業手順をつくるわけにはいきません。やはり原寸対応のジグをつくるのが正解と思いました。
それにしてもパイプベンダーで自在に曲がる鉄鋼パイプ、その柔軟性には感服しますね。
曲率の計算、最後はちょっと端折ってしまったようで悔いが残ります。いずれもっと分かり易い記事を書きたいと思いました。
加工業者の腕が良くて、良い材料が入っても最終的な組み立てには良く設計された治具が必須ですね。生産量が多いと治具が生きます。