孤独と寂しさ

2009-01-28 23:24:49 | Notebook
     
「いつもいつも寂しかったのよ、どうしてかしら?
あたしはいつも寂しかったの、幼いころからずっと……」

そう言って、そのひとは話すのをやめた。
自分のなかの声に耳をかたむけるように。

こころが何かに届いていないとき、それは寂しさになる。
こころが届いているとき、それは充実した孤独になる。

寂しさは、生をむしばむ。
しかし孤独は、生のよろこびの、すぐそばにある。

引き裂かれたこころは、いつも寂しい。
ほころびたこころは、いつも寂しい。

あいたいひとの笑顔と幸福がみえ始めると、寂しさは過ぎ去り、ただ孤独だけがある。
失ったひとの生の輝きがみえ始めると、やはり寂しさは孤独となり花ひらく。

寂しければ、みつめることだ。
それでもまだ寂しければ、まだまだみえていないということだ。

孤独の花の蜜は、そのひとを目覚めさせる。
そして誰かを、きっと祝福する。

冬の朝をつらぬきとおす、ひとすじの光のようであれ。
すみきった鏡のようであれ。