高2の時、長い期間ではなかったが、僕は同じクラスの女子生徒と付き合ったことがあった。彼女のことがいちばん好きだと思っていたが、それが否定される瞬間があるのだ。それは矢野有紗が僕の視界に入った時。申し訳ないと思いつつ、自分の彼女がみすぼらしく見えた。理性でそれを否定しようとしても、僕の理性など高が知れていた。
彼女と別れたのは、有紗とはなんら関係なく、僕らの未熟さからだった。短期間とはいえ、恋人だったにもかかわらず、別れた後は、彼女のことは不思議なほど眼に入らくなった。それからは心置きなく、僕は有紗のファンになった。いや、ファンに戻ったのだ。
「坂木君、最近、随分頑張ってるみたいだね」
有紗が僕の顔を覗き込むように問う。
「あっ、いや、それほどでも」
有紗と目が合い、僕は顔が赤くなっていないかと心配だった。自分が色白である事が腹立たしかった。
「眼に隈できてるよ」
有紗は僕に優しい。そして表面的には、藤沢にはきつい言葉を投げかけたりする。しかし、実際には有紗は藤沢と付き合っているのだ。それでも、不思議と藤沢に対して嫉妬心は沸かなかった。そもそも自分と有紗では釣り合わないし、むしろ二人の仲がこじれ、別れてしまう方を恐れていた。
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「砂の塔」見ました。これまではドラマの構成上、抑えられてきた菅野さんの女優としての本来の力の片鱗が、出せていたような気がします。
彼女と別れたのは、有紗とはなんら関係なく、僕らの未熟さからだった。短期間とはいえ、恋人だったにもかかわらず、別れた後は、彼女のことは不思議なほど眼に入らくなった。それからは心置きなく、僕は有紗のファンになった。いや、ファンに戻ったのだ。
「坂木君、最近、随分頑張ってるみたいだね」
有紗が僕の顔を覗き込むように問う。
「あっ、いや、それほどでも」
有紗と目が合い、僕は顔が赤くなっていないかと心配だった。自分が色白である事が腹立たしかった。
「眼に隈できてるよ」
有紗は僕に優しい。そして表面的には、藤沢にはきつい言葉を投げかけたりする。しかし、実際には有紗は藤沢と付き合っているのだ。それでも、不思議と藤沢に対して嫉妬心は沸かなかった。そもそも自分と有紗では釣り合わないし、むしろ二人の仲がこじれ、別れてしまう方を恐れていた。
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「砂の塔」見ました。これまではドラマの構成上、抑えられてきた菅野さんの女優としての本来の力の片鱗が、出せていたような気がします。