ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・病気・芸能・スポーツ・政治・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年、「僕とパニック障害の20年戦争」出版。

大人になるにつれ、かなしく(29)

2016-12-24 22:47:38 | Weblog
純白のウエディング姿の新婦に見とれていたかったが、藤沢の投げやりで、淋しげな表情が気になっていた。テーブルに頬杖をついて、彼の様子を伺っていた僕に、司会者から声がかかった。

「ええ、ここで高校時代からの新郎新婦のご友人である、友人代表の坂木誠さんのご挨拶です。坂木さん、よろしくお願いします」

僕がマイクの前に立つと、まばらな拍手が起こった。白けた結婚式。緊張することさえ忘れてしまった。

「新郎、新婦とは高校3年の時のクラスメイトです。私にとって二人は憧れでした。同い年ではあるのですが、兄と姉のような存在でした。その想いは今も何ら変わりません。藤沢君、結婚おめでとうございます。藤沢君は勉強も運動も抜群で、ご覧の通りの美男子です。でも、私が最も彼の好きなところは、そこではなく内面です。凄く、真っ直ぐで優しい男です。

有紗さん、おめでとうございます。有紗さんもまた群を抜く美少女で、勉強も運動も得意でした。藤沢君同様、私に限らずクラスメイトの憧れでした。しかし、有紗さんの美しさは、外見だけではありません。努力を惜しまないひた向きさに、もうひとつの美しさがありました。

私には2つ年下の妻がいます。藤沢君には可愛がってもらいました。だから、これからは親友であり、兄弟のような関係を、妻も含めて作れたらと勝手に考えています。そしてずっと先の話ですが、これから思い出をたくさん作り、おじいさん、おばあさんになった時、のどかな場所で、語り合い笑い会えたら、これ以上の喜びはありません。

藤沢君、有紗さん、改めてご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに」

僕は二人に向かって頭を下げ、自らの席に引き上げた。有紗が頭を下げて応じ、藤沢は笑ったように見えた。白川さんは少し涙ぐんでいた。


ジャンル:
小説
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