読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

天童荒太著「ムーンナイト・ダイバー」

2016-12-13 | た行

南の島の美しく華やかな海でなく舞台は3.11から5年目になるフクシマ。

父と兄をくした被災者でもある瀬奈舟作はダイビングショップでインストラクターと働いている傍ら、秘密の依頼者グループの依頼をうけて、亡父の親友である松浦文平とともに3.11の震災以後立入禁止の汚染された海域で非合法の遺品の引き揚げを行っていた。光源は小さなライトと月光だけ。ふたりが「光のエリア」と呼ぶ、建屋周辺地域を抜けた先の海底には「あの日」がまだそのまま残されていた。直接会うことをしないという依頼者グループの会が決めたルールにそむき、直接舟作とコンタクトをとった眞部透子は、行方不明者である夫のしていた指輪を探さないでほしいと告げる。・・・何故潜るのか舟作は「だからこそ潜るのだ。誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。」非合法のダイバーとなった舟作は人と町をさらった立入禁止の海に何回も潜降する。

「何かを諦めなければいけない。今のようじゃなかった暮らしとか,いまと違っていたはずの人生とか、こうではなかっただろう周りの人間関係とか、・・・もう一度つかもうと、あがいてきたんです。でも,水のなかにふわふわ浮かんでいるいるようではなくて、底にしっかりと足をつけて見回せば、・・・あるのはやっぱり、いまの暮らしだし、いまの人生だし、いまの人たちなんだと思う・・・。それを行け入れるべきなんじゃないか。」(P208)

慟哭の夜から圧倒的救済の光さす海へ。鎮魂と生への祈りをこめた感動の意欲作でした。

2016年1月文藝春秋刊

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