スカーレット手帖

機嫌のいい観客

さゆりと冬美

2013-08-07 | ミュージック
現実ではぜんぜん暑さはとどまることなく、むしろピークを迎えている中、
暦で動く感覚というのも一方では存在しているのではなかろうか。


8月晩夏は、師走に次ぐ演歌の季節だと感じます。
せつないよね。

私の中での演歌の2大女王といえば石川さゆりと坂本冬美、
つまりさゆりと冬美である。

さゆりは現在存命の中でもっとも有名な女性演歌歌手と言っても過言ではない存在だが、
声が透き通っており非常に美しく正しく歌を歌う人である。
一方でちょっと他にないほどに女の情念を歌う人でもある。
儚げに見える女の隠れた芯の強さや、恋に打ちひしがれる女の執念みたいなものを
感じさせたら右に出るものはいないっすね、という人だと思う。
本人も美しく、年齢を重ねるにつれて「凄味」が増してきて恐ろしい。
周りに優しく常に笑顔だけれど腹の底は知れない、という感覚を与えてくる、
興味深い人である。

対して冬美は平たく言えばボーイッシュさが魅力というやつで、
本人のカラッとしたあねごなんだと思うけど、
「あばれ太鼓」や、サブちゃんをカバーした「風雪ながれ旅」のような
男の心意気を歌う曲がとても似合っていると思う。
声はツーンとして張りのあるイメージだし、やんちゃ娘・じゃじゃ馬みたいなところが
当初の売りだったのでしょうね。
最近はしっとりした歌や、理屈っぽい歌が増えてきたような気もする。
それが逆に、「普段は明るい彼女の陰の面、大人の面をみた」みたいな感じで
ドキっとします。


石川さゆり ♪風の盆恋歌


坂本冬美 - 能登はいらんかいね



同じ北陸の歌を歌わせても、全然テイストが違うではないか。
(曲調がそもそも違うとかそういうのはおいておいてね)


改めてふたりの持ち歌を調べてみると、

さゆり「火の国へ」→冬美「火の国の女」
さゆり「能登半島」→冬美「能登はいらんかいね」

というまさに同じテーマを歌っていたりするわけで、
しかしそれぞれ、自分にしか歌えないという感じを出してくるわけであり、
いやあ、すごいなぁ と、しみじみ思った次第である。

そしてこのコラボがすばらしかった。
演歌はほんとに難しいんだよね。「らしく」歌うとコントにしかならない。
ちゃんと心が入っていないと歌にならないのです。
私ももっと練習しよう。(本番とか、ないけど)


夜桜お七・天城越え - 石川さゆり・坂本冬美

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。