マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

夏の日の恋 1 SR4

2009年03月08日 | Scottish Romance
                                 写真はイメージです


 そして、いつの間にか、大変入れ込んでしまい、二人でああでもない、こうでもないと
意見を交わしながら完成したり、互いの顔を模写したりして、夏の日の爽やかなひとときを
楽しむ2人は、まるで、昔からの友人であるかのように親しくはしゃぎ、初対面とは
全く思えない程のフィーリングの良さでした。
 この時2人の心の中は、きっと同じ事を考えていたのかも知れません。 

 この時期、スコットランドのサンセットは、緯度が上の方にある為、大変遅く
9時頃迄明るくて、夏は人々にとって、束の間のパラダイス。 少し眠くなってきたのか
マイケルは、弱い陽を身体全体に浴びながら、うたたねをしだした。 私も同じように
芝の上に横になった。 赤ちゃんの泣き声が、遠くの方で聞こえる他は、あまり雑音は
無く気分爽快でした。 日本なら、宣伝カーが通ったり、公園でカラオケやっている人も
いる位で、騒音だらけの世界。 ここは、静かでいいわ・・・等と考えているうちに
うとうとしていたようです。 気がついた時は、5時10分を過ぎたところで約1時間弱
うたたねしていたようです。

 陽はまだまだ高いが、多少、気温が下がる位で周りの人は、相変わらずのんびりしていた。
 マイケルは、私の横で、未だ気持ちよさそうに眠り続けているので、私のカーディガンを
そっとかける。 短い夏の日差しをたっぷり浴びて、すやすやと起きる気配なし。
 寝顔見るなんて悪いかしらと思いながらもマイケルの寝顔にうっとりしている。

 魅入られる。 起きている時も眠っている時でさえも、どうしてこんなに美しい
のだろうと、だんだん、顔の真上まで、近づいていました。 美しすぎて、何だか怖い。
 ふと、そうつぶやく。 気配を感じたのでしょう。 マイケルの目が開き、コバルト
ブルーの瞳が現われ、キラキラと涙が落ち、輝いていました。

 そして、ゆっくり起き上がって、手を上に上げて背伸びをしながら言った。
 「 エディンバラは本当に素晴らしい。これ以上の所は、きっと他にはないだろう。
君もそう思うだろう。 」 と言い張ったのです。 その時、結構、海外旅行の経験豊富な
私は、随分世間知らずな青年なのかしらと思ったが、この後、イギリス留学が終わって
ヨーロッパ大陸に渡ることになるのだが、先に話す事にしましょう。

 ヨーロッパの国、数カ国を回り、この目で、この感性で、この話術で、各国の
文化や芸術、歴史、伝統、遺跡、建築様式、人間性、ナショナリズム等を勉強、体験して
言える事は、それは、確かにエディンバラと同様に、或いは、それ以上に、感嘆の
声を挙げるほど、感動した場所も、実に何十ヶ所もあったし、大切な出逢いもありました。
 しかし、私が思うにはそれらの都市には、数多くの観光客が行きすぎた為に、それらの
本来持っている輝かしい過去の遺産の価値が下がってきている。

 それらの景観を崩してしまうビル店等が増えすぎて、旅行者にとっては便利な事だが
本当に歴史を愛する者にとっては、とても醜悪で、我慢ならないものなのである。
 その点、スコットランド地方は、それらの都市ほど、まだまだ観光客も多くないし
景観も変わっていない。 もし、観光客が増えたとしても、スコッティシュの気質が
受け継がれてゆく限りは、街の景観が殆ど変わらないと思うし、私自身スコッツマンに
期待し、いつまでも今の姿を留めて欲しいと祈るだけであります。

 だから私は、中世の街並が、息づいているこのエディンバラ、自然の美しさ
景観の良さ、のどかなそして素朴なスコットランド地方を於いて、一番は考えられません。
 私の意見です。 マイケルが言った時は、ピンときませんでしたが、後日思った事は
マイケルの自信に満ちた言動が、とてもうらやましかった。 哀しいかな、私には
決して言えない事なのです。 マイケルは、私のカーディガンについた芝を、丁寧に
取り除き、たたんで返してくれました。

 そして、一緒に飲みに行く事になり、マイケルが友人とよく行くパブレストランへ
案内してもらう。 公園から歩いて15分、入店直後すでに店内にいた地元の人達の
視線は避けられず、集中砲火の如く、私に突き刺さっております。 何故ってこの店で
アジア人の客が来たのは珍しいという事で、ハトが豆鉄砲をくらったかの様に
キョトンとした眼差しで、見つめられました。 しかし、10分もいると、皆、私達の
周りに集まってきて、色々と日本の話をさせられてしまった。

 その中で一人、20年前日本に来た事があるという中年の男性がいて、各地を
観光したことやら、その時、学生運動のストライキにあって困った事、京都で
芸者さんの踊りを見た事等を話され、私の手をとり、日本舞踊を踊らせようとした
のには、私も弱ってしまって少しばかりの経験がある舞を披露すると、その男性は
元より、店中のお客さんからも拍手喝采。


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