マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

Chinese soy ?  SR16

2009年05月23日 | Scottish Romance

 さすがに心細くなってきた私は、居ても経ってもいられなくなってきた。
 外は、未だ未だ明るかったが、気温が少々下がってきた。
 しかも、ランニングシャツにショートパンツ姿。 それも私が、彼を追い出した様なもの。
 ああ、私ってどこまで質が悪いのかしら・・・ 自分でも腹立たしく思っていた。

 このフラットは、1Fに1室、シャワールーム・トイレ・居間・台所は共同スペースであり
2Fにも3室の部屋とバストイレ共同がある。 マイケルは1Fの8畳位の部屋でした。
 私は、居間で待っていると、2Fのホームメイトが帰って来た。 何か、ジロジロ
見られたので、マイケルの部屋で待つことにする。 時間の経つのが遅い。 
 あれから3時間以上経っている様だ。 その時、急にドアが開いた。

 「 マイケル! あっ失礼。 君、誰? 」

 「 御免なさい。 驚いたでしょう。 私、マイケルの友人で日本人なんです。
   彼の為に日本料理 “ すき焼き ” を作ろうと思って、彼に日本の調味料
   “ しょうゆ ” を買いに行ってもらっているんです。 でも、あまりに
   遅くて心配していた所です。 」

 「 仕方ないなあ。 レディを待たせるなんて。
   僕は、マイケルの友達で、アンドリュー・ヘイワードです。 よろしく! 」

 「 初めまして! アンドリュー。 マイケルとは、3日前、知り合ったばかりの
   ホカホカの友人なの。 」

 「 ハハ、そうか解ったよ。 あいつ、3日前の夜、やたらに機嫌が悪くて
   訳を聞いたら、ただ一言 “ ドラキュラは花嫁に逃げられたか ? ” 
   なんて訳の解らない事を言っていたけど、あれって君の事だったのか。
   あいつ、ああ見えても、結構無垢でいい奴なんだ。 優しくしてやって欲しい。
   3日前は、本当に手に負えない状態だったのだから。
   あんな態度、初めて見たので、随分心配したんだ。 」

 「 そうだったの。 」

 「 3日前、ケンカ別れでもしたのかい・・・ でも、なさそうだな。
   君がここにいるという事は・・・ 」

 「 変な想像は止めて下さい。 私は、マイケルの恋人じゃないのよ。
   私は旅人よ。 明日は、湖水地方へ行って、それから、ストラトフォード、etc・・・
   回ってケンブリッジへ戻るの。 」

 「 ケンブリッジに住んでるの? 」

 「 ええ。 」


 「 今日、ショップで買い物していたら、偶然にマイケルと逢ったので、立ち話も
   何だからって、ここへ招待されたの。 部屋があまりに美しい? ので
   ご覧の通りよ。 」

 「 あいつ、頭いいなあ。 日本人って、“ すごい綺麗好き ” って解っていて
   誘ったんだよ。 」

 「 そうだったの。 随分ね。 それじゃ私、家政婦の代わりに呼ばれた訳? 
   じゃあ、これで、お役目ご免だわね。 マイケルが帰って来たら、“ 用事が
   できたから帰った。 ” って言っといて。 」

 「 じゃあ、さよなら。 」

 「 ・・・ 」

 そのまま、私は、マイケルの帰りを待たずに帰ろうと、フラットのドアを開け様とした
ちょうどその時、彼は袋を提げて、帰って来たのです。 
 その袋を、私に手渡すと、早く見ろと言わんばかりに、私の顔をじっと見つめている。
 早速、袋から瓶を取りだし色を見る。
 醤油と同色ですが、ラベルを読むと “ チャイニーズ・ソーイ ” と印刷して
あるので、一瞬、何を買って来たのかと不安になりながらも、恐る々キャップを開けて
香りをかいでみた。 その時のマイケルの顔は、不安気でもし、醤油でなかったとしても
嘘でもつかなきゃ、気の毒でいられないほど真剣な眼差しでした。

 私は、キャップを開けた時、ふと漂った、その懐かしい香りに安堵し、笑みがこぼれ
マイケルも私の満足しきった表情を見て、ホッと溜息をつき喜んでくれました。
 私が、どこまで捜しに行ったのか、聞いても答えてはくれませんでしたが
彼の白いスニーカーは、土塗れになっていて、身体もかなり疲労している様子でした。
 随分遠くまで探しに行った様でした。 でも、マイケルは、少しも疲れた素振りも
見せず、そのままシャワー室へ入った。

 私は、キッチンに移動して、すき焼きの調理にかかる。 
 ここは、携帯コンロがないので、レンジで炊いてからテーブルに運びます。
 最後の料理が運ばれて完成。
 マイケルが、バスタオルを腰に巻いて出てきた。
 10代とは思えない鍛え上げられた身体。
 じっと見ていたら、私が恥ずかしくなる位だわ。
 身長も私より20cm位高いので圧倒される。 
 マイケルが、2Fの仲間も呼び、ちょっとしたパーティになった。

 皆、気持ちいい位に、きれいに食べてくれたので、腕を揮った甲斐があったというもの。
 食事が済んでからは、スコッチウイスキーを飲みながら、お互いの大学談義で盛り上がる。
 アンドリューとレナートもポールもいい顔色になって恐らく、気を利かす為なのか

 「 今夜の料理は最高! 」 

 って言いながら、2Fの部屋へ戻って行きました。

 マイケルは、しばらく横になりたいと言って、ソファーに寝転び、私は後片付けをする。
 全ての用事が終わり、ホテルへ帰る時刻になっていたので、お別れの挨拶をしようと
マイケルの所へ行ったのです。 

 マイケルは両手を差し伸べて、私を引き寄せ・・・


 
 


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