思惟石

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伊藤計劃『虐殺器官』読みました。

2017-07-13 15:50:54 | 日記
伊藤計劃『虐殺器官』読みました。

2006年に第7回小松左京賞最終候補となり、
2007年に早川書房から刊行。
「ベスト SF2007」国内篇第1位。
「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位。

というわけで、ちょこちょこと
「読もうかなアンテナ」に引っかかっていたのですが、
タイトルと作者のペンネーム(なんとなく難しそう)から
メタとかグロとかメフィスト系かな?と思ってしまい、
手を出しかねていました。

ちなみに作者の名前は伊藤計劃(いとうけいかく)と読むそうです。
一瞬、岡嶋二人を連想しましたが、単体の人でした。

いや、読まず嫌いのまま放置しなくて良かった。
おもしろかったです。

近未来SFというか、今よりちょっと未来の世界情勢を背景に
ハイテク機器満載の特殊部隊に所属する中堅兵士シェパード大尉の
視点から物語が綴られています。

と書くと、なんかマッチョでハードボイルドな「オレ様」の
大冒険って感じがしますが、
この一人称の文体がまた、繊細で、未成熟で、ちょっと知的で
惹き込まれる語りなんです。
勿論、一人称は「僕」。

タイトルイメージほど虐殺の描写が延々と続くことはないので、
そこが引っかかっている人には是非、そんなことないよ、と。

面白くて一気に読みましたが、
超個人的な感想としては、文学的素養と繊細さを持つ男に
筋肉と武器を与えてはいけないな、と。

彼のチームメイトで、
ピザの油がついた指で人んちの壁ベタベタしたり
戦友が殺されてわかりやすく激昂したり
不条理なことはすべて「カフカっぽい」でひとまとめにする
ウィリアムズのような人物がもっとも健全な気がする。

だからこそ、主人公も何かと彼をくさしていたのだろうけど。

あと、「ゴドーを待ちながら」に引っ掛けて
あえて「カフカかよ」と文句を言いつつ
シェパードのツッコミを誘導するウィリアムズのボケは
そうとう知的だと思います。

『虐殺器官』はおもしろかったです。
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