岩政伸治研究室

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■ 文字の復権は可能か?--Appleの裏をかくTrader Joe'sの戦略

2012-02-04 02:08:43 | 岩政ゼミ課外授業@スタンフォード
 わがままでも変人でも、スティーブ・ジョブズが世界を変えたことは間違いない。彼は企業から消費者、開発者からユーザーの側に目線を移すことでパソコンをついには僕らのポケットに忍ばせることに成功した。それを実現するためにジョブズがやってみせたのは徹底的な可視化という作業と言っていいだろう。

 ゼロックス研究所で、それまで文字であふれていた画面が、石庭のようにシンプルなアイコンに置き換えられ、そのアイコンをクリックするだけで作業できると知ったジョブズは、当時墓石のようだったパソコンがポケットに入るまでをすでに見透かしたのかもしれない。今や時は可視化の時代で、イメージがまたたく間に文字に取って代わりつつあるようだ。

 ところがこの時代の流れにあえて逆行する連中がいる。それはかつてOSの覇権を争ったMicrosoftでもなく、活字を売り物にしている出版社でもない。エコフレンドリーな品揃えで人気の高い生鮮食料品チェーンのトレーダー・ジョーズである。視覚化の時代にあって彼らが提供する広告に食品の写真はどこにも見あたらない。そのくせ食品の説明にはなんと三段落もの説明が書かれているのだ。考えてみればメロンの写真を見たところでそのメロンがおいしいかどうかは判断できない。トレーダー・ジョーズはそれを「美味しいよぉー」と言葉巧みに読者を甘く誘(いざな)う。

"The Tuscan Cantaloupe ... (a)mong those qualities are the sweet aroma, rich flavor and distinct exterior grooves that indicate flavor and ripeness. This is a very sweet melon that makes an excellent breakfast or brunch addition, is excellent with ham or prosciutto and is super satisfying in a fruit salad. We're selling each Tuscan Cantaloupe, grown in the U.S., for $2.99."

パソコンの画面を竜安寺の石庭に変えたのがジョブズだとしたら、スーパーのチラシを『ハリー・ポッター』に変えたのがトレーダー・ジョーズといったらほめすぎか。文字をつづることを英語で"spell"というが、"spell"には魔法をかけるという意味もある。言葉の力はまだまだ捨てたモノではないのだ。人気ブログランキングへ 日記@BlogRanking
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トレーダー・ジョーズ 生鮮食料品 フレンドリー スティーブ
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