Sunday Song Book #1273

2017年03月05日 | Sunday Song Book

2017年03月05日プレイリスト
「かまやつひろし追悼」
1. ターナーの汽罐車 / 山下達郎 "アルチザン" "オーパス" '91
2. フリ・フリ / 田辺昭知とザ・スパイダース '65
3. ヘイ・ボーイ / ザ・スパイダース '66
4. バン!バン! (アルバム・ヴァージョン) / ザ・スパイダース "アルバム No.4" '67
5. 恋のドクター / ザ・スパイダース '67
6. 夢のDC8 / ザ・スパイダース "ゴー!スパイダース・フライ!サヴェージ" '67
7. 君なき世界 / ザ・ビーバーズ '67
8. エレクトリックおばあちゃん / ザ・スパイダース '70
9. ボブ・ディランはいま何を考えているか / かまやつひろし "スタジオ・ムッシュ" '79
10. お先にどうぞ / かまやつひろし "あゝ我が良き友よ" '75
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■内容の一部を抜粋
・近況
3月18日からスタートする全国ツアーのリハーサルの真っ只中。「毎度のことながらリハーサルの曲が多くて(笑)、曲を何をやるかじゃなくて何を削るか(笑)、というですね、それで悩んでる今日このごろですが。お陰さまで順調にリハーサルは進行しております。もうすぐツアーははじまりますのでお楽しみに」と達郎さん。

・かまやつひろし追悼
3月1日に78歳でお亡くなりになられたかまやつひろしさんの追悼特集。スパイダース以前のテイチク時代はロカビリー・シンガーとして活動していたが、とても一週間では全部かけられないので、今日はロックンロール系の曲を中心に作家かまやつさんの足跡を追う。

・ターナーの汽罐車
中学三年生の受験生のリスナーからのリクエストで「ターナーの汽罐車」。

・フリ・フリ
かまやつひろしさんはスパイダースからソロになって、日本のロック、歌謡曲、最近ではいわゆるフリー・ソウルと呼ばれるレア・グルーヴ系でも人気があり、パンクなロックンロールの草分けと言っていい存在。1964年に今も知られている7人組のスパイダースのかたちが完成して、1965年に記念すべきデビュー・シングル「フリ・フリ」をリリース。かまやつひろしさんの作詞作曲。パンパンパンという3つの手拍子でずっと行くブルース進行のロックンロール。この時代は田辺昭知とザ・スパイダースという名義でクラウン・レコードから発売された。ジャケット写真にかまやつさんが写ってないのはフォト・セッションに遅刻したからという有名な逸話がある。

・ヘイ・ボーイ
1966年のファースト・アルバム『アルバム No.1』に収録されたシングル・カットの「ヘイ・ボーイ」もかまやつさんの作品。作詞はささきひろとさん。今聴くとひじょうにパンキッシュなサウンドで当時はそういうのがあまりなかった。1965年当時中学生だった達郎さんは、日本教育テレビ[NET](現在のテレビ朝日)で放送されていた「エキサイト・ショー」というディスコティークのTV版みたいな番組にスパイダースがレギュラー出演していて、かまやつさんが「フリ・フリ」の演奏でボックスのギターを弾いてアームを引っ張りまくっている映像が鮮烈な記憶として残ってるという。

・バン!バン!
1967年の4枚目のアルバム『アルバム No.4』に収録された「バン!バン!」。先日、シングル・ヴァージョンをオンエアしたので今日はアルバム・ヴァージョンで。ライヴでも大変演奏力のあるバンドで、達郎さんはジャズ喫茶で何回も見たことがあるそうだ。田辺昭知さんのドラムス、加藤充さんのベース、大野克夫さんのオルガンとスチール・ギター、そして井上堯之さんのギター、それにかまやつさんのギターというファイブ・リズム。後に大野さんや井上さんはアレンジャーとして大御所になっていく。そこに堺正章さんと井上順さんのヴォーカルが加わり、演奏はタイトなんだけれどもMCはコミカルというようなバンドで一世を風靡した。

・恋のドクター
1967年のシングル「あの虹をつかもう」のB面の「恋のドクター」。作詞作曲はかまやつひろしさん。この頃のロックンロールには恋煩いの歌がたくさんあって、例えばラスカルズの「GOOD LOVIN'」なんか内容的に似ているので、たぶんインスパイアされて日本語でやったものと思われる。堺正章さんのコミカルな部分が十分に発揮されている。歌もうまい。

・夢のDC8
1967年にJALが世界一周路線を開設した記念に発表されたアルバム『ゴー!スパイダース・フライ!サヴェージ』。スパイダースとサヴェージがA面B面分割して担当している。このアルバムに入ってる「夢のDC8」はかまやつさんがリード・ヴォーカル。「DC8は当時のジェット機でございます。いちばん人気のあった世界路線のダグラスDC8。私乗ったことがありません。乗ってみたかったです」と達郎さん。
曲をかけ終えて。「途中でホリーズのI CAN'T LET GOになってしまうというですね、かまやつさんらしい一曲でございます。ファルセットも」と達郎さん。

・『ホワイト』で棚からひとつかみ
来週は3月12日なのでホワイトデーにちなんだ特集「『ホワイト』で棚からひとつかみ」。これまでバレンタインデーの特集は組んだことがあるけれどホワイトデーに絡んだことは一度もやったことがないそうだ。3月18日にツアーがはじまると、最初の一ヶ月間はツアーで頭が一杯になるので3月19日の放送はリクエスト特集と棚つかのミックスになる予定。

・民放ラジオ101局特別番組『WE LOVE RADIO! ~山下達郎・星野源のラジオ放談』
日本の民放ラジオ局が全部で101局あり、その101局が合同で同日にスペシャル番組を企画することになった。達郎さんは日本民間放送連盟、民放連から出演を依頼されて先日収録してきたという。3月20日春分の日にオンエアされる。題して『WE LOVE RADIO! ~山下達郎・星野源のラジオ放談』という達郎さんと星野源さんが対談しながら進行する番組。進行役はマンボウやしろさん。「星野源さん、初対面でありますけれども、とってもいい方で、もう完全に親子なんですけれど(笑)、へへ。彼も本当にラジオが好きな方でですね、現在、オールナイトニッポンを担当されておりますし、ラジオに対する思いというのがとっても共通するものがたくさんあって、ひじょうに充実した番組を作ることができました」と達郎さん。番組は達郎さんと星野源さんの対談を中心にそれぞれ一曲ずつ番組用にスペシャル・ライヴも行っている。3月20日(月・祝)、よる19時以降に一斉放送。ほとんどの放送局はよる19時からだが各放送局でオンエア時間が異なるところもあるので詳細は特設サイトにて。
http://minpo-radio101.jp

・君なき世界
かまやつさんがグルプサウンズのビーバーズに提供した「君なき世界」。達郎さんはビーバーズが好きでいちばん見たGSのひとつだったけれど、今回かまやつさんの提供作品を調べてみて、セカンド・ヒットの「君なき世界」がかまやつさんの作品だと初めて知ったという。「リアルタイムで聴いているとわかんないんです、そういうこと」と達郎さん。醐樹弦(ごきげん)というペンネームで作詞作曲していたとか。ちょっとサイケな感じ。ビーバーズは後にトランザムのメンバーになる石間秀機さんがリード・ギター。七色のギターと言われた大変に魅力的な音色を持ったギターを聴かせてくれる。1967年の一作。

・エレクトリックおばあちゃん
1970年のスパイダース解散前の人気曲「エレクトリックおばあちゃん」。堺正章さんのキャラクターがよく出ている。明らかにジャン&ディーンの「パサディナのおばあちゃん」にインスパイアされている。この時代はまだ洋楽の情報が十分に入ってきてない状況で、日本のバンドは試行錯誤やトライを繰り返してきた。「むしろこうしたトライをする人がほとんどいなかった。当時は歌謡曲全盛の時代だからまだ。そんな中かまやつさんもそういうことに果敢にトライしてきた。特にスパイダース時代はそういう歴史だと考えられます」と達郎さん。

・ボブ・ディランはいま何を考えているか
ソロ時代は'90年あたりからレア・グルーヴ的な視点から例えば「ゴロワーズ」が再評価されて、そういう実験的なアプローチをかまやつさんはしてきた。1979年のトリオの作品『スタジオ・ムッシュ』の「ボブ・ディランはいま何を考えているか」は高度経済成長時代のスノビッシュな感じがよく出ている一作。作詞はかまやつさん。最後のわけのわからない言語のナレーションはタモリさん。

・お先にどうぞ
1975年のアルバム『あゝ我が良き友よ』に収録された「お先にどうぞ」は大瀧詠一さんが提供した作品。達郎さんはコーラスを担当している。これが達郎さんがかまやつさんと仕事した唯一のもの。「よく考えてみますと、かまやつひろしさんと大瀧さんはひじょうに音楽のベクトルは全然違うんですけれども、ある意味すごく似通ったテイストといいましょうか、いい意味での雑食性といいましょうか、バーサタイルないろんなところに目配りをする、そういう感覚が研ぎ澄まされた点で、ひじょうに大瀧さんとかまやつさんは似たところがあったようなそういう気がいたします。今日もばらっと聴いてそういう感をすごく強くいたしました」と達郎さん。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

2017年03月12日は「『ホワイト』で棚からひとつかみ」
http://www.tatsuro.co.jp
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