〔更新履歴:5/19追記〕
ピロリ菌が濡れ衣を着せられている可能性もあるので、少し整理しておこう。今回は手抜きで、他力本願にて前置きその1。
先ずは何故か、タバコと肺がんの関係から。
個人的には武田邦彦氏(中部大学教授)の言説が正しいのではないかと感じており、紹介しておこう。武田説の要旨は、彼の公式ブログ「武田邦彦 (中部大学)」の記事から、長いので結論だけ引用しておくと、
4大原因を考える・・・ディーゼル、核実験、レントゲン検診、そしてタバコ
平成24年4月19日
http://takedanet.com/2012/04/4_0bdc.html
つまり、タバコが肺がんの一つの原因になるのは確かですが、これらのデータを見ると、統計的にもはっきりとした傾向の見られるものの方が肺がんへの影響は強いと考えるのが科学的には普通です。
つまり、肺がんの原因は、第一に被曝(核実験と検診)、第二にディーゼル排ガス、そして第三にタバコと考えられます。タバコの副流煙などほとんど無関係と考えられます。 (強調は引用者)
彼のブログにはタバコ関連の記事はかなり多いが、冒頭記事を理解する上で参考になりそうなものを時系列で挙げておくと、
タバコを考える パート7 データの真実
平成22年5月16日 http://takedanet.com/2010/05/post_decd.html
女性はこの45年間でほとんど喫煙率は変化していない。しかし、肺がんは8倍になっている。つまり、「喫煙率が変わらなくても、平均年齢が上がっただけで肺がんは8倍に増える」としよう。
1965年から2009年までの平均寿命の伸びは、女性と男性でほぼ同じ。
45年間で喫煙率の変わらない女性は肺がんの死亡率が8倍。同じ45年間で喫煙率が2分の1になった男性も肺がんの死亡率が8倍。つまり、喫煙率が変わっても年齢によって肺がんになる可能性は等しいということになる。
従って、タバコを吸って致命的な肺がんになりやすいという話は、少なくとも全体統計からは事実とは違うということになる。
奇っ怪な結果?? タバコを吸うと肺がんが減る?!
平成24年3月16日 http://takedanet.com/2012/03/post_b49e.html
タバコ・・・中間まとめ(感情的対立の原因)-1
平成24年3月18日 http://takedanet.com/2012/03/post_80c8.html
タバコ・・・中間まとめ(感情的対立の原因)-2
平成24年3月20日 http://takedanet.com/2012/03/post_bdce.html
ついでに、冒頭記事以降に書かれた記事で参考になりそうなものは、
タバコは吸った方が良いか、禁煙運動かのトリック(解説編)
平成24年4月22日 http://takedanet.com/2012/04/post_98c2.html
タバコと健康をゆっくり考える(新しい1) 数字と論理
平成24年4月28日 http://takedanet.com/2012/04/post_8f48.html
「外出しなければ交通事故に遭わない」(タバコを吸わなければ肺がんになりにくい)は良いのですが、「だから外出してはいけない」(だからタバコを吸ってはいけない)という表現はこのような整理をする限り不適切であることがわかります。また「交通事故の原因は外出だ」(肺がんの原因はタバコだ)は良いのですが、「外出すると交通事故に遭う」(タバコを吸うと肺がんになる)も不適切です。
タバコについて、かなり整理が進んだと思いますが、「人間にとって外出も大切だから、交通事故に注意しよう」と言うぐらいが適切とすると、タバコも同じぐらいの確率ですから「気分転換にタバコも良いが、吸い過ぎには注意しよう」ぐらいが妥当と言うことになります。
以上の記事を読むと、肺がんの主な原因はタバコである、あるいはそのように示唆する主張(肺がんタバコ原因説)は、かなり問題があるらしいことがわかるのではないだろうか(なお、ここでは、タバコが肺がん以外の呼吸器疾患の原因となる点は別問題との取り扱い)。
武田説は、肺がんの主な原因としてタバコだけが過剰に注目されていることを疑問視するものといえるだろう。この観点から肺がんタバコ原因説(これが世間の一般的な現状認識だと思うが)を評価すれば「肺がん原因タバコ生贄状態」ともみることができるだろう。
武田氏が原因の一つと指摘する項目の関連国・業界を考えてみると、被曝(核実験とX線検査)は核保有諸国(大所は某機関の常任理事国でもある)と医療業界、ディーゼル排ガスは自動車業界、タバコはタバコ業界(主にタバコ製造メーカー、タバコ農家だろうか)となるだろう。これらを「腕力」の弱そうな順で並べると、最初にくるのはどこだろうか。
しかし、政府は、肺がんタバコ原因説を堅持しているようで、新たな政策を進めていくようだ。
病院に「たばこ相談員」 厚労省、禁煙促す - がん拠点病院397カ所に
2012/9/5
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0404O_V00C12A9CR0000/
厚生労働省は5日、禁煙に関する電話相談や病院紹介などを実施する「たばこ相談員」を来年度から全国の病院に配置する方針を固めた。禁煙を促し、2022年度までに喫煙率を12%に引き下げる政府目標の達成を目指す。費用として来年度予算概算要求に1億6千万円を計上した。同省は「がん予防だけでなく、健康対策につなげたい」としている。
[中略]
喫煙率について、政府は今年5月に閣議決定した、今年度から5年間の目標となる「がん対策推進基本計画」に数値目標を初めて明記。10年に19.5%(男性32.2%、女性8.4%)だった喫煙率を、22年度までに12%に引き下げる目標を掲げている。
たばこの煙には数十種類の発がん物質が含まれ、肺がんなどのリスクを高めるとされる。厚労省によると、本人の喫煙が影響した10年の死亡者は12万~13万人と推計されている。
病院に「たばこ相談員」 禁煙を後押し
(2013年3月25日)
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130326134638345
がんリスクの火消し役に 国が配置へ
厚生労働省は、禁煙を支援する「たばこ相談員」を、2013年度から各地のがん診療連携拠点病院に順次配置する方針を決めた。国による相談員の配置は初めて。喫煙は肺がんや慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)のリスクを高めるとされ、禁煙支援を通じて国民が健康に生活できる「健康寿命」を延ばしたい考え。
[中略]
厚労省の担当者は、相談員の配置対象をがん診療連携拠点病院とした理由について「がんと関連付けながら専門的、効果的に相談や支援に応じられる」と説明、「一人でも多くの禁煙につなげたい」と話している。
仮に武田説が正しいとすれば、この取組みは何か別の意図をもって推進されているということかもしれない。
さて、肺がんタバコ原因説を推進しているのは、誰だろうか。歴史的経緯はよく知らないが、最近ではこのあたりが出発点となることが多いのではないだろうか。「がんサポート情報センター」の記事から、
ここまでわかった「胃がんの原因は本当にピロリ菌?」
2010年08月号
http://www.gsic.jp/cancer/cc_02/pylori/index.html
ピロリ菌感染を確実発がん因子とWHOが認定
1994年、ピロリ菌感染は胃がんの確実発がん因子であると世界保健機関(WHO)によって認定されました。最高の危険性を示す「グループ1」に分類されました。強力な発がん性で知られるタバコやアスベストと同じ分類です。・・・ (強調は引用者)
かの機関では、タバコとピロリ菌は、似たような扱いらしい。
・5/19追記: タバコの有害性に関する各種のデータについては、ブログ「大切なものを大切に☆彡」の次の記事が参考になりそうだ。
タバコは”百害あって一利無し”って本当?~①驚くべき薬効の数々
2010.11.15 Monday
http://hanbey8.jugem.jp/?eid=206
タバコは”百害あって一利無し”って本当?~②有害データはヤラセのイカサマ
2010.11.19 Friday
http://hanbey8.jugem.jp/?eid=207
タバコは”百害あって一利無し”って本当?~③いったい何が有害なの?
2010.11.22 Monday
http://hanbey8.jugem.jp/?eid=208