阿蘇は火の山

　菜園に秋ジャガイモを植え付けることにして、ホームセンターに行くと時期遅れなのかもう種芋は無かった。

　自宅に食用として初夏に収穫していたものを種芋として植え付けることにした。

　菜園の話はいろいろあるが、明日以降に延期する。

　午後になって散髪に行くと、オヤジが「凄かったねえ阿蘇は」といいながらテレビを点けると噴煙モクモクの映像が繰り返し放送されていた。

　ジャガイモ植え付けだの何だので騒いでいる間に、世の中けっこう別のことで騒いでいたのだ。

　散髪が終わってから、よせば良いのに夫婦で風の方向を考慮して外輪山の南西に位置する「俵山峠」に出かけた。

　

　テレビの始めの方に映っていた黒煙モクモクは、すでにいつもよりやや多めの白煙に変わっていた。

　４Ｋｍに設定されていた規制区域も２．５Ｋｍ程に緩和されて、草千里や火山博物館付近までは立ち入りが出来るようだ。しかし上空からの映像では一帯は雪のように白い火山灰に覆われている。

　これ以降の天候によっては土石流や、作物の降灰による被害が起こる可能性はある。

　モクモクとあがる黒煙をバックに、草千里ではノンビリと草を食む馬などが映し出されてそのアンバランスさが際立っていた。

　厳しさとノンビリ、豊かな自然とはこういうものだろう。

　
　

　峠には小さくて綺麗な「ゲンノショウコ」の花や「萩」の花が咲き乱れていた。

　ススキの原の白い穂先はゆっくりと風に揺れていた。

　降灰の続く期間と、季節による風向きと・・・こればかりは誰にも止めることは出来ない。

　自然と共生して生きるしかない場所に私達は住んでいる。

　
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