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三月披講

        兼題   「雁帰る」 「春の雷」  


天 水草生ふ銀河くねりて流れ生む       雅田如
山裾からの湧水が 集まって急流 清流 早い流れが 水草にふれて 気泡が湧く
天の星々が降りてきて 地上の 天の川になったようだ 春は水の中から生まれる(変竹)  

天 行く雁やわれも帰らん遠い日々       変竹          
”いつの日にか帰らん”望郷の念抑え難き詠者の心境に共感を覚える。(粒石)

天 わが内に遠い太鼓や春の雷          変竹
過去を振り返れば人生色々。思い出したくない事に限って鮮明に覚えているものだ。今はどのドラマを見ているのだろうか。(摸楽宙)

天 大いなる弧の成す絆雁帰る          雅田如
はぐれぬように列を成し渡って行く雁、強い絆と上五が相まってより強さを感じます。(里楽乃)

天 潮騒の声なき声や雁帰る          摸楽宙
 遙か地平線を行く雁にも、この日々くりかえす潮騒の営みが聞こえるだろうか。彼等もまた生きるための営みで長い長い旅路に出立する。目指す遙か何万キロへの無事を祈りたい。素晴らしい祈りの秀作だ。(雅田如)

地 雁の群れ鶴翼きめて西空へ        粒石
鶴が左右の翼を張ったように敵を中に取り込まんとする陣形 雁は陣形を張って急襲
西方に何事か起こりしか 事件か敵か 夕陽が燃えてるだけか 西部戦線 異常あり(変竹)

地 今日卒業背にランドセルの小さゝよ     里楽乃
すくすくと成長した子等の元気な姿が目に浮かぶ。下五がお見事。悦びが溢れている。(粒石)

地 大いなる弧の成す絆雁帰る           雅田如
暖かくなって北へ帰って行く雁たち。弧の成す絆の表現がすばらしい。(摸楽宙)


地 こんじきの鯉の軌跡や春の雷         摸楽宙
水面に映った稲光と鯉の金、秋の激しい雷雨とは違う春だからこその合致だと思いました。(里楽乃)


地 降る音の春雨に耳を立て          粒石
 百人一首に出てくるような恋の歌だ。春雨は恋しき人、今は別れて逢うことのない人を思いだして思わず聞き耳を立ててしまった。つれない春雨よ。優美で奥ゆかしき世界なり。(雅田如)

人 春雷や留守録告げる点滅灯        雅田如
遠くひそかに 断続的な雷音 留守電の赤い点滅灯 いずれも小さな不安をかき立てる
まあ 春まだ浅き夕闇は なんとはなしに不安をさそってミステリアス ではあります(変竹)

人 わが内に遠い太鼓や春の雷         変竹
 人生の中で忘れたきことの多いなか、ふと思いだす忌まわしきこともあり、不思議な狭間を描いた句だ。思わず引き込まれてゆく異次元の世界。(雅田如)


人 わが内に遠い太鼓や春の雷         変竹
突然の雷にふとよみがえる遠い日々。友達との思い出か、それとも秘めた思い出か。
胸が疼く感じが読みとれました。(里楽乃)


人 蒲公英や宇宙の果てに疑似地球      雅田如
疑似地球がユニークです。確かに宇宙には地球に似た星が多く発見されています。今の望遠鏡と科学はそこまでわかってしまう。この先の期待と不安と・・(摸楽宙)


人 春雷や結末のないミステリー       摸楽宙
書斎で独り読む本はクリスティーか、晩春の午後のしじまが見事に詠みこまれている。(粒石)

佳作 雁帰る即売品のあと僅か       摸楽宙
ボランティアでのフリマーケット なんとかまあ売れた あと残りわずか
北へ帰る雁が夕暮れの空に 春のきざしが 近づく春の音が 聞こえて(変竹) 
  
佳作 春彼岸卒寿に近づく我となり  粒石
九十歳の賀の祝い 卒寿 「九十歳 何がめでたい!」と吠えた超女流もいたが
そりゃあやっぱり目出度い ですよ でもね春彼岸 ってのも ちょっぴり ネ(変竹) 
  
佳作 折り雛の顔は折りし人に似て   里楽乃
近頃は 本格ひな壇 立派な雛祭りは少なくて もっぱらお部屋サイズの雛飾り
折り紙雛も人気のようです ひとり一人 想いを込めて 折る人の心が 出るか(変竹)
   
佳作 青き踏む手術の痕のかゆみ増す  雅田如
踏青 春の野山に青草を踏んで 遊ぶ 旧暦三月三日 中国の 習俗とか
手術の跡の痛みも 徐々に痒みに落ちついてきた 春の野に出て 深呼吸(変竹)

佳作 蹲るこころ飛ばせや春一番    変竹
木の芽がふくらむ頃になると、わけもなくもの憂い気分に陥ることがる。そんな時一喝してくれるのが春一番。正に神の采配と言わんや。(粒石)

佳作 わが内に遠い太鼓や春の雷    変竹
記憶に埋もれた遠い昔の出来事が春の訪れに合わせて蘇り心を昂らせているのであろうか。(粒石)

佳作 雁帰る即売品のあと僅か     摸楽宙
西日がかげり始めた、客足が遠のいてきた。空を仰ぐ店主、売り子の気持ちが伝わってくる(粒石)

佳作 春の雷午後のしじまへセレナーデ   粒石
静かなひと時が突然破られる。まるで音楽を奏でるかのように。(摸楽宙)

佳作 降る音のなき春雨に耳を立て     粒石
春雨と言うと、繊細、やわらか、いつまでも降りつづく雨、をイメージするが、確かに、そっと耳をそばだてている自分を、思い出してしまう。(摸楽宙)

佳作 青き踏む手術の痕のかゆみ増す    雅田如
手術の痕の、痛さから痒くなって行く不思議。痒いところをかく気分と青き踏むが重なってくる。(摸楽宙)

佳作 春雷や留守録告げる点滅灯     雅田如
出かけている家人からの連絡?困っての電話だろうか?不安が募る。(里楽乃)

佳作 雁帰る即売品のあと僅か      摸楽宙
売りきって帰りたいのに僅かに残ってしまっている。雁は帰って羨ましい。(里楽乃)

佳作 降る音のなき春雨に耳を立て    粒石
シラシラ降る雨。雨の気配は感じるのに。耳に神経を集中しながら静かな時間の流れに身をまかせている。中七が美しいです。(里楽乃)


佳作 百千鳥片付け一向に進まざり    里楽乃
 季節の変わり目を鳥たちは確実に認識してやってくる。けれども、生活のけじめが想うように進まないもどかしさが、上手い取り合わせで表現されてて微笑ましい。(雅田如)

佳作 千年のみやこにほのの花の人    変竹
 羨ましいこのゆったりしたのどかな空気感。「ほのの」を勝手に読み解けば「惚れたひと」に違いない。(雅田如)

佳作 中二階木枠に蚕飼の名残り染み   里楽乃
 白川郷あたりの合掌造りの中二階だろうか。絹織物の産地には欠かせない蚕棚を設置してあるところだ。昔の生活と繁栄がしのばれる。(雅田如)

佳作 春雷や結末のないミステリー    摸楽宙
 物語のエピローグが混迷のうちに終わりを告げる。人生もそうかもしれない。凡夫は凡夫のままに、迷い迷いながらはっきりとしたけじめのないまま・・・・(雅田如)
  







コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
四月兼題 (雅田如)
2017-04-07 13:29:26
 「はるよこい」松任谷由実の名曲のだが、前奏の心地よいピアノが光り輝く春の気配を思わせる。歌詞には返事のない君を待っているラブソングだ。私は「中島みゆき派」なのだが、春のイメージはこの曲を思い出す。

     四月兼題「うららか」

今の世相には考えさせられることが多い中、子どもにかかわる暗いニュースは「春なのに」狂おしい心境になる。平穏な社会になるよう祈りしかない。
 
 
 
四月兼題 (模楽宙)
2017-04-07 17:54:21
今年は桜が中々開花せず、どうなってしまったのかと、心配でした。
これも温暖化のせいなのか。
四月の兼題「春灯」(春の燭、春の灯、)です よろしく。
 
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