太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ブラックも楽し

2017-03-23 07:44:06 | 日記
職場でレジスター担当の日。

一人のご婦人が、1枚2ドル50セントのハワイアンなシールを20枚お買い上げになった。

カードでお支払いになり、すべてが終わったあとでおもむろに、

「これは2ドルでしょう?」

とおっしゃる。

「いいえ、2ドル50セントです」

「それは違うわ。価格表に2ドルと書いてあったわよ」

私はご婦人を連れてシールのラックまで行き、価格表を指差した。

その価格表は手描きで書かれており、確かにラフな書き方ではあるが、けしてゼロには見えない。

読めるとしたら、 5  か、 8 かなというぐらいで、

その前後左右に書かれているゼロの数字と比べたら、あきらかにゼロではないことが見てとれる。

それに今まで何年もの間、これをゼロと読んだお客はいなかった。




しかし、そのオバサンは

「ほら、これはゼロだわよ、見てごらんなさい」

と言い張る。

「いえ、ゼロはこちらで、これは5です」

「断じて違うわよ、私にとってはゼロだから、あなたは私に2ドルで売るべきよ」

と食い下がる。

もう私の手に負えないので、マネージャーを呼んだ。

結果は見えていた。

基本的に客商売は言い争いを避けるから、マネージャーは呆れながらも2ドルで売ることを承知した。



私はレジに戻り、改めて計算しなおし、差額の10ドルなにがしを現金でオバハンに返した。

オバハンはそれを受け取り、去り際に言ったのだ。



「あなたがたね、あのみっともない価格表を今すぐ降ろすことね。わかった?」



STUPID(みっともない、ばかみたいな)のところをこれでもかと強調して、そう言い、

勝ち誇った顔で私を睨めつけた。

ムッカー!!!ときた。

なんなの、それ!そこまで言う必要ある?

いい気分で過ごすなんてゲームはこの際どこかに消える。

あまり頭に来たので、私は満面の笑顔を作り、



「このバカ女」


日本語で言った。

オバハンは私が笑っていたので、なにか良さそうなことを言われたのだと思ったのだろう。


「わかればいいのよ」


と言って去っていった。




この話は同僚たちにウケにウケた。

どんなふうに言ったのか、もう一度やってみせてと、何度もやらされた。

ここに来る人達は旅行客がほとんどだから、おしなべて皆さんハッピーな気分でいるのだけれど

それでもいろんな人がいて、同僚たちもそれなりにストレスを感じることもあるのだろう。

真剣に「コノ バカ オンナ」を練習する人達もいた。



「日本語って便利ねーー!」

「満面の笑顔で言うのがポイントだからね」

「ああ、うまくできるかなあー、わくわくしてくる」



ブラックな私も、たまには楽し。




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