むらくも

四国の山歩き

船山ー中津山…徳島県

2017-04-01 | 四国の山歩き
船山、中津山          ふなやま、なかつさん


山行日             2017年3月29日
標高              1043m、1446.8m
取り付き地点          船山東・中津山遊歩道
駐車場             なし(遊歩道路肩)
トイレ             なし
水場              なし
メンバー            ピオーネ、むらくも




吉野川の支流、祖谷川と松尾川に挟まれるようにして船山と中津山が聳え、南東に派生する尾根はマドの天狗から東に向きを変え台地を伝って寒峰に至る。
船山の標高は1043mのだらりとした山容だが、標高1440を超す中津山は、別名中津富士と云われており、どこから眺めても端正でほれぼれするような三角形をしている。

今でこそ、吉野川沿いの大歩危・小歩危には国道32号線があって、祖谷渓谷沿いにも県道32号線が走っているが、その昔にはそのような危険な崖沿いには道はなく、生活道あるいは修験道は峠越えに限られていた。
特に善徳や一宇、田ノ内から池田方面へ行くには中津山を越えてマタンドへ出るか、山風呂経由でマタンドへ出て出合へ行くかだったと思われる。
山風呂は早くから廃集落で旧マドからの道は歩く人もなく廃道となっている。
因みに旧マドはマドの天狗と中津山の鞍部にあって、昔は交通の要所だったところ。
辻及び加茂方面へは、ここから日比原へ下り、松尾川を渡って腕山を越えた。
また池田方面からは旧マドを通って、高野や小島へ、もしくは寒峰台地を伝って四つ方峠や寒峰峠へ出て佐野、京上、栗枝へと下ったと伝えられている。

マタンド、マドという不思議な響きのする地名は、なんとなく同じような意味合いが含まれているような気がするのだが、それはドが入り口とか出口の戸を指しているのではないだろうかなどと稚拙な憶測をしてしまう。
そうすると、ドの頭に冠するマタンとかマはなんじゃということになる。
地方にもよるが、集落入り口には庚申塔を建て、災いや魔除けとした。
塔やお地蔵さんは建てなくとも、峠からの各集落への入り口なので、地名にそのような意味合いの「マ」をつけた?
そうすると「タン」はなんじゃ、「谷」のことか?
そういえば、マタンドの東を下ると険しい竜ヶ岳の渓谷がある。
とすると魔谷戸が訛ってマタンド??
こじつけもいいところ、あほらしすぎるのでこの辺でとんでもない邪推は止めたほうがよさそうです。

どちらにしても古くからの地名には、現代の人には通じなくなった意味が込められていて、却って人を引き寄せる怪しい魅惑を秘めている。
というわけで、一昨年、旧マドに訪れて以来、船山から中津山を歩いてみたいと思っていたが、やっと行く気になった。
愚図な性格だ。



3月末になったこの時期に、もう雪はないでしょってなわけで、ワカンも軽アイゼンも持たず、遅くに自宅を出発。
祖谷口に架かる青い橋を渡って出合へ。
出合橋を渡ってすぐに左折し山手へのやや細い道に入る。

おっと、山手への道に入る手前に、祖谷川に架かる橋がありました。
千足橋といって、千足や山貝への集落に向かう橋です。
この道は以前から気になっていて、渡って西に行けば山貝、川崎へと向かうが、南東に走ると千足、そして地図ではその先破線になっていて、対岸に祖谷渓温泉のある田丸神社に出る。
うっし、近々に訪ねてみよう。
また一つ楽しみを胸に抱いて、先ほどの山手へのやや細い道を上がる。


      三叉路道標                   光明寺

くねくね上がっていくとやがて三叉路、そこには石柱の道標と不動明王の祠があって、直進すると本名下、五軒、黒川へ、そして刻まれてはいないがマタンドへ行くことができる。
中津山登山口(13km先)の道標に従い右折した。
1kmほどで光明寺に着く。
このお寺の山号は中津山、昔は旧暦4月23日に春祭り、7月23日に夏祭りが催され、境内では多くの人で賑わい、中津山山頂へ向かったそうな。(注、現在は新暦で行われている様子なので、念のためネット検索をかけてみたが、詳細不明)


                    中津神社鳥居
しばらく走ったところで標高646mピークの東側の尾根に出た。
そこには中津神社の鳥居と狛犬があって、傍らには中津山遊歩道案内板があった。
案内板によるとマタンドまで5.5km、マタンドから中津山まで4.5kmと記されている。
(中津神社の社は中津山山頂西下側にある)


                     国見山
景色が開けており、西に残雪の国見山がどんと聳えている。


                     三方山
南には祖谷渓谷の左奥に三方山が見え、真ん中寄りに田丸神社のある標高659mピークが、国見山北1343mの支尾根から流れ落ちるようにして渓谷の端っこにちょこんと座っている。


                   中津山への遊歩道
中津山への遊歩道脇は大規模な伐採地、斜面には植林された苗木がプラスチックだろうか、筒に入れられ林立している。
摩訶不思議な光景だが、これはシカの食害防止。


    劔先大明神道標                   駐車
簡易コンクリートの舗装された道はすぐに荒れたダート道になり、石が転がりガタガタ。
周りの景色は抜群なのだが、細くて左側はガードレールもなにもない急斜面、タイヤが滑り落ちると恐いので運転は慎重になる。
道の傍らにはところどころで木材を運ぶ中型トラックや、オフロード車、軽トラが停められていた。
人影はない。
劔先大明神300mの道標があったので、そちらへの道を走って尾根どおしに船山へ登ろうかと思ったが、止めてそのまま荒れた遊歩道を直進。
伐採地斜面上に船山らしきややだらけ気味な頂が見えている。
10:33、車を路肩に駐車し、出発。
伐採された斜面の作業道を上がる。


                       腕山
ジグザグッと登ると、やや北東方向に阿讃山脈が霞んでおり、大川山から竜王山らしき稜線がある。
西には腕山だろうか、ミツマタの白っぽい花の奥に聳えている。
腕山の北側には井川スキー場があるが、今シーズンはもう終了してるだろうか。


          作業道                監視カメラ
作業道はジグザグと緩い勾配で時間が掛かるが、直登しようにも伐採された斜面は雪が積もりゆるゆるベタベタと歩きにくい。
道の一部にネットが張られていて、カウンターか監視カメラのようなものが備え付けられている。
獣を、特にシカの頭数監視をしているのだろう。
遠巻きに避けて通過。


       船山山頂                  山頂標識
11:13、三等三角点。黒川が埋設されている船山山頂に到着。
傍らにはキティ山岳会の山頂標識があった。


                   国見山稜線
船山より350~360mほど高い国見山の稜線には薄く雪を纏っており、上空にはやや低い雲のわずかな隙間から、透かすようにして光が分散している。


          境界杭                 トラバース
尾根をやや東にずらして1090mピーク方向に歩き、やがて二重稜線を西側に乗っ越え、1090mをトラバースして鞍部へと下った。
どこで外れたのか分らなかったが、破線の道からは離れてしまい、随分上を歩いたようだ。


        伐採地                  東からの車道
標高930mまで下ったとき、前方に大きな伐採地が見え、その下側に車道らしきものが走っている。
12:01、右手からの破線のトラバース道と合流し、アスファルト車道が東から上がってくる広い鞍部に降り立った。
マタンドだった。
国土地理院地図では黒川から延びる林道があって、マタンド北東標高800mで途切れている。
その林道は松尾線で、どうやらその後マタンドまで造成したようだった。


           林道                 船山への遊歩道
舗装路は尾根左側を巻き気味に中津山へ向かっている。
そしてもう一つのダートな林道が尾根やや右側に造成されていて、南に向かっている。
後方を振り返ると、下りてきた尾根のすぐ東側を巻くようにしてダートな遊歩道が駐車したところへと向かっていた。


                    マタンド概略図
マタンドは要するに上図のように、1090mからの巻いた登山道2本と船山中腹からのダートな遊歩道、そしてアスファルト舗装の松尾林道と、中津山へ通じる舗装された遊歩道と、尾根右側から南に延びるダートな林道1本の合計6本が交叉する広い峠なのです。


          伐採地                 遊歩道終点
舗装された中津山への遊歩道は地図を見ると九十九折れの長い道、これを嫌って右側のダートな林道に足を運びすぐに尾根への作業道へ左折する。
ところがこれが間違いの元、歩いた林道は伐採地への作業道だったのだ。
鹿避けネットの続く作業道をジグザグに登り、1181mピークに達した。
シオアメなめなめ、雪で埋まった道を歩き、中津神社への道標がある遊歩道終点へ。


       祠とお地蔵さん                大師像
14:19、中津山山頂に到着。
大師像の裏には一等三角点・中津山の石柱が埋設されてるのだが、雪に埋まっていて見えない。


        黄金の池                    ベンチ
夏にはジュンサイが浮かぶ黄金の池も雪の下。
中津大権現さんにお詣りして、五つほどベンチの並ぶ展望所から三嶺や天狗塚方面を眺めるが、生憎、霞んでてよくは判らなかった。

何年前だろうか、以前にここで休憩した折に、同じ町内に住むご近所さんに偶然に出会ったことを思い出した。
その方は、すでに鬼籍の人。
山をこよなく愛した方だったのだが…、寂しいことだ。


                     寒峰
東南東には寒峰台地から続く寒峰の山。


         腕山                     尾根歩き
腕山の雪が積もった牧場が白く光り、右手には烏帽子山の特徴ある頭が小さく見えていた。
14:28、下山開始、復路は遊歩道ではなく尾根を忠実に追う。


      シカの根っこ齧り                  マタンド
シカが雪を掘って根っこを齧った跡があった。
鳴き声が聞こえていたので、先ほどまでここにいたのだろう。
積雪は25cmから30cmほどだ。
15:17、再びマタンドに到着。


  コンクリート際にあるマタンド道標          船山への遊歩道
道標には中津山へ3.7kmと刻まれていた。
1090mピークを東に巻いてつけられた遊歩道を歩き、15:48、駐車地点に帰り着く。

<後記>
自宅を出発したのが遅かったことで、岩場のある中津神社に寄ることが出来なかったのが少し悔やまれた。
尾根にはウリハダカエデやブナなどの自然林があって、秋の紅葉時期に合わせてもう一度歩いてみたいコースでした。
(注…2017年3月29日現在時点)普通車は松尾林道を走り、マタンドから中津山への遊歩道終点までは問題なし、ただし、カーブでの切り替えし要。また出合橋から光明寺経由して尾根上にある中津神社鳥居までは走れますが、その少し先から船山東中腹までは軽四オフロードか軽トラでないと走行困難。なお、マタンドから船山東中腹までのダートな遊歩道も荒れてなく普通車は入れるようでした。

駐車地点10:33ー船山山頂11:13ー12:01マタンド12:17ー遊歩道終点14:12ー14:19中津山山頂14:28-マタンド15:17-15:48駐車地点


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