むらくも

四国の山歩き

牛ノ背・天狗塚…徳島県

2017-01-03 | 四国の山歩き
牛ノ背、天狗塚          うしのせ、てんぐづか



山行日              2016年12月30日
標高               1757.2m、1812m
登山口              三好市東祖谷西谷林道 堰堤西
下山口                   同上    天狗塚登山口
駐車場              林道拾い路肩もしくは天狗塚登山口付近
トイレ              なし
水場               おかめ避難小屋直下
メンバー             ピオーネ、むらくも



今季初の雪山歩きをどこにするか、いろいろと検討した。
四国の山の積雪量はこれまでのところ例年に比べてやや少なめで、高所に行かないと楽しむことはできないかもしれない。
目安、標高1800m以上の山、となると限られてくる。
石鎚山系11、剣山系8、矢筈山系1の20山になるが、例えばちち山と笹ヶ峰や剣山と次郎笈などはセットになるので、実際には半分近くの11山に絞られてしまう。
さらに周回となると7山、冬山での自分の力量に見合った山となるとわずかに5山しかない。
天狗塚ー牛ノ背、剣山ー次郎笈、石鎚山、瓶ヶ森、筒上山ー手箱山のうち最も歩きよいのは前二つだろうか。
登山口が自宅から近い天狗塚ー牛ノ背へ行くことにした。
暮れも押し詰まってるので、2016年、年納めの山歩きになる。



近くを流れる川には冬になると多くのカモメやカモたちが集まってくるが、暖かい日が続きまだ数は少ない。
冬鳥たちは、寒さが厳しければ厳しいほど、数を増やし、川やため池の近くの田んぼや畑に入り込み、雑草をついばむ姿が見られる。
此処二日間ほどは、やや冷え込んだためか、早朝には川から鴨の賑やかな鳴き声が聞こえていたが、どこへ行ったのか今日は聞こえてこない。

AM6時過ぎ、標高400mほどの猪鼻トンネル付近の気温は0度、この時期にしては暖かい。
雨後の空はやや高雲っていたが、天気予報では晴れになる予定。
山間に筋状の雲が漂っていたので、これが抜けると青空が広がるだろう。


         堰堤                  造林小屋
大歩危橋を渡って、標高おおよそ500m祖谷トンネル付近に来たが、例年だと道端には雪が積まれていたりするのだが、さっぱりない。
蔓原から西山林道に入って、最終民家を過ぎた標高900mあたりから道には白いものがチラホラ、ところによっては凍りついて光っている。
二駆から四駆に切り替え、ヒヤヒヤモードでダート道を走り、雪が薄く積もった堰堤傍に停める。

8:35、堰堤より120~130mほど西山林道を北西に下ったところに、新しく造成された林道があって、そこから登りだす。
冬山といっても特別なものは簡易アイゼンとアルミ製のワカンのみ。
着てるものは普通の肌着にシャツ、その上にスポーツショップで売っていたアノラックパーカー。
ズボンも裏起毛がついたもので、これも普通のスポーツショップで1980円で買ったやつだ。
足元はスリーシーズン用の登山靴に6本爪簡易アイゼンとスパッツ。
無積雪期にはバランスを培うためにもストックは使わないが、積雪期だけは足元が不安定になるためダブルで使用することにしている。
ピッケルは積雪おおよそ50~60cm以上で斜度がきつい山での使用に限っているので、今回は持参していない。
ザックには念のために山の上で一晩明かす程度のものは放り込んでいる。
ワカンも必要ないと思ったが、妻が持って行ったほうがいいと言い張ったので、仕方なくザックに括りつけた。
妻にはむやみと逆らわないことにしている。


       伐採地                  森林限界付近
林道は亀尻峠から牛ノ背へと続く尾根上直下までジグザグに造成されているので、素直に従い、岩のある鞍部に到着。
一呼吸おいて、岩の左横から南南東方向に尾根を登る。
やがて植林地を抜け、小さな自然林の伐採地に出る。
ここからしばらく登ったところで、左側が切れ落ちた緩やかな勾配になる。
おおよそ標高1580mあたりでもみの木だろうか、クリスマスツリーの生えた感じのいいところがあって、ちょいと西の小高いところへよって、樫尾阿佐尻山や弘瀬山を眺めながら一呼吸。


        ミヤマクマザサ               十字路
森林限界を越えると一面ミヤマクマザサの茂る斜面を上るが、登山道にはいくつもの獣道が横切り、さまざまな足跡が残されている。
突然茂みの中からピーッと高い鳴き声が2~3度響き渡り、その後シーンと静かになったと思いきや、ダーッと斜面を横切るいくつかの黒い影。
妻がシカちゃーんこっちおいでー、逃げなくていいよーとちゃん付で呼ぶ。
シカちゃーんと言われてもな、シカとしては困ってしまうよな。
4~5頭走ったが、先頭を走る一頭が、どうしたらいいんだろうという風な目で妻を見た…ような気がしたが…???
後ろから走るシカは知らぬ顔して前を向いて、懸命に先頭についてゆく。

その後もいくつもの集団で走り抜けた。
見た目にはドドドドーッと音を立てて走っているように見えるが、実際には音はしない。
シーンとして、白い雪原をしなやかな体をしたシカが、スススーッと動いてゆく無声映画のワンシーンを眺めているようだった。
多い集団で10頭前後いただろうか、それが5回6回と続くが、不思議なことにすべてのグループが左手から右手(北から南)へ。

前方に天狗塚の頂がちょこんと見える十字路に到着。
ここを左折し、三角点へ向かう。


                三等三角点・古味
11:45、三角点のあるミツコバに到着。
樹林帯では汗がしたたり落ちたが、さえぎるものがないここではさすがに風は冷たく、汗は一気に引く。
手袋を脱ぐと指がかじかみ、ジーンと痺れて痛いと感じた。


        牛ノ背                    岩棚
モノトーンだった三角点を離れてすぐに、雲は退き、青空が広がり始める。
岩陰で風を避けて昼食をとる。
おにぎりなどのご飯類は冷たく凍りつくこともあるので、冬山のおともにはサンドイッチと決めていて、変な取り合わせだがインスタント味噌汁で流し込む。
暖かいものを飲むと気持ちがストーンと落ち着くのだ。
因みに朝食は車の中でおにぎりと豚骨ラーメンだった。
豚骨は脂分たっぷりの、ガーリックこってりでむつごかった。
もう二度と食べたくない、豚骨ラーメンは年寄りには合わない。


     アニマルトラック                  コメツツジ
登山道には小さくてかわいい二点と尻尾を引きづったネズミの足跡が点々と続いている。
この山域ではシカが圧倒的に多いが、樹林帯では三点のリスの足跡も木の根元から次の木の根元へと残されていた。


               天狗塚と天狗の池
足を運ぶ都度、じわりっと天狗塚の大きさが増してきて、次第に威圧感を感じるようになる。
この山はその姿形から、見た目にも恰好いいのだ。
表現はよくないかもしれないが男らしいのだ。
グンと胸を張っていて、それほど大きくはないのに雄大に見えてしまう。
妻もしきりとカッコいいと何度も呟く。


         天狗の池                  天狗塚
池は凍りついていて、奥に一つ、手前に一つ、光を反射し白く輝いていた。
道は天狗へ向かって一直線。


        牛ノ背                    天狗斜面
急登の深く掘れてしまった道をグッと上って牛ノ背を振り返る。
再び上を見て、霧氷で真っ白くなったコメツツジを仰ぐ。
視線の先には歩く妻の頭の上から、太陽が逆光を浴びせかけ、ちょい太り気味のシルエットを浮かび上がらせる。


         霧氷                    天狗塚山頂
美しい。
低い木はコメツツジだが、やや大きいのはなんの木だろう。
春にも夏にも登っているが、ここは喘ぎながら登る所為もあって、木の種類など見てはいない。

13:15、先行者のトレースの残る山頂に到着。


         南斜面                   天狗峠方向
いくつもの獣道が走る南斜面、その遠い、直線距離にしておおよそ50kmほど先には高知沖の太平洋が輝いていた。
西山分岐に一つの影が立った。
ほんの少しして影は見えなくなったがこちらに向かってくる気配はない。
おそらく山頂に残されたトレースの主で、おかめ方面へ行ってたかしたのだろうと思った。
後日に、その方はアカリプタさんだったことが判明、もう少し私たちの足が速ければお会いしてたのに、鈍足はこういうところでも損をする。

ほんの5分ほど山頂で景色を楽しんだという感覚で、西山分岐へ向かったつもりだったが、後日にログで確かめたところ20分も留まっていたようだ。
たぶん、ボケーッとしていたのだろう。
時間の感覚がズレてしまっている。


                   鞍部へ
何度見てもこの風景飽きない。
天狗の山頂から、この岩のある鞍部を撮った古い写真を自宅に飾っていて、当時を思い出すたびに懐かしさがこみあげてくる。


            天狗塚へ向かう光石からの登山者二人
14:00、西山分岐に到着し、その場に座って熱いコーヒーを淹れ、天狗を眺めながら飲む。
たぶんご夫婦だろう、男女ペアの方が地蔵の頭からやってきた。
光石から登って、今夜おかめ避難小屋で泊まるとのこと。
ヒョー!
いいなー、なんちゅうたかて、今夜も明日もいい天気に違いない。
山の上で夕日と朝日がみられるなんて、ヒョーヒョー!
妻が見てもいない景色を頭に巡らせて、感動し目をうるうるさせていた。


        西山分岐                 下山
二人が天狗塚へと向かったのを見届け、わたしたちは下山することにした。
アカリプタさんのトレースが雪の上に残っており、迷うこともなく安心して下りられるので随分と楽だ。


        笹と霧氷               祖谷山系と霧氷
積雪は10~15cm程度で、笹原は青く、ほんの少し西に傾いた太陽光のお陰もあって、霧氷がひときわ浮き出て見える。
祖谷山系を眺めながら下る。
稜線は西の端から国見山、形の良い中津山、意外となだらかな寒峰、サガリハゲ、落合峠、そして矢筈山から黒笠山を経て津志嶽へと流れ込む。


         影                   1476m峰
冬至が過ぎ、幾分か日が沈むのが遅くはなったが、それはほんの気持ち程度で傾くのは早く、雪の上に延びる木の影は長い。
15:10、1476m峰に到着。


       矢筈山                   天狗塚登山口
祖谷山系最高峰の矢筈山が垣間見え、麓にある段々と重なった久保集落の家々は、ほんの少し赤みを帯び、やがて夕陽に染まってゆくのだろう。
15:40、鉄階段のある登山口に下りてきた。
ところどころ凍りついている西山林道を、足をツルツル滑らしながら堰堤へ、妻と二人トボトボと歩いた。

堰堤8:35-亀尻分岐9:25-三角点・古味11:45-<途中20分休憩>-天狗の池12:50-13:15天狗塚13:35-14:00西山分岐14:15-1476m峰15:10-天狗塚登山口15:40-16:30堰堤


グーグルマップ(登山口などの位置がわかる地図)→こちら
ルートラボ(距離・時間などがわかる地図)→こちら
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