むらくも

四国の山歩き

仙丈ヶ岳…南アルプス(北沢峠)

2014-10-02 | 四国外の山
小仙丈ヶ岳、仙丈ヶ岳      こせんじょうがたけ、せんじょうがたけ



山行日             2014年9月28日
標高              2855m、3032.6m
登山口             北沢峠(南アルプス林道バス停傍…マイカ-規制仙流荘からバスにて峠へ)
駐車場             なし(※仙流荘付近に広い無料駐車場2箇所あり)
トイレ             北沢峠バス停横、仙丈小屋、馬の背ヒュッテ
水場              馬の背ヒュッテおypび付近の沢(※仙丈小屋の水場はこのときには涸渇)
メンバ-            坊主さん、ピオ-ネ、むらくも




永年勤めた妻が退職して職場を去る日が間近になった。
退職後に落ち着いた頃を見はからって出かけるか、それとも山の気温が下がらないうちに出かけるか、ちょいとばかし悩んだ。
退職後だと10月の頭になる。
その場合は日程的に仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳の二山を登ることが出来るが、退職前だと週末の土日二日間での苦しい日程になる。
土曜日が異動日、日曜日のみの日帰り登山ということで仙丈ヶ岳か甲斐駒ヶ岳のどちらかに絞られてしまう。
登山口は長野側の戸台からバスで入った先の北沢峠。
戸台から北沢峠へは南アルプス林道が走っているが、マイカ-規制のため林道バスとなる。
この時期の土日におけるバス運行時刻は特に問題になるのが帰路における最終便で16:00。
尾瀬ヶ原のような乗り合いタクシ-はない。

ル-ト選択にもよるが、どちらかというと仙丈ヶ岳のほうが歩行時間は少なくて済む。
甲斐駒ヶ岳の場合は少しハ-ドなようで、登山者の中には最終便に間に合わない人もあるようだ。
その場合はどうなるのか、北沢峠にある三つの山荘に泊まるしかないのですが、少なくともそのうち二つのこもれび山荘(旧長衛荘)と南アルプス市長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)は完全予約制、大平山荘は直接訊いてはいないのですが、HPでは予約制となってましたので同じではないかと思われます。
(最終バスに乗り遅れた方がどうされたかは、たしかな情報を得てませんので悪しからず)



というわけで、台風16号が温帯低気圧となってはるか北の太平洋へ去ったあと、快晴の9月27日早朝4時、仙丈ヶ岳へ向けて自宅を出発。
17号が発生しているそうだが、これは日本へ近づくには先のことで大丈夫な様子。
北海道大雪山系旭岳はすでに初冠雪が終わり、紅葉も一週間ほど早い、朝晩と日中の気温差が大きいためか例年になく鮮やかだとか。
出発前には日本アルプス方面も紅葉のシ-ズンインの情報が伝わってきた。
たぶん、日本列島は高気圧に被われ快晴、そして紅葉のまっただ中に南アルプスへ出かけるのは初めてのこと、その景色を想像するなと言われても無理、ムヒフヒフ~。
仙丈ヶ岳はなんといっても南アルプスの女王、ハッハ-、女王様~ブッテブッテm(_ _)m

中央自動車道伊那ICを降り、仙流荘に午後1時半頃に到着。
仙流荘の日帰り温泉にでも入ってと思ってたが、時間が足りなくなった。
元もと坊主さんと妻は入る気などなかったのですが、風呂に入らずに一夜過ごして山に登るなんてなんともバッチイ二人です。
神聖な山を汚すことはあいならんと叱りつけても、知らん顔の半兵衛さんを決め込んでましたわ。ブツブツ

気温は24度。
14:20最終便の村営バスに乗り込んで、運転手さんの素晴らしいガイドを心地よく聴きながらしばらく揺られる。
小黒川に架かる戸台大橋を渡る(橋を渡らずにもう少し先へ車を走らすと50台ほどの駐車場があってそこが冬季登山口の場所だそうです)。
河原ではフジアザミが群生し鮮やか、三週間ほど前には小栗旬主演のテレビドラマのロケがあったそうだ。
たぶん「信長狂想曲」といってたような気がするんですが…記憶がどうも曖昧。

ここから先はマイカ-規制、30分ほど走ったところでバスの窓外ではカツラやダケカンバ、ウダイカンバ、ナナカマドが色づいており、道沿いにはヤマブドウやノコンギク、そしてウメバチソウが群生していた。




相当に高度が上がったところで、戸台川が流れる渓の遙か上に嶮しい姿の鋸岳が見えてきた。
鋸岳は日本200名山、標高2685m、鹿窓という大きな穴があってそこを潜るようにして登山道が着けられているそうだ。
運転手さんは穴が開いていてそこからは青空が見えているでしょうとしきりと説明してくれますが、目の悪いわたしには見えない。
その隣には甲斐駒ヶ岳、これはシカと見えましたのでカメラシャッタ-をパチリ。
大平山荘を過ぎて、15:15、北沢峠にあるこもれび山荘に到着。
なんだかランプの宿みたいですね。

その夜は隣に居合わせた東京と神奈川から来られた3人の男性たちと談笑。
昨日仙丈小屋に泊まって夕焼け朝焼けを眺め、今日降りてきたそうな。
明日は甲斐駒ヶ岳へ、う----っ、いいな~、やつぱり山頂近くで小屋泊まりだよな。
夕飯の前に布団の上で焼酎を一杯、グビッとやってたら、女性スタッフがやってきて、「あんた、ここでは飲み食いしたらあかんがな、こぼしてもらたら困りまんがな」という意味のことを標準語でゆうた。
わたしはたまたまそのときは飲んでなかったのですが、坊主さんは運悪く口元でコップを傾けてましたわ。
「すんません」と坊主さん。
「クリ-ニング代もらいまっせ!」(これも標準語でしたが)
坊主さん、再び「はいはい、すんません、すんませんな」
「ハイは一回でええ、すんませんも二回もいらん、あんたなめとんか」といったかどうか、お腹の中で思ったかも…???(あくまでも臆測です)

スタッフの方は吐き捨てるようにそのまま階段へと消えていった。
気の弱いわたし、震えながら小さくなってましたわ。
ああ-、こわ-、ハヨ、メシ食って寝ようぜ。
食堂でビ-ルを飲んで、翌日の弁当(この山荘では朝食は弁当でした)をもらって、8時消灯。
わたしと坊主さん、寝る前に鼾対策のバンドを鼻に貼り付け、口が開かないようにテ-プを貼り付けた。
わたしは口が開かないようにきつくテ-プを貼った。
坊主さんはと、寝顔を覗くとテ-プが弛んで、口は半開き、たんまに気になるほどではない鼾が聞こえてきた。
それに比べ隣の東京からの客人たちは五月蠅いこと。

気にしない、朝までぐっすり。
しかし、途中で目覚めてトイレへ行ったとき、目眩がして座り込んだ。
貧血だろうか、ここは標高2036m、高山病かも。
明日大丈夫だろうか?




キショ-!
東京の客人は3時に起きて4時には甲斐駒へ向けて出発したようだ。
朝弁をたいらげて歯を磨き、5:27、明かりの灯った山荘を後にする。
空気は冷たく空は白々としている。
気温は5度、ジャケットを着た。
泊まっていた大半の方たちはヘッドランプを点けてすでに出発しており、登山道を歩く人の姿はぽつぽつ。




コ-スは小仙丈尾根、当初藪沢新道から小仙丈尾根を周回するつもりだったが、山荘スタッフの方のお奨めで景色のいい小仙丈から上り、その後藪沢を下るか、それとも再び小仙丈を辿るか都合で決めることにした。
コメツガやシラビソの原生林を黙々と登っていく。
徐々に日が昇り、二合目を過ぎた辺りで原生林に陽が差し込む。




三合目に近づいた頃に北東方向に甲斐駒が見えた。
標高おおよそ2200mだろうか、辺りはすっかり紅葉している。
真っ赤なのはナナカマド、真っ黄なのはダケカンバ、空は真っ青。




四合目を過ぎてからは紅葉のオンパレ-ド。
紅葉の向こうに遠目ではありますが、非常に高い頂が見えています。
日本NO2の高峰、北岳のようです。




7:23、登山口を出発しておおよそ2時間、五合目の大滝の頭に到着。
若い方がたくさん休憩されています。
ここはこのまま尾根道直進と右折して藪沢小屋を経て馬の背へ向かう分岐地点。
わたしたちも本日2回目の休憩をとります。

景色は北東方向から東に開けている。
左から右へ、甲斐駒、栗沢山、アサヨ峰。
歩いている最中、昨夜の山荘での出来事で、スタッフからの「クリ-ニング代請求しますよ」と言われた後、ボケやツッコミを入れて雰囲気を和らげることが出来なかったことを後悔した。
「クリ-ニング代、先払いしとくわ」ではダメか-。
坊主さんが飴をくれた。
そうや、「飴ちゃんあげる」って言えばよかったんやわ、遅かった、辛いの~。




アサヨ峰と小太郎山の真ん中奥には鳳凰三山。
小さく小さくオベリスクが覗いていました。
右の写真は鋸岳から甲斐駒ヶ岳にかけての稜線、真ん中奥に小さく八ヶ岳の赤岳の頂。




前方に小仙丈ヶ岳のどっしりした姿が見えてきました。
ハイマツが一気に増えてきました。
山頂やや左手付近で中型の鳥がハイマツの上でバタバタ騒いでいましたが、ホシガラスのようです。
右手、馬の背方面には紅葉した斜面に小さく馬の背ヒュッテや仙丈小屋が見える。




標高おおよそ2750~2800m、空気が薄いせいか足が重たく感じた。
若者たちもややゆっくり目に足を運んでいたが、わたしもそれ以上に歩幅小さくゆっくり登る。
お-っ!北岳の遠く左奥に富士山が…、日本の高峰ワン・ツ-ショットだ。




赤と緑のコントラストがすごい。
先ほどからず-っと見えていた馬の背の稜線、高度が上がりその向こうに北アルプス、みなさん槍ヶ岳や穂高が見えているとおっしゃるが、わたしにはさっぱり分からない。




そのとき誰かが御嶽山が見えていると叫んだ。
どれだっ!
昨日バスの中で運転手さんにお昼前に御嶽山が噴火したと教えられびっくりしたが、ハイマツの向こうに小さく噴煙が上がっているのがはっきりと垣間見えた。
聞くところによると心肺停止の方がたくさん出ているとのこと。
被害が広がらなければいいが…。




8:37、登山口からおおよそ3時間かかって小仙丈ヶ岳到着。
ここまでは順調だったが、やや疲れました。
しばらく景色を眺めながら休憩です。





北岳-間ノ岳-農鳥岳。
遠くには塩見岳や赤石岳も見えていたようです。




女王仙丈ヶ岳とその東側に広がる小仙丈沢カ-ル。




若い人たちばかり、みなさん次々と出発します。
最近の登山者の年齢は随分と若くなっていますね。
わたしたち中高年は、特に高年者は減ってるんじゃないかしゃん。
帰宅後、御嶽山において亡くなられた方の年齢を見ましたが、二十歳代の方が多い。
30~40代の方は働き盛り子育て時期ということもあり、ほとんどいないのかと思ってましたがそうでもなく幅広い年齢構成。
山はもう中高年という時代ではなくなってるような気がしました。




小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳までおおよそ1時間の道程、のんびりと歩きます。




言葉は要らない。




どこまでも続け、この山この道この風景。




ですが…、足がいかんせん重たい。
前を歩く若者も空気が薄いので足が普段通りに動かないねと話しながら歩を進めている。
若者がそうなんだからと慰めてはみるものの、どんどん追い抜かれる。
後方を歩く妻もかなり疲れているようで、坊主さんから急にスピ-ドが落ちていると忠告があった。




10:27、仙丈ヶ岳到着。
一時間のところを一時間半ほど掛かった。
ここで食事、たっぷり休みを入れることにしたが、妻は弁当を食べることができないようだ。
軽い流動食で済ます。




あとは下るだけ、声を掛け仙丈小屋へ出発。




20分と掛からずに小屋に到着。
水場は涸れていた。
山頂では風が吹き寒かったが、北斜面に降りると風は無く暑い日差しがふりそそぐ。
シャツ一枚になり、ズボン下に履いていたタイツも脱ぐ。
やや、すっきりした感じになった。
妻はここで高山病の薬のダイアモックスを半錠飲んだ。
こもれび山荘で半錠、合わせて1錠。
わたしはこもれび山荘出発前に1錠飲んでいる。

夫婦揃って高山病体質、これは生まれつきのもので、生涯慣れることもなく治ることもない。
どうやら二人とも高地・山岳民族出身ではないようで、かといって船酔いもするので海洋民族でもない。
低地民族とでもいうしかないようですね。

仙丈小屋辺りはハイマツ地帯、この付近でライチョウが棲んでいると思うのですが、今日は生憎姿が見えません。




御嶽山の黒くなったり白くなったりする噴煙はときおり高く吹き上げていますが、硫黄の匂いも上空に吹く風に乗って微かにやってきているようだ。




渓から仙丈小屋方面を見上げた景色ですが、この色合いはすごいとしかいいようがない。




いい時期といい天候に恵まれました。




谷底の斜面ではダケカンバが紅葉していましたが、どの樹木も斜めに倒れています。
冬、積雪やときおりの雪崩で倒されるんでしょう。
やがて馬の背ヒュッテ方面と丹渓新道の分岐に差し掛かった。
丹渓新道途中にある馬の背三角点(分岐から16~7分程度のところ)へ寄る計画もあったのですが、止めることにしました。




鹿避けネットの登山道周りは黄色一色。




心なしか馬の背ヒュッテも黄色く染まっている。
60才前後と思われる単独の男性にお会いしたが、この方は今日仙流荘からバスに乗り、北沢峠登山口を7時に出発したそうです。
わたしたちより1時間半遅く出発したのですが、もう追いつかれました。
そしてこの後、足も軽やかに下って行かれ、あっという間に見えなくなった。
峠のバス停でもお会いすることがなかったので、おそらくわたしたちが乗った最終便よりも一便早い15:00の便で帰られたのだと思う。




この谷は仙丈小屋へと続いているのですが、仙丈小屋では水は涸れていてもここでは随分と流れています。
この地点は左へ藪沢新道、右へは小仙丈尾根五合目への分岐ですが、ここでも当初計画の藪沢ル-トは諦めて、少しでも時間が掛からない小仙丈尾根から下ることにした。
おっと、妻はカメラを忘れそうになって、慌てて引き返す。




沢を渡ってやや上り気味の尾根への道を進む。




先へ進むほどに妻の速度が鈍くなってきた。




やがて無人の藪沢小屋に到着。
ベンチがあったのでそこで休ませてもらうことにしたが、妻はとうとうダウン。




妻の荷物をザックから取りだし、わたしと坊主さんで分担した。
幸いにも今回の山行は当初から小屋泊まりの予定だったので、ザックの中にはテントもシュラフもなく荷も軽い。
なにか白いものが咲いてましたが、なんの花だったか?

突然、前方から悲鳴の声が聞こえてきた。
ヘビでも出たのかなと思い、近づいてみると、滑りやすい岩場に山手側に一本のロ-プが張ってあって、そこを渡ってる途中に女性の方が足を滑らしたようです。
頭を打ち付けたようで、しばらく佇んでた。
滑った方はグル-プの中のお一人だったようで、数人が心配そうに見まもってました。
声を掛けたところ大丈夫とのこと、ロ-プがあっても危険と思われるところは油断ができませんね。




バスの最終便が16:00ということもあって、鞭打ってスタ-ト、時刻は13:40。
あと残された時間は2時間20分、普通の状態なら2時間もあれば北沢峠に着くのですが、バスに乗る前のトイレ休憩も含めると余裕はなさそうです。
14:07、五合目大滝の頭に到着。
少し体を休める。




五合-四合-三合-二合目、時計を睨みつけながら歩くが、随分と長く感じた。
特に三合目から二合目に掛けては30分も掛かったように思ったが気のせいだろうか。
このときはさすがに焦ってしまった。
妻には悪いと思いつつ、二合目からはやや速めに歩いてもらった。




15:40、峠にあるトイレの屋根が見えたときは、ほんとにホッとしました。
トイレに行き、ベンチでバスを待つ間にも登山者たちがどんどん下ってくる。
突然ベンチの傍で短くて可愛いシッポを持ったネズミが走った。
バスは満員になったので定刻を待つことなく、15:52、出発。
ご心配なく、あとで降りてきた人には次の臨時バスが運行することになってます。
満員になり次第スタ-トするシステムは仙流荘からのバス便のみで、山梨県側から北沢峠へ入るバス便はそのシステムは採ってないそうです。




予定より早く着いた仙流荘で早速温泉に浸かり、汗を流し、ほんわかさっぱりっとして仙流荘をあとにした。
妻も標高が低くなったのと温泉のお陰で、少しは元気になったようですが、この日の夕ご飯は食べられずじまい。
恐るべし高山病体質、今後の山行計画は慎重にも慎重にを重ね、なおかつ、高山病を発症しない山を選ばないといけないようです。
今回は初めての3000m超えだったのですが、富士山なんて登るのはとてもじゃない、死にまする。
例えば尾瀬辺りなら出かけられるかもと思ったりもしてますが、しばらくは、四国のお山でのんびり秋を楽しむこととします。

坊主さんへ、なにかとお世話になりました。
そして当初計画を大幅に変更してもらったりでご迷惑かけたことをこの場でお詫びします。
ありがとうございました。




北沢峠登山口5:27-大滝の頭(五合目)7:23-8:37小仙丈ヶ岳9:01-10:27仙丈ヶ岳11:11-11:28仙丈小屋11:43-12:33馬の背ヒュッテ12:47-13:03藪沢小屋13:40-大滝の頭14:07-15:40北沢峠


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