むらくも

四国の山歩き

横峯山~妙見山…香川県(荘内半島)

2014-03-21 | その他<香川の山>

横峯山、妙見山          よこみねやま、みょうけんやま



山行日              2014年3月19日
標高               279m、319.8m
取りつき地点           三豊市詫間町香田西
下山地点                   香田東
駐車場              なし(道路沿い広い空き地)
トイレ              なし
水場               なし
メンバ-             坊主さん、むらくも




3月も中旬がそろそろ終わりに近づき、4月の消費税アップが目前になってきた。
酒好きな男どもはしこたまビ-ルなどを買い占め、あとは自分の趣味にかんする品物を物色しては「それいけ~っ!」などと呟きながらネットでプチッと注文したりしている。
普段は趣味のモノなど、おとろしい顔をした奥さんの顔色をうかがいながら、やましい気持でこそっと買ったりしているのですが、消費税アップにかこつけて、この際買っちゃえというちょっとしたプチハイな気持になっていることは間違いない。
しかし、これは旦那だけでなく、世の賢い女性たちはより高価なモノを買い求めているのです。
知らないのは亭主ばかり。
おかげさまで日本だけはこの3月、すさまじい物欲で活気づいている。
わたしも買いました。
次から次へと宅配便で届くのは山のグッズばかり、宅配のニタリッと笑いかけてくれる若いおにいさんの顔を覚えてしまいました。
届いた品物には高価なモノは、やっぱりない、それなりの安いものばかりで、年金暮らしの悲哀が滲み出ている。
ロンリ-・チャップリンならぬロンリ-・ネンキングラシでその日暮らし。

ホ-ホケキョ、川辺で遊ぶウグィスの鳴き声は、春先の訓練期間を終えて、艶やかで伸びのある声で歌うようになってきました。
すっかり春ですね~。




というわけで、そんな世知辛くも欲望が渦巻く世の中を離れ、坊主さんを誘って山に出かけることにしました。
出かける山は、予てから懸案の荘内半島に
ある超マイナ-な里山・横峯山を歩いて南の妙見山へと縦走し、そこからなんだか訳の分からない尾根を辿って周回しようというものです。
訳の分からない尾根から、訳の分からない尾根へと歩く。
こういう企画に乗ってくるのは、やっぱり訳の分からない人間しかいない。
誰と誰と誰、いちいち指を折ったりはしないが、坊主さんはそのうちの一人には間違いない。
しかも、いつでも、天気のいい日にさっと動ける人はさらに制限されてくるが、その筆頭株、他にはいないという話もチラホラ聞こえてくる。世の中便利になりました、カシミ-ル3D地図に歩く予定のコ-スを描いて、さらにグ-グルマップに待ち合わせ場所をピン留めして、8時半集合というメ-ルを送った。、
グ-グルマップはピン留めしたカ所をストリ-トビュ-すれば民家が周辺にある道路上ならば間違いなく360°そこの写真が表示され、建物などの様子が分かるようになっている。

即座に「待ってました」の返事があった。
「あんたも好きね~♪」
いざ出かけてみよう、PM2.5および杉花粉絶頂期の最前線へ。

詫間のコンビニで待ち合わせをし、取りつき地点へ車を走らす。
途中で下山地点も確認した。
電波高専付近の空き地に車を駐めて、8:52、今日も鎌を持って、出発。
民家の横から適当にみかん畑への道を登っていく。




手入れされたみかん畑は、レモンが鈴なり。
一般的にはレモンの収穫時期は実がまだ青い10月から11月、倉庫で黄色く熟成させたあと出荷するのですが、3月になったこの時期にまだ収穫せずに放置されている。
すでに熟れた実はポトポトと地におちているものもある。
おそらく出荷してもガソリン代や手間賃にもならないのではないかと想像した。
残念ながらこれが今の日本農業の現状、汗水流して作られた作物は、人々の生活に役立っていない。
ス-パ-やコンビニ、それに外食産業でもまだ食べることが出来る食品を、時間が経てば捨ててしまう。
廃棄される食糧は全体のおおよそ2割、年間1900万トン、額にして11兆円に相当するという。
人口比あたりの廃棄量は、日本は世界NO1、マナ-も道徳観も倫理観もなにもあったもんじゃない、世界最低の国民だ、バ-ロ-。
いまや道を歩いていても、川を眺めても、海辺を観ても、山を歩いていてもゴミだらけ、平気で汚す、愚痴りたくもなる。

今日はのっけからどうしたことだ、むやみやたらと腹を立てている。
腹は寝るまで立っているものだとか…。

9:11、みかん畑作業道最奥から山手へと取りつく。




当初予定していた89mPへの立ち寄りは、のっけから狂ってしまった。
腹を立てるとろくなことがないが、ヤブ尾根ではなく歩きよい。

上空で二羽のミサゴが鋭い鳴き声を発しながら、わたしたちの頭の上で旋回している。
この近くに巣があるんだろうと思い、きょろきょろ樹木の上を探すと、ありました。
ミサゴの巣です。
卵を産んでいるのかもわかりません、ミサゴはわたしたちが去るまで旋回していた。
警戒心の強い猛禽類なので、この尾根を歩く人はほとんどいないのでしょう。




坊主さんと熊棚のことも話題にしながら、のそのそ這い上がっていくと、意外と早く10:01に標高242.8m三角点・立石山に到着。
三角点傍の木の幹には△爺さんこと○米さんの木札点標がありました。
字は消えていてまったく読めませんでしたが、裏を覗くと、かすかに○米マ-クが読み取れました。
坊主さんがボ-ルペンの先で立石山と記す。




三角点の周りのペンペン笹を刈り払い、倒れていた基本測量の白い杭を立て直す。
感心感心、坊主さんはこういう手間は厭わない人ですね。
幸せの黄色いハンカチならぬ、手ぬぐい坊主でした。

立石山の由来なのでしょうか、傍には大きな立った岩があり、そこからは隙間越しに船越しの海岸と紫雲出山が見えていました。
おや、岩の傍の茶色い葉っぱをつけた木はkeitannさんに教えてもらったヤマコウバシでしょうか、葉は落ちずにいまだに着いています。
枝を折るとその折り口から香ばしい匂いがするらしいのですが、止めておきます。




しばらくコ-ヒ-タイムをしてのんびり過ごしたあと、踏み跡を辿って横峯山へと歩きます。
踏み跡上には、最近枝打ちした小さな枝があちこちに落ちていました。
最近歩かれた、アンジ-パパさんやY中さんご夫妻たちが裁いたモノでしょう。
佐々連さんもその後歩かれたのですが、持参した鎌を落としてしまったそうなので、佐々連さんが刈ったものではなさそうです。

切り口がすっぱりと丸く切れています。
アンジ-パパさんは鎌を持参、Y中さんは剪定鋏、とするとこの切り口から想定する犯人は…見つけたど~、Y中さんだわ。
笹をかき分けながら岩の横をとおって…。




足元には緑の土止めネットが張られている。
これはかなり古い物で、過去にこの山で起きた山火事後の植林作業時に施されたものだと推測した。

ヤブ越しに横峯山の頂が見えてきた。




右前方には仁尾沖に浮かぶ蔦島。
後方を振り返ると立石山と、その奥には取りついたみかん畑が見えている。




その左手には紫雲出山がPM2.5の影響でしょうか、ぼんやりと…。
笹などでヤブいてはいましたが、踏み跡ははっきりしてました。
ヤブのグレ-ド度はⅡってとこでしょうか。




やがて開けました。
笹が倒れたりしてましたが、そこが横峯山山頂。




これはヤマモモの花です。
咲き出したところなので、花穂が瑞々しくてピンと立ってます。

このぼんやり風景は稲積山なのですが、酷いですね、すでに目が痒くて、鼻水がたらたらと流れ落ちます。
先ほどから手ぬぐいで鼻をかんでますが、もしティッシュでかんでいたら、一箱は使っていたでしょう。
かんでもかんでも止まりません。
グシュグシュです。




お-い、坊主さん、こんなところでうんちをするな!
違いました。ブヒブヒ
この時期はエサがたくさんあるのか、イノシシのうんちも綺麗です。
鞍部へ向けてどんどん下って行きます。




真っ黒な焼けた木が転がっていました。
だいぶ降りてきました。
前方には妙見山と、尾根筋が見えています。




最鞍部のちょい上で噂の石仏にご対面。
佐々連さんが先日に歩いたおりに、石仏さんに供えたという一口羊羹を探しましたが、包んでいた袋も何も見当たらない。
どうしたことでしょう、石の隙間も覗いてみましたが、欠片もない。
この辺りに棲むという古たぬきの仕業か?
いやいや、羊羹だけに、よう考えてみいや。
これはたぶんカラスの仕業ではないかと思いますが、どうでしょう。
あの頭のいいカラスなら、包んだまま嘴にくわえて、どこかへ運んで、ゆっくりと食べたことでしょう。
それとも、わたしのように食べてやろうと企んでいた、もっと頭のいい動物か?????~~~~~




石仏のすぐ上には、三段まきの青テ-プがありましたが、それは詫間方面からのもののようでした。
ヒサカキの花がびっしりと枝に咲かせています。
これは白花でしたが、他にはピンクの花もありました。




笹藪を鎌で刈り払いながら鞍部を進みますが、踏み跡は薄くなり、やや分かり難くなってきた。
イバラを切り払いしながら鞍部から左手細尾根へと乗ると、そこからは歩きよくなり、アンキ-パパさんたちが刈り払った小枝があちこちに落ちています。
ここまで来るのに、途中で松の小枝も刈り払ったようで、かなり時間を掛けながら歩かれた様子でした。




11:56、千貫松に到着。




千貫松からすぐ上にある星の石で丁度正午のチャイムが聞こえてきましたが、音の方向は仁尾なのか詫間なのか、山間では聞き取りにくく、判断がつかなかった。

ここで大休止。
鎌と手袋を岩の上に置いて、目を両手でこするむらくも。
アレルギ-用の目薬を差しても症状はますます酷くなるばかり。




岩の上から振り返れば、横峯山とその後方に紫雲出山。
この素晴らしい景色がある限り、山歩きは止められません。




星の石傍には、これはたぶんヒメヤシャブシの花だと思われます。
オオバヤシャブシですと、葉の新芽が出ていると思うのですが、それがなく花だけが先行してます。
それと、昨年の黒っぽい実殻が残ってますが、これが下向きなんですよね。
オオバヤシャブシは実殻が上向きなのです。

サンドイッチをス-プで流し込んで、歩きよい尾根道を妙見山へと向かいます。




12:34、妙見山到着。
さらに博智山方向へ。
ほんの少し歩いたところで、北への尾根に乗っかります。
国土地理院の地図には破線がついてますが、踏み跡はまったくありません。
方向を間違って、右への尾根を歩いてしまい、展望抜群の場所に飛び出ました。
そこからは急激に須田と香田東の間にある海へと落ち込んでいて、急峻なうえに見た目にも相当なヤブ。

粟島。




須田港と塩生山。
遠くに瀬戸大橋があるのですが今日はまったく見えません。




塩生山の向こうには黒戸山。
急峻な斜面を下ろうかどうしようか迷いましたが、引き返すことにしました。




気を取り直して、歩く予定の尾根に乗り、進みますが、岩有り、プチ崖あり、まったくの大藪です。
崖っぽいところを無理矢理木の間に体をねじ込んだりして下っていると、突然バタバタとヤマバトが飛び去った。
飛び立った松の木の股には巣があって、4cmほどの白い卵がのっかています。
いいところに巣を作ってますね~、他の動物はなかなか近寄れないでしょうね。

そこを下ったところで枝尾根を一つ西へと乗り換え、再びヤブをかき分ける。

はあ~!
一息ついたところからは、横峯山が見えていました。




さらに下って行きますが、途中で小さな枝尾根へと方向を北に取らないといけないのですが、ヤブで気力が萎えてしまって、その尾根が尾根に見えず、直進。

ホッ!
だんだんと歩きよくなってきましたよ。




マンリョウじゃないですか、縁起がいいですね~。
竹藪を横切り、畑跡地を抜けると、民家の横に降り立ちました。




そこは当初予定の下山口からやや西側で、本日の山歩きとしてはバツでしたね。
山歩きを楽しむブンには問題ないのですが、ル-トファインディングというか、オリエンテ-リングとしては失格でした。
ヤブの中で小さな枝尾根を見逃さずに、間違わずに歩きとおすという行為は、やはりわたしには難しいということを実感した一日でした。

それにしても、ミサゴの巣や、ヤマバトの卵を見つけるなど、最近はほとんど人の歩いた形跡がない山歩きを楽しめたことに、感謝です。
また、道を切り開いて頂いた先達のみなさんにも感謝。
後日、どの時期かで横峯山から紫雲出山へと歩いたみたいところです。




駐車地点8:52-取りつき地点9:11-9:33標高242.8m三角点・立石山10:01-横峯山10:28-石仏11:06-千貫松11:56-11:58星の岩12:29-妙見山12:34-北尾根分岐12:42-下山口14:33-14:49駐車地点


※地図上左クリック→グ-グルマップへ移動
(注)青線は当初歩く予定だったル-ト