私は、「推理もの」「ミステリ」「サスペンス」と分類される小説あるいは映像作品を見るときにもどちらかといえば「自分が推理をしながら読み(見)進める」ということをあまりしないタイプだ。
物語としてそれを追いかけていって、裏をかかれたりどんでん返しがあったり見事なトリックがあったりすると「おお、なるほど」と素直に驚いたり感心したり、むしろ驚かされることを楽しみにしている。
ただ───
ストーリーを構成しているのは登場「人物」たちである。
どれほどトリックとして完成度の高いものも、予想もしなかった「犯人」で裏をかかれても、そこに「人物」の息遣いがきこえてこなければ、私にとっては「つまらない作品」ということになってしまう。
クイズやパズルを解くような、そんな楽しみを私は求めていないのだ。
さて、今季のドラマで「時効警察」と並んで私がとても気に入って毎回楽しみに見ていたドラマ「アンフェア」。
原作の物語も知らなかったし、私は当初これは所謂「一話完結」の「警察もの」だと勝手に思っていた。
しかし3話だか4話あたりでようやく「これは1クールで一つの事件」なのだということがわかった。………この時点でまず出遅れている気がするが。
冒頭に書いた通り、私は基本的には「推理」をしては見ない。
しかし「こいつは怪しいな」と感じながら見ることは当然ある。
なにしろ登場人物はどれも一癖も二癖もありそうな、腹に一物持っていそうな者ばかりだ。意味ありげな表情のカットが挿入されればその胸中に何が動いているのかを想像する。
あえて「推理」というなら私にとっては「想像」がそれに当たる。
「黒幕」だった安藤は、当初から単なる「主人公の女刑事に振り回される若手刑事」としてだけの役割ではないだろうことは想像がついた。
そもそも、「5年前に雪平が射殺した少年」というのは必ずどこかに繋がってくるはずだと思っていた。
そして、その可能性が一番高かったのが安藤だったから。
実は「次回予告」で「安藤が死んだ?」という回があってその時はまんまと騙された。「違ったのか」って。
でもその回の冒頭でいきなりその場面だったので狂言だったこともわかったし私の疑惑はもちこされることになり、結局最後、その疑惑がその通りになってしまった。
その通りだったことで少しがっかりしたのはやはり「推理」してしまっていたからなのだろうと思う。どこかでもっと驚かせて欲しかったと思っていたのだ。
もうひとつ、何某かの関わりを持ってくるのではと最後まで思わされていたものが、「雪平の父の死」と安本刑事だった。
雪平の父を殺した犯人はまだ捕まっていない、真相もはっきりしないという。
そして父の同僚で雪平を見守る優しい先輩刑事、安本。
この設定が非常に胡散臭く感じていて、最後に絡んでくるに違いないと思っていた。
これに関しては完全に製作者の張ったトラップに引っかかったと思う。
なにしろ、最終回の
「(佐藤和夫を撃って)最初に現れる人間が犯人だ」
という罠で最初に現れた安藤が
「(雪平がここにいるのを知っているのは何故かと問われて)安本さんが、お父さんの命日だからって…」
と言うに及んでまだ
「安本の方が上位の黒幕か」
と思ってしまっていたのだから。
結局、安本刑事は本当にただの親切なおじさんで、父親の事件は今回の事件とはまるで関係なかったということで……。これは、本当に騙された。
まさか本当に一番怪しいやつが犯人だとは思わなかったので(笑)。
薫ちゃんもなにかと怪しい行動をしていたので注意して見ていたのだが、結局ただの本当にヘンな人だったな。この物語において癒しの存在だったのでそのままでいてくれて安心したけど。
さて、結局ある程度「想像」が当たってしまったわけだけど……
安藤に関してはとても良く出来てはいたと思うのだ。
5年間憎んで憎んでただ雪平に復讐することだけを考えて、その本人にようやく近づくことが出来たとき、今まで憎んできた女刑事のことを本当は何も知らなかったということに復讐者はようやく気付いたのだろう。
その心の中にどんな葛藤があったり、どんな苦しみがあったり、悲しみがあったり───
復讐の対象は人間だとは思わずに憎んできたに違いないのに、それが血の通った、人より不器用な人間だと判ったとき復讐者は戸惑ったに違いない。
けれど、もう「復讐」はとうの昔に安藤ひとりのものではなくなっていた。
バツサイトに集った者たちをすでに巻き込んでいた復讐者はおそらく引くに引けない状況でもあったのだ。
それに、復讐の対象を人間だと認めてしまって、あまつさえ許してしまうことはこの5年間の自分を否定し殺された「ユタカ」を裏切ることにもなる───
たとえ、復讐の対象を愛してしまったとしても、復讐者は立ち止まることは出来なかったのだ。
しかし、復讐としてその対象の大切な人たちを奪ったり絶望を与えたりしながら、最後に復讐者・安藤が残したものは………
元夫との信頼関係、そして失っていた愛娘の声。
復讐者として最も完全に奪わねばならなかった一番大事なものを、雪平にプレゼントして去ってしまった。
雪平の手で終わらせて欲しかったのだろう。
望み通り雪平に射殺される安藤。
自分を殺すことで、雪平に悲しみを与えることは───予定の復讐を完遂できなかった復讐者の、せめてもの復讐の欠片だったのかもしれない。
本当は安藤の心の葛藤とか苦しみとかそういう部分をこそ私は描いて欲しいのだけど、この物語は一応「ミステリー」なのでしょうがないか(笑)そんなん描いたらミステリにならんし。
さて、あんまり突っ込むと際限なくなってくるのであとひとつだけ。
他にどんなに目をつぶってもどうしても残念な箇所がある。
「蓮見」の犯行動機が希薄、というか不明…ということ。
バツサイトに出入りしていたということは何かに復讐したかったのだと思うのだがそれがはっきりしていない。
佐藤和夫に「ゲームよ」と語ったのは本当の動機を誤魔化すために偽悪ぶってるようにも思えたのだけど、結局「ゲーム」以上の動機が出てこなかった。
親友のように振舞っていた雪平をずっと欺いていた理由も。
蓮見の裏切りは雪平に十分絶望を与える部分だっただけにそこの動機がきちんと描かれていないのが残念。
それと、「アンフェアなのは誰か?」の栞を作った時はその企画に瀬崎が携わっていたということでいいのかな?
そして、ホントに最後に一言。
雪平、射撃下手やろ。
何遍同じ場面に遭遇しても「殺さんように撃つ」ということが出来んのかとw
ともあれ、正直最後に失速した感はあるが、面白かった。
そして美央ちゃん役の女の子は、ほんとに可愛かった。
ところで、あなたにとって───
アンフェアなのは、誰ですか?
物語としてそれを追いかけていって、裏をかかれたりどんでん返しがあったり見事なトリックがあったりすると「おお、なるほど」と素直に驚いたり感心したり、むしろ驚かされることを楽しみにしている。
ただ───
ストーリーを構成しているのは登場「人物」たちである。
どれほどトリックとして完成度の高いものも、予想もしなかった「犯人」で裏をかかれても、そこに「人物」の息遣いがきこえてこなければ、私にとっては「つまらない作品」ということになってしまう。
クイズやパズルを解くような、そんな楽しみを私は求めていないのだ。
さて、今季のドラマで「時効警察」と並んで私がとても気に入って毎回楽しみに見ていたドラマ「アンフェア」。
原作の物語も知らなかったし、私は当初これは所謂「一話完結」の「警察もの」だと勝手に思っていた。
しかし3話だか4話あたりでようやく「これは1クールで一つの事件」なのだということがわかった。………この時点でまず出遅れている気がするが。
冒頭に書いた通り、私は基本的には「推理」をしては見ない。
しかし「こいつは怪しいな」と感じながら見ることは当然ある。
なにしろ登場人物はどれも一癖も二癖もありそうな、腹に一物持っていそうな者ばかりだ。意味ありげな表情のカットが挿入されればその胸中に何が動いているのかを想像する。
あえて「推理」というなら私にとっては「想像」がそれに当たる。
「黒幕」だった安藤は、当初から単なる「主人公の女刑事に振り回される若手刑事」としてだけの役割ではないだろうことは想像がついた。
そもそも、「5年前に雪平が射殺した少年」というのは必ずどこかに繋がってくるはずだと思っていた。
そして、その可能性が一番高かったのが安藤だったから。
実は「次回予告」で「安藤が死んだ?」という回があってその時はまんまと騙された。「違ったのか」って。
でもその回の冒頭でいきなりその場面だったので狂言だったこともわかったし私の疑惑はもちこされることになり、結局最後、その疑惑がその通りになってしまった。
その通りだったことで少しがっかりしたのはやはり「推理」してしまっていたからなのだろうと思う。どこかでもっと驚かせて欲しかったと思っていたのだ。
もうひとつ、何某かの関わりを持ってくるのではと最後まで思わされていたものが、「雪平の父の死」と安本刑事だった。
雪平の父を殺した犯人はまだ捕まっていない、真相もはっきりしないという。
そして父の同僚で雪平を見守る優しい先輩刑事、安本。
この設定が非常に胡散臭く感じていて、最後に絡んでくるに違いないと思っていた。
これに関しては完全に製作者の張ったトラップに引っかかったと思う。
なにしろ、最終回の
「(佐藤和夫を撃って)最初に現れる人間が犯人だ」
という罠で最初に現れた安藤が
「(雪平がここにいるのを知っているのは何故かと問われて)安本さんが、お父さんの命日だからって…」
と言うに及んでまだ
「安本の方が上位の黒幕か」
と思ってしまっていたのだから。
結局、安本刑事は本当にただの親切なおじさんで、父親の事件は今回の事件とはまるで関係なかったということで……。これは、本当に騙された。
まさか本当に一番怪しいやつが犯人だとは思わなかったので(笑)。
薫ちゃんもなにかと怪しい行動をしていたので注意して見ていたのだが、結局ただの本当にヘンな人だったな。この物語において癒しの存在だったのでそのままでいてくれて安心したけど。
さて、結局ある程度「想像」が当たってしまったわけだけど……
安藤に関してはとても良く出来てはいたと思うのだ。
5年間憎んで憎んでただ雪平に復讐することだけを考えて、その本人にようやく近づくことが出来たとき、今まで憎んできた女刑事のことを本当は何も知らなかったということに復讐者はようやく気付いたのだろう。
その心の中にどんな葛藤があったり、どんな苦しみがあったり、悲しみがあったり───
復讐の対象は人間だとは思わずに憎んできたに違いないのに、それが血の通った、人より不器用な人間だと判ったとき復讐者は戸惑ったに違いない。
けれど、もう「復讐」はとうの昔に安藤ひとりのものではなくなっていた。
バツサイトに集った者たちをすでに巻き込んでいた復讐者はおそらく引くに引けない状況でもあったのだ。
それに、復讐の対象を人間だと認めてしまって、あまつさえ許してしまうことはこの5年間の自分を否定し殺された「ユタカ」を裏切ることにもなる───
たとえ、復讐の対象を愛してしまったとしても、復讐者は立ち止まることは出来なかったのだ。
しかし、復讐としてその対象の大切な人たちを奪ったり絶望を与えたりしながら、最後に復讐者・安藤が残したものは………
元夫との信頼関係、そして失っていた愛娘の声。
復讐者として最も完全に奪わねばならなかった一番大事なものを、雪平にプレゼントして去ってしまった。
雪平の手で終わらせて欲しかったのだろう。
望み通り雪平に射殺される安藤。
自分を殺すことで、雪平に悲しみを与えることは───予定の復讐を完遂できなかった復讐者の、せめてもの復讐の欠片だったのかもしれない。
本当は安藤の心の葛藤とか苦しみとかそういう部分をこそ私は描いて欲しいのだけど、この物語は一応「ミステリー」なのでしょうがないか(笑)そんなん描いたらミステリにならんし。
さて、あんまり突っ込むと際限なくなってくるのであとひとつだけ。
他にどんなに目をつぶってもどうしても残念な箇所がある。
「蓮見」の犯行動機が希薄、というか不明…ということ。
バツサイトに出入りしていたということは何かに復讐したかったのだと思うのだがそれがはっきりしていない。
佐藤和夫に「ゲームよ」と語ったのは本当の動機を誤魔化すために偽悪ぶってるようにも思えたのだけど、結局「ゲーム」以上の動機が出てこなかった。
親友のように振舞っていた雪平をずっと欺いていた理由も。
蓮見の裏切りは雪平に十分絶望を与える部分だっただけにそこの動機がきちんと描かれていないのが残念。
それと、「アンフェアなのは誰か?」の栞を作った時はその企画に瀬崎が携わっていたということでいいのかな?
そして、ホントに最後に一言。
雪平、射撃下手やろ。
何遍同じ場面に遭遇しても「殺さんように撃つ」ということが出来んのかとw
ともあれ、正直最後に失速した感はあるが、面白かった。
そして美央ちゃん役の女の子は、ほんとに可愛かった。
ところで、あなたにとって───
アンフェアなのは、誰ですか?












どちらかというと、最後に雪平の父親の殺害を含めて全貌が分かるような黒幕が出てくるのかと思いました。
毎回欠かさず見ていましたが、ストーリーが複雑すぎて、不明な点が多数残されたのは残念。
あの「バツ」サイトと安藤のかかわり、住人同士のやりとり、瀬崎と「アンフェアなのは誰か?」の関係、蓮見の動機。
最後の「バツ」連続殺人のシーンは最後のテロップのバックに流れていたが、「連続小説」「誘拐」には全く関わっていなかったのか?(下手したら殺されるところだったし)
それにしても、美央ちゃん役の子、かわいかったですね
安藤は、雪平に美央ちゃんを託されていたし、殺すチャンスはいくらでもあり、それが最大の復讐になったのに…
逆に蓮見から守り、雪平への誤解を解かせ、家族を結びつけて死んでいくなんて。実はいい奴?
雪平の射撃については…逆に上手すぎるのでは?一発で殺してますもの(普通、足か肩を撃ちますよね)
>アンフェアな人
「この世の中に、フェアなことなど何もない」に同意です。
推理ものを読む時の姿勢は全く同感です。物語が面白いか、人物が面白いかって所を重視しますね。
とはいっても自然と予想はしてしまう。
犯人は安本刑事と確信してました。序盤(早すぎるので)で安藤が現れたときは「当てた」と思った(汗)
雪平、殺す場所に狙って打ってるよね。この部分が私としては最もダメなところだと。そんな警察官はアリエン。
中盤まではかなり面白かったです。
謎の残り方とか描き足りない感じというのが「ミステリー」の縛りと連続テレビドラマの限界という感じもします。
描きすぎると謎が謎でなくなるし、最終回で全部解明するにはやはり15分程度の延長では足りないし…。そこんとこを上手くやってくれるのがプロだと思うのですけどね。
最初から(せめて推理小説事件の終わりにでも)×サイトの存在を匂わすような伏線が敷いてあれば後半にも説得力が増したと思うのですが。
安藤は復讐の鬼になってたけどもともとは悪い人間じゃなかったわけで、美央ちゃんと接しているうち人間らしい部分を取り戻していったとも思えますね。
>らふぃんさん
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
安本刑事には肩透かし食らわされましたね。実は最後の最後まで(コインロッカーの中のCDの中を見るまで)安本刑事への疑惑は晴れなかったのですがw
雪平が撃てば必ず射殺してしまうこと、犯人とはいえ射殺したことに対して不自然なくらい自責の念がないことについてもっと掘り下げて欲しかったですね。
多分殺人を犯そうとしている人間は「殺しても構わない」と(無意識的かもしれないけど)考えてるのだと思うんですが。そのあたりを放置したまま終わったので消化不良感が残りました。