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復興のF

2017年05月07日 | Weblog

そうそう、熊本地震からもう1年経ったのだった、先日僕は、熊本市役所の展望室から、熊本城の天守閣をスマホの写真に撮ったのだった。お城もぼちぼち復旧の工事にかかるのだ。

中央のマスコミも記念番組とやらをやっていたようだけど、まったく関心もなく、見る気もしなかった。ただ、たまたま見た日曜のバンキシャと言う番組がいつものタレントだか、アナウンサーだか分からない男女が生放送で熊本城の前で中継をやっていた。その二人の間に書道家(武田双雲…この男の文字の下手さ加減にはいつも脱力する)なる男がしもぶくれのつやつやした顔に、似合わないヘルメットを被って適当なことを言っていたことに、ああ、もう彼らは熊本には何の関心もないことを僕は確信した。

…で、友人の洋菓子店、メルキュールさんが1年ぶりに営業再開したのだ。店主の水本さんは今回の地震の震源地の益城町のマンションの1階に店を出して夫婦でおよそ10年近く営業していたのだけど、そのマンション全体が大きく傾き、退店を余儀なくされたのだ。(ほとんどの財産もなくしたのだろう)

それから1年、熊本市内の自宅を改造して水本さんは営業を再開した。新店舗名は「メルキュールF」、前の店名に”F”を付け加えた、Fとは復興のFであり、ファイトのFなのだ。

折角だから、某新聞社の知人にニュースリリースをした。新聞の記事によると水本さんは高校2年の時に食べたケーキの味が忘れられず、洋菓子職人を目指したとのこと。高校卒業後、家族の猛反対を説得、お菓子の専門学校に学び、修行時代を経て独立したそうだ。付き合いは長いが、ケーキ店を目指したきっかけなんてその記事を読むまでは全然知らなかった。(そもそも取材でも受けない限りは、誰もそんな話はもしないだろうけど)

地震から1年、気持ちの中に小さなFがある人と、ない人。絶望から何とか這い上がろうとしている人にはFがあるわけで、さて僕は水本さんのような、被災を受けることはなく、だからたいそうなFなど心の中には芽生えてないのだけど、ただ、軽々しく復興お祭り騒ぎのような列に加わることなく、現実の中でコツコツやっていくしかないのだろうと思う。

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