猫町・雑言録

熊本在住、海の見える家に住みながらも、山の暮らしにあこがれる50男の雑言録。

熊本城を見に行く。2016.10

2016年10月12日 | Weblog

4月の熊本地震からもうすぐ半年。

本震の発生の翌日に中心街に行く機会があり、熊本城が大変なことになっているということで、カメラを片手にのこのこ出かけて行った。熊本市役所の展望室なら、熊本城が真下に見えるわいと市役所の前に立つと、なんと自分の心の浅ましさよ。市役所の1階は避難民であふれ、中に入ると毛布にくるまれた人々でごった返しているではないか。物見遊山気分の自分を恥ずかしく思い、もちろん熊本城の写真など1枚も撮らずに帰社した。

あの時からもう半年。外見はもう復興が進んでいるような熊本だけど、まだまだ道路もあちこちでひび割れ、激しい段差があちこちで見られる。ぼんやり車を運転していると、突然、車が段差でボワンと跳ね上がり驚かされる毎日なのだ。仕事も同じで、事務所は2回もヒックリ帰ったが、何とか片付けも終わりもとの状態に復帰することができた。しかし肝心の仕事そのものがあちこちで目に見えないひび割れで、店舗の休業、廃業、景気も最悪、熊本の経済状況は悪化する一方なのだ。それでも復興の兆しが見えそうとカン違いするのは、運よく被害を受けていないエリアの住人の振る舞いだったり、他県からの支援スタッフの飲食での一部店舗だけの賑わい、地震の翌日から平気で営業を続けているクズパチンコ屋の能天気CMのおかげなのだろう。

地震直後から僕の両足の親指の爪が変になった。ちょうど真ん中、横半分にきれいに線を引いたような境界線が出来、そこから爪がこんもりと膨らんでしまった。右足の爪は更に血豆でもないのに半分が真っ黒になった。日曜になると、縁側でその爪の先をパチンパチンと切る。ああ、あれからもう半年なのだ。なんか、ちょっと気分が落ち着かない。予期せぬ命の危機に、なんか体がまだ反応しているのか。僕はまだマシな方で、あの揺れを直下に受けた人はそれどころでないだろう。たぶん、もっと何か体に変化があっているはずだ。外見はどうもなくてもね。

半年間に起こった震度1の地震から5までの数が5,000回、そして命の電話の相談件数が毎月平均5,000件…。





10月初め熊本は昼間は30度を超え、猛暑の日々だった。

改めて天守閣への道を歩く。まだ場内は立ち入り禁止、地震当時のまま手つかずの状態だ。グルグルと遠巻きに仮設歩道を汗をかきかき上り詰めると、加藤神社の境内だ。結構な観光客の数だけど、ほとんど中国人だ。その一団に交じって僕も写真を撮る。瓦の落ちた天守閣の屋根、至る所で崩れた石垣。中国人は何故かみんな笑顔。旅の記念。改修工事に入るのに、あと半年、いや一年か。熊本人の精神の支柱とやらの熊本城。浮草の僕にはそんな支柱などそもそもないのだけど。

街の中心に、壮大な廃墟の建造物がドーンと構える景色もなかなか見られるものではない。冬になれば廃墟の城にも雪がちらつき、春になると満開の桜の花が、痛んだ天守閣の姿をピンク色の花びらで包み込むのだろう。



心の中、気が付かないどこかが崩れて、少しほころびて。
僕は次の日曜日の朝も、縁側で伸びた爪を切るのである。

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