猫町・雑言録

熊本在住、海の見える家に住みながらも、山の暮らしにあこがれる50男の雑言録。

MKさんの還暦祝い

2017年02月24日 | Weblog

先日、京都に住む昔からの友人、
MK女史から還暦祝いのイベントの招待があった。
MKさんももう60歳なのだなぁ。

もちろん僕は金欠、暇なしで
そのイベントには参加できないのだけど、
昔の仲間も結構集まるようで、
おそらく、賑やかな会合になるのだろう。

MKさんと出会ったのはたぶん、
僕が20歳過ぎた頃なので、
もう40年近い付き合いになる。

当時、僕はアングラ演劇(の真似事)
をやっていて、

(アングラどころか、いくらチラシをまいても
毎回の客が100人にも満たない、秘密演劇なのだけど。)

MKさんは知人の紹介で、
役者として参加してくれたのだ。

演劇といっても全員が素人。
台本は殴り書き、セリフは言いたい放題という
まぁ無茶で、めちゃくちゃな劇団だった。

MKさんは高倉健の大フアンで、
最初の舞台は「夜桜お銀」という役で
刀を片手に、悪者をバッタバッタと切る
女、高倉健の役回りだった。

(昼間はもちろん、ちゃんと
立派な仕事をされていた。)

時代はすでに80年代、シラケ世代とも言われたが、
要するに、嵐が過ぎ去って何も残らなかった世代なのだ。

僕も熊本のどこにでもあるよな、ど田舎の港町から
何かあるだろうと、京都くんだりまで
やってきたのだけど、

さすがの京都でも、祭りの後の残り火が
チラチラ燃えくすぶって、消えかかっているよな時代で
実際のところ、僕らは仕方なしに、70年代の騒ぎの
物真似を、見よう見まねでやっていたわけだ。

(見物客が帰った後、
突然幕が開いた舞台にとまどうように)

そして今、あの頃からすでに
40年近く経ったわけか。

僕は自分の誕生日を嬉しいと
思ったことは一度もない。

ラジオを聞いていて、タレントに
「おめでとうコール」とか言ってくれとかいう
リスナーの連中の気持ちが全然わからない。

ただ、20歳、40歳そして60歳というのだけは
何故か気になる。特に60歳というのは、
よくぞここまで生き延びてきたなぁと、
その時ばかりは、こんな自分でも
感慨が深いような気がする。

そうこうしているうちに、
当時の芝居の一コマが、思い出されてきた。

怖いもの知らず、真冬の京大西部講堂で
演じた題目は「赤頭巾ちゃん火を点けて!」

何も起こらぬ(静かな戒厳令がひかれたような)街に、
赤い頭巾の少女が火を点けて回るという、
危険思想そのものの内容(苦笑)。

舞台に土を山盛りにして
いくつもの墓標を作り、(僕は墓守の役)
バックにはマネキン人形の森を作り、

最後のシーンでは、主人公の若者が
バイクにまたがり、女を座席に乗せて

どこまでも、どこまでも行くんだ!と
マネキンの森を突き抜けて走り抜けるという、
まさに、アングラ、秘密演劇。

中島みゆきの「狼になりたい」という
歌をバックに流したような、流さぬような。

気が付くとシラケどころか、
時代はバブルの入り口、周りを見回すと
シラケから一転、ノリノリのから騒ぎ。

MKさんの役は、火を点ける
赤頭巾ちゃん。

鞍馬天狗風の赤頭巾を被り、
街の悪と戦いながらも、火を放つ…

還暦祝いでは、MKさんは
赤頭巾ならぬ、
赤いちゃんちゃんこを着るのだろうか。

(当時から鍛え上げた、
宴会芸の南京玉すだれの演目はあるらしい。)

時代は変わろうが、変わりまいが
MKさんの、一本筋が通った生き方は
台本なぞなくても、見事に完結しそうなのだ。

僕は今、いったん飛び出した
熊本のどこにでもあるような、
ど田舎の家に戻ってきており、

MKさんの還暦祝いの夜には、
猫の寛太を膝に乗せ、一人
僕の還暦までの残された時間について
考えてみようかなと思う。

めでたし、めでたし。
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