スタディツアー。
児童労働撲滅運動の一環として、
インドの田舎の学校を見学する。
貧困から教育の機会を奪われ労働している子供たち。
家が、親が貧しいから、まだ幼いうちから労働する。
ちゃんと教育を受けていないから、
大人になっても良い仕事に就けず、貧しいままの悪循環。
さらにカースト制度というインド特有の問題。
ツアーはほんの五日間。
現地にいるのは実質三日強。
そんな短時間で何を得られるというのか。
ほんの表面を覗くにすぎないことは端から分かっている。
でも
やっぱり現地で実際を見て、感じることには
大きな意味があった。
本で読んだり話を聞くだけでは決して感じられない
皮膚感とでもいうのか。
夜の11時過ぎにムンバイ空港に着いた私たちを迎えに来たのは
一台のスクールバス。
日本から同行した、ガイドを務めてくれるボランティア団体のAさんは、
結構良い車を用意してくれたと喜んでいる。
今からこのバスに乗り、
デカン高原の農村地帯にあるダウンドの街を目指すのだ。
約10時間。
当然日程が厳しいから、着いたその日の予定は詰まっている。
バスの中で寝るしかない。
ムンバイの空港に着いた時から街は異臭がしていた。
道は凸凹が多い。
その度にバスの中で飛び跳ねる。
行き交う車はクラクションをやたら鳴らす。
スクールバスは、冷房など当然ない。
それどころか、リクライニングがあるはずもないイスは、
クッションも固くて、
子供用に作られているのか普通より一回り小さい。
狭い。
気を抜くと、段差でイスから飛び上がる。
寝られるのか。
前途多難。