Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

なぜ日本は「国家」として立ち上がれないのか

2007-11-20 | 拉致・北朝鮮問題
「掲示板 声よ届け!波濤の彼方へ」で、正論12月号の記事が引用されていましたので、投稿者のるりさんに感謝しつつ、孫引きさせていただきます。
■ なぜ日本は「国家」として立ち上がれないのか   [白熱放談] 評論家・宮崎正弘  帝京平成大学教授・米田健三  政治学者・殿岡昭郎  “正論”12月号より

米中の思惑にいつまで振り回されているのか。自民にも民主にも「国家観」がない悲喜劇

>アメリカの“裏切り”を憂う

>米田 アメリカはいつから日本を裏切り始めたか。産経新聞が社説(「主張」)で「米国の“裏切り”を憂う だれが日米離反を喜ぶのか」と書いたのはこの三月十五日でしたが、実は、だいぶ前から北朝鮮の核保有に対するアメリカの姿勢をうかがい知る報道はありました。
 たとえば、平成十六年十二月二十三日付の読売新聞「核移転なら厳しい対応」という記事は、同月二十一日に行われたプリチャード前朝鮮半島和平担当特使(当時)との会見記事ですが、それによると、プリチャード氏は「二〇〇三年八月、核関連物質の第三者への移転がアメリカの限界線だと北朝鮮に伝えた」という。これを端的に言い換えれば、北の国内での核保有は容認するということになるのではないか。さらに「ブッシュ政権が北朝鮮の少量の核に留意していないのは明白」とまで言い切っている。
 北の核保有に対する容認論は、アメリカの政策的選択肢としてずっとあったわけです。平成十五年の正月、旧知の防衛官僚が私の事務所に駆け込んで来ました。
 「大変です。アメリカ大使館の安保担当の私のカウンターパートが年始の挨拶に来て、『本国の指示でお尋ねする。かりにアメリカが北朝鮮の初歩的核兵器の保有を容認する結果になったら、日本の反応はどうなるか』という。確立した政策ではないにしても、検討すべき選択肢になっているのは間違いありません」
 私はすぐに政権中枢に書面でこの情報を伝えましたが、政府からは何の反応も返ってこなかった。
 その後間もない同年一月二十日、コーエン元米国防長官が非公式に来日し、私を含めた日本の国防関係議員と懇談する機会があったのですが、その席でも日本側に対し、「北朝鮮が核兵器を何発か保有するようになった場合、日本は容認できるか」と米大使館の安保担当者と同じ趣旨の質問をしてきた。私は当時内閣府副大臣でしたが、「日本にとって死活問題だ。国民に『日米同盟は何だったのか』との不信感が広がる」と意見したのですが、コーエン氏は「ミサイル防衛網が完成すれば、日本にとって脅威ではない」と述べるなど、北の核を容認しても問題はないと言わんばかりでした。

>殿岡 まさに“他人事”といった感じですね。

>米田 先にも述べたようにアメリカにとっては、当面、北の核ごときは脅威ではないでしょう。しかし自前の抑止力を持たない日本にとっては死活的問題です。

>宮崎 イラク戦争の開戦を控えた頃、アメリカ政府の現役高官、元高官がやたら来日しましたね。“地ならし”をしていたのでしょう。

>米田 かつて中国の高級軍人と会談したとき、彼は「アメリカにとって対日戦略上、最も都合がいいのは日本に対する北朝鮮の脅威が永続することです。それからの防護を名目に、日本を永続的に軍事的保護国の状態、つまり兵站基地にしておけるからです」と述べたのですが、日本国民もこのぐらいの認識で日米同盟というものを見ておいたほうが、「裏切られた」と感じるよりも、自主防衛の必要性を冷静に認識できてよいのかもしれない。

>宮崎 昨年秋の北朝鮮の核実験のあと、中川昭一・自民党政調会長(当時)が「日本も核保有について論議すべき」と語ると、それを受けるような形で、ライス米国務長官が「あらゆる抑止力で日本に対する安全保障を約束する」と表明しました。中川さんの発言は、日本が現実に核を保有しなくとも、その能力を持つ国が安全保障上の必要性に言及するだけで、実際に大きな抑止力を持ち得ることを示したものです。そして、日本が主権国家であるのなら、このぐらいの自己主張が最低限必要です。

>殿岡 その頃を振り返ると民主党だけでなく、自民党内からも中川発言を非難する声が多かった。安倍首相は「核をめぐる議論すらしてはいけないというのは言い過ぎ」として政治家個人としての核論議を容認する姿勢を見せましたが、中川発言を奇貨に、日本の核保有論議を活性化させ、抑止力の向上と国民を現実に覚醒させるという方向に持っていくのではなく、むしろそれを抑える側に回ってしまった。これは非常に勿体ないことをしたと私は思いました。日本政府は、核保有を選択肢として放棄しないことを外交的な武器として、交渉の部屋の中に入り、蚊帳の中にも入っていくぐらいの気概と戦略を持つ必要があります。

日本は「主権国家」と見なされていない

>米田 (略)ー本当に、アメリカと中国は水面下でどんな取引をしているか分からないところがあります。一九七ニ年のいわゆる “米中密約”は、訪中したニクソン大統領と周恩来首相との間で交されたものとされ、密約の内容は、「東アジア地域において日本にだけは核兵器を持たせてはならない」「米軍は“ビンの蓋”として日本から出ては行かず、日本に自主防衛をさせないため駐留を継続する」「日本政府には、台湾と朝鮮半島をめぐる問題で発言権をもたせない」の三つだとされますが、在米の国際政治アナリスト伊藤貫氏によれば、アメリカ国務省のアジア政策担当の高官は、今でもこれら三つの約束は「効力を持っている」と語っているそうです。

>米田 いくら日本が「日米安保が生命線」と言い募ろうが、アメリカにとってより上位の価値は、第二次大戦の戦勝国主導による国際秩序(既得権益)の維持でしょう。それを崩したくないという点に米中共通の利益がある。その利益を担保するものが日本をいかに抑え込むかという枠組みで、実は、北朝鮮の核問題を論じることになっている六カ国協議の背景にもこのフレームが存在する。
 私が言いたいのは、アメリカが自己都合で行動するのだから、それに依拠した日本の安全保障は所詮「属国」のそれでしかないという現実を直視し、そこから日本が真に「主権国家」として起つにはどうしたらよいかを考えるべきだということです。日米安保を基軸に日本の安全保障を考えるというのは、実はこの大前提を糊塗するものです。
 そもそも論でいえば、国連憲章は第五十一条において、国連加盟国に対し、個別的自衛権と集団的自衛権の保持を認めている。大東亜戦争の総決算、敗戦国日本と戦勝連合国との事実上の“手打ち”でもあったサンフランシスコ講和条約の第五条においても、日本は個別的自衛権と集団的自衛権を持つとされている。日米安保条約前文においても同様です。第ニ次大戦後の国際社会においては、加盟国は不当な侵害を受けたとき、国連安保理が必要な措置をとるまでの間、独自の判断で自衛権を行使できる。
 つまり、自衛権の行使であるかぎり交戦権が認められている。そして肝心なことは、自衛権の行使については、国際法上、その手段の質や量、行使する地域になんら制限のないことです。あくまで主権国家が、自らが置かれた安保環境の中で判断することなのです。日本もそれを行使したからといってどこからも非難される謂れはない。ところが、日本国憲法九条の“解釈”として制限的自衛権論、「専守防衛」が定着してしまった。

>宮崎 そうした意思表示のない国は、「主権国家」とは見なされない。金正日総書記が「日本とは話さない、アメリカと話をつける」といってるのは正しい認識なのですね。二年前だったと記憶していますが、六カ国協議の再開に応じる際、日本はこの協議に参加する資格がないと金正日が言い放ちましたが、その理由は、この協議は主権国家の集まりであって、属国の日本には主権がないというものでした。それから核兵器を保有する国の集まりでもあるとも。まったく金正日は正確に日本という国を見抜いている。


 上記の米田健三帝京平成大学教授の発言から、「アメリカの政策担当者の日本に対する発言」をまとめてみました。↓

平成十六年十二月二十一日に行われたプリチャード前朝鮮半島和平担当特使(当時)との会見での発言

「二〇〇三年八月、核関連物質の第三者への移転がアメリカの限界線だと北朝鮮に伝えた」
「ブッシュ政権が北朝鮮の少量の核に留意していないのは明白」


 この発言は「少しぐらいだったら、核を作るのも持つのもOK。ただし、よその国に移転するなよ」という北朝鮮に対するメッセージだと解釈できますね。

平成十五年の正月、旧知の防衛官僚からの話
アメリカ大使館の安保担当の発言

「本国の指示でお尋ねする。かりにアメリカが北朝鮮の初歩的核兵器の保有を容認する結果になったら、日本の反応はどうなるか」


平成十五年一月二十日、コーエン元米国防長官の発言
「北朝鮮が核兵器を何発か保有するようになった場合、日本は容認できるか」

「ミサイル防衛網が完成すれば、日本にとって脅威ではない」


 「北朝鮮の核保有」に対する日本の受け止め方を知りたがっていたようですね。

中国の高級軍人の発言
「アメリカにとって対日戦略上、最も都合がいいのは日本に対する北朝鮮の脅威が永続することです。それからの防護を名目に、日本を永続的に軍事的保護国の状態、つまり兵站基地にしておけるからです」


 日本から軍事力を奪った状態で、北朝鮮から脅威を与え続けると、必然的に日本はアメリカを頼らざるを得ないという計算ですね、高額なMDも買ってくれるし。

一九七ニ年のいわゆる “米中密約”
「東アジア地域において日本にだけは核兵器を持たせてはならない」

「米軍は“ビンの蓋”として日本から出ては行かず、日本に自主防衛をさせないため駐留を継続する」

「日本政府には、台湾と朝鮮半島をめぐる問題で発言権をもたせない」


 米中ともに、日本を主権国家として自立させないことが自国の利益になると判断しているのでしょう。

 やくざ同士が連携プレーを行って利益を得るというのはよくあることです。Aのやくざに因縁をつけられているとき、Bのやくざがやってきて、援助を申し出る。Aのやくざに困っている人にはBのやくざは正義の味方のように見えるわけですが、実は「お仲間だった」なんていうことは日常の世界でも腐るほど実例があることです。

 日本に対して、「米中連携のやらせ」と「米朝連携のやらせ」が同時並行で行われているなどという「仮説」は、アメリカに対し厚い信頼を抱いている親米保守には、到底容認できない説でしょうが、アメリカに対しては、それぐらい醒めた見方をしておいた方がいいと思いますよ。

 「なぜ日本は「国家」として立ち上がれないのか」・・・それは、アメリカが背後から、日本のスカートの裾を踏んづけているからかも知れません。




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